今日から「ゆる~い禅」はじめませんか? 枡野俊明さんに聞く、毎日を心穏やかに過ごすための秘訣
「禅」というと、坐禅や修行など、大変そうなイメージを持っている人が多いのではないでしょうか?
実は、気軽に日常に取り入れられることもたくさんあって、イライラしたり落ち込んだりしたときに心を整えるのにぴったりなんです!
曹洞宗徳雄山建功寺18世住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授という肩書を持ち、『ニューズウィーク』日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出された、枡野俊明さん。多数の著作を持つ枡野さんに「ふつうの生活の中で“誰でも、今すぐに”はじめることができる禅の実践」について、聞いてみました。
Q1 毎日の通勤でイライラ。
どうしたら、心穏やかでいられますか?
質問:毎日の通勤が苦痛でしかたありません。会社につく頃には、心身ともにヘロヘロ。とうてい、シャキッと仕事をはじめられる状態ではありません……。どうしたら、心と体を穏やかに保つことができますか?
枡野:首都圏を中心として、朝晩の通勤電車は軒並み180%を超える混雑率。この「苦行」に耐えているだけでは、イライラが増すばかりですよね。ここは、禅の発想で気持ちを切り替えて落ち着かせ、逆に「心を整えるひととき」に変えてしまいましょう。
その提案の一つが、誰でも簡単に行える「いす座禅」「立禅」です。姿勢を整え、次に呼吸を整えることで、自然と心も整います。時間は5分~10分程度で大丈夫。通勤電車のストレスを、上手に解消してください。
このほかにも、スマホに見入るばかりではなく、窓外の景色を眺めることもおすすめです。春には木々が芽吹き開花し、秋になれば葉が色を変える……。そんな気づきはあなたの感性を刺激し、磨いてくれることでしょう。
Q2 仕事で取引先を怒らせてしまった。
いったい、どうすればいい!?
質問:ちょっとした気のゆるみから、大切なクライアントを怒らせてしまいました……。謝罪をするつもりですが、こんなとき、どんなことに気をつけたらよいでしょうか?
枡野:仕事にミスはつきものです。仕事相手に迷惑をかけたり、怒らせることもあるでしょう。謝罪するにあたって気を付けたいのは、謝罪には賞味期限があるということ。いつが期限か? 答えは「ただちに」です。
こんなときに、覚えておきたい“禅語”がいくつかあります。そのひとつが、「面授」というもの。大切なことは師と弟子が向き合い、顔を見合わせて授けるものである、という意味ですが、これは仕事の謝罪に関しても同じです。相手の前で深々と頭を下げる、それにまさる謝罪はないのです。ちなみにメールは使用不可。事務的すぎるメールでは、お詫びの心は伝わりません。
そのほかに覚えておきたい禅語「歩歩是道場」「身心一如」「非思量」「道中静」についても、ご紹介しておきましょう。
Q3 夜、なかなか寝付けません。
ぐっすり眠るためにはどうしたらいいですか?
質問:仕事で疲れているにも関わらず、いざ布団に入ると、なかなか寝付くことができません。昼間の仕事のアレコレや、これからのことが不安になってしまいます……。どうしたら、寝つきよく、ぐっすり眠ることができるでしょうか?
枡野:人が不安にとらわれるのは、だいたい夜です。翌朝。明るい太陽の下でそのことと向き合うと、案外「なぁんだ、たいしたことないじゃないか」となるもの。そう、不安は翌日に持ち越すのがいいのです。
お釈迦様は「生老病死」を四苦としましたが、老いや病気、死を思うと不安が掻き立てられる人も少なくないでしょう。しかし、そのどれもが避けられないものなのです。そうであれば、受け容れるしかありません。老いも、病気も、死も、それが現実になったら、受け容れて、一生懸命そのとき、その瞬間を生きていけばよいのです。一生懸命になれるのは、過去でも未来でもなく、“いま”なのですから。
いまを大切にせよ。それが、禅の教えの根本です。
あなたの心を守るための、禅の60の処方箋!
枡野さんの新刊『一日一禅! 今日からはじめるゆる~い禅』は、このような私たちの何気ない日常の悩みにこたえつつ、「ふつうの生活の中で“誰でも、今すぐに”はじめることができる禅の実践」の手引き書になっています。枡野さんいわく、「禅即行動」。本書を片手に、ぜひ、今日からひとつでも“禅”を実践してみませんか? きっと、心穏やかに毎日を過ごすことができるようになるはずです。