ハワイの食はダウンタウンなしでは語れない

ハワイの食はダウンタウンなしでは語れない


先日、遅い休みを取ってハワイに行って来た。ハワイ歴はうん十年、親しい友人も住んでいるのでもはや私にとって第二の故郷といっても過言ではない場所。
夜間飛行を経て午前中にホノルル空港に到着したら、まず空港でレンタカーをピックアップ。早めのランチを食べて、スーパーで滞在中に必要なものや帰国後に配る系のお土産を見つくろっているうちにホテルのチェックイン時間になるという塩梅だ。

滞在中は特になにをするということもなく、飽きもせずに朝からプールサイドでごろりと横になってひたすら読書するのが至福の時間。普段、なかなかまとまって本を読むことができないので、ここぞとばかりに読みたかった本を10冊以上は携えてハワイ入りする。新しい本もあるけれど、池波正太郎や藤沢周平、向田邦子など繰り返して読みたくなる本も何冊か。こうしてのんびりすごしているうちに、肌もこんがりといい感じに焦げきて、夕食に出かけるための準備をしに部屋に戻る時間に。

今日は何を食べようか考えるのも楽しい時間。何年も通っている気楽な町中華的チャイニーズにアメリカらしい豪快なTボーンやトマホークと呼ばれる骨つき肉のステーキ、日本とはひと味違う焼肉にシャーベット状になったスープの葛冷麺など、よりどりみどり、ああ、毎日の晩ごはんの準備をしなくてもいいというのがなんと楽ちんなのか!

アメリカでありながら、多くのアジア系の人たちが住むハワイは独自の食文化が育まれてきた。なかでも新鮮な野菜たっぷりのアジア系エスニック料理は日本ではなかなか食べられないもの。ロコたちに長年愛されている老舗から、モダンなアレンジを加えた話題のお店まで行きたいお店は数えきれない。そんなお店が多く存在するのが、チャイナタウンのあるダウンタウン地区だ。

以前は夜になるとひとりでは歩いては危ない怖い場所と言われてきたが、10数年前から、美味しくて個性的なお店がぽつぽつと出来始め、今ではモダンなアートギャラリーやエッジィなセレクトショップなども増えて、おしゃれな人たちが集まる注目のホットスポットになっている。昼間は野菜やフルーツが店先に並んだマーケットや天井の扇風機が回り、ちょっと怖い?おばちゃんが店を仕切っている昔ながらのお店が並ぶどこかノスタルジックな雰囲気と夜になるとモダンに改装されたお店に灯りがともり、おしゃれにドレスアップした人たちが集まって来るワクワクした空気感が流れる二つの顔を持つ街。今回のハワイで印象に残ったレストランの多くもこのダウンタウン地区にあった。

まずランチの代表は川沿いに建つ古いフォーのお店。怖いおばちゃんランキング堂々№1に輝く「Pho To-Chau Vietnamese Restaurant」。今回の訪問でその怖い女主人は「美味しい?」ニコッと笑顔で聞いてくるから逆に調子が狂ってしまったけれど…。とにかくフォーが美味しい。

味わい深く滋味あふれるスープにもちもちの麺、たっぷりと添えられたホーリーバジルやミントにしゃきしゃきのもやしをたっぷりのせてレモンをきゅっと絞って食せば、たまらない美味しさ。前菜に揚げ春巻きも食べておなかおっぱいになっても食後感も爽やか。斜めに入る日差しがノスタルジックさを感じさせる窓際の席が好きだ。

他にも今では珍しくなったワゴンサービスの飲茶が食べられる「Legend Seafood Restaurant」もおすすめだが、ここからは夜のお店を。

まずはミャンマー料理の店「Rangoon Burmese Kitchen」から。
いまでは家族同様のお付き合いをしているハワイ在住のスーパーコーディネーターの工藤まやさんにも一度は行くべきと勧められていたお店で、ほんのり苦みのある茶葉にさまざまなナッツに甘酸っぱいドレッシングと和えて食べるジンジャーサラダを始め、とろとろの茄子のカレーやガーリック味の炒め麺など、何を食べても美味しい。タイ料理ほど辛くなく、インド料理のテイストもありつつ、ベトナム料理のように野菜もたっぷりの味わい深いメニューの数々はやっぱり食べてみなければわからない美味しさ。「ミャンマー料理ってイメージが湧かない」といまいち気がすすまなかったことを後悔する結果になった。

続いては、ベトナム料理に押されて、意外に少ないタイ料理。「Opal Thai」はなんとおまかせスタイルでタイ料理を食べさせるお店。メニューは一応あるけれど、そのからの注文は受けず、バンコク出身の店主のオペルさんが素材の好き嫌いを聞いたあとにメニューを構成して、奥のキッチンにいる奥様が作る。しかもそのおまかせがテーブルごとに違うところがすごい。前菜に出てきたタイ風の大根餅から胃袋をがっちり掴まれ、続く甘辛だれがたまらないフライドチキン、ガーリックが効いたうどんのような炒め麺など、緩急をつけたコース構成はさすがとしかいいようがない。今思い返しても食べたくなる逸品そろいだった。

ほかにも、この11月に日本に出店する、ダウンタウンが注目されるようになった立役者の「The Pig and The Lady」やフレンチをベースにハワイの素材と日本のテイストを加えたセンスのいい料理と空間でいまや予約が取れないレストランになった「Senia」など話題にはこと欠かない。

ハワイを訪れた際にはぜひ、ダウンタウンにぜひ立ち寄ってみてほしい。

 

*次回は11月11日(月)更新予定です。

 

『arikoの食卓』

 『arikoの食卓 -もっと食べたい-』

『arikoの黒革の便利帖』
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Written by ariko
ariko

CLASSY.、VERY、HERSなどの表紙やファッションページを担当する編集ライター。日々の食卓をポストしているInstagramが、センスあふれる美味しそうな写真と食いしん坊の心を掴む料理で話題に。現在、フォロワー数は131,000人を突破。Instagram@ariko418

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