【憧れの北欧暮らし】スウェーデン在住のソーイングデザイナーにインタビュー!


美しい自然に、シンプルながらほっこりと品のあるインテリア、あたたかみのあるテキスタイル……。
家具や雑貨などをはじめとする「北欧の暮らし」に注目が集まるようになって久しい昨今。近年ではコロナ禍の影響で住まいのあり方を見直す人も多く、居心地のよい空間を意味する「ヒュッゲ」というデンマーク語も、記憶に新しいのでは?

ソーイングデザイナーのオルソン恵子さんは、スウェーデン在住。現地で洋裁のアトリエを営みながら、YouTubeやSNSで、北欧ならではの可愛い布小物などのソーイング作品を発信されています。
今では、なんとフォロワー累計23万人超ともなる人気ぶりで、初の著書となる『北欧ぐらしの布小物』を上梓されたばかり!
そんなオルソン恵子さんに、北欧での暮らし、そして多くの支持を得るソーイング作品について、お話を聞いてみました。


Photo by Keiko Olsson

 

“人生そのもの”を謳歌する、スウェーデンの仲間たち

――『北欧ぐらしの布小物』ご出版おめでとうございます! スウェーデンでソーイングデザイナーとして活躍中のオルソンさんですが、北欧に移り住むことになったきっかけをお教えいただけますか?

オルソン恵子:ありがとうございます! 北欧に移り住むきっかけは、たまたま夫がスウェーデン人だったからなんです。実は夫に出会う前は、スウェーデンといえば「IKEA?」くらいの知識しかなくて、北欧といってもどこにあるのかもあやふやなくらいだったのです(笑)。
でも、初めて訪れた瞬間に良い国だなと思い、それからスウェーデンの文化に触れる度にどんどん好きになっていきました。移住して13年経ちますが、私にとってはとても暮らしやすい環境だなと思います。イギリスに留学していたこともありまして、海外での暮らしは自分には合っている気がしています。

 

――では、ソーイングデザイナーとして「これは、北欧ならでは!」と、衝撃をうけたこと、インスピレーションを受けたことなどあれば、お教えください。

オルソン恵子:仕事柄、ものづくりをする人やデザイナーなど、フリーランスや事業を起こして活動している仲間が多いのですが、働き方の多様性や、ライフワークバランスの取り方のうまさに驚きます。専業で作家活動をしている方もいれば、先生や薬剤師など、まったく別の職業で働きながら、どちらもうまく両立させてバランスをとって活動されている方もいます。かといって仕事ばかりというわけではなく、プライベートの時間は創作のことを一切忘れてキャンプに行ったり、森にキノコ狩りに出かけたり、家族や友人とのんびり過ごしたり、人生そのものを謳歌しているように感じます。
私は日本人ということもあり、どうしても仕事を優先して休みを取らずに「暮らしをたのしむ」ことを忘れてしまうことがありますが、スウェーデンの人達にとってその働き方は不思議に映るようです。スウェーデンには「Lagom(ラーゴム:ほどほどに、適度に)」と言う言葉があり、なんでも頑張りすぎず、ほどほどにと言う価値観があります。人生の幸福度にも繋がる、いい文化だなと思います。


▲アトリエの仲間とその家族たちと白夜のディナー会
Photo by Keiko Olsson

 

大人気!「型紙なしでできるボックスポーチ」

――『北欧ぐらしの布小物』についてお伺いします。洋裁初心者の人も多いかと思いますが、「まずはこの作品から作ってほしい!」というおすすめの作品はありますか? コツがあれば、ぜひ、あわせてお教えください。

オルソン恵子:イメージの画像を見て、作ってみたい! と思っていただけたアイテムを作るのが一番だと思いますが、もし 迷ってしまうようでしたら、PART1の「ミニ巾着」や「リップクリームケース」だと、最初のステップとして良いかと思います。布が大きくなると扱いも少し難しくなるので、まずは小さなアイテムから始めるのがおすすめです。
巾着のコツは、作り方でも解説していますが、紐を通す穴の位置を作るときに逆側に縫ってしまわないよう、説明をよく確認して縫ってみてください。リップクリームケースは、工程16のPointで解説している「ミシンが進まない時のコツ」を試してみてくださいね。

 

――大人気のYouTubeやInstagramですが、発信されているなかで、もっとも反響の大きかった作品をお教えください。どのようなコメントが寄せられましたか?  

オルソン恵子:YouTubeでもInstagramでも、一番視聴回数が多かったのはマスクの動画なんですが、2番目はボックスポーチの動画ですね。あの動画はYouTubeをはじめてわりとすぐに作った動画なんです。まだ撮影にも慣れていなくて、試行錯誤しながら作りました。「型紙なしで出来るポーチが良いのでは?」という発想から、使いやすくて、作りやすい形にこだわってデザインしました。 ありがたいことに反響がとても大きくて、日本はもちろん世界中の方から「説明がわかりやすい!」「可愛い!」というコメントも沢山いただきました。
今でも視聴者の方が作った作品の画像やご感想をもらっています。なかには外国のお子さんがお母さんと一緒に作ったというメッセージとお写真などもいただいたり。レビューをもらえるのは活動を続ける上でとても励みになるので嬉しいですし、ありがたいなと思います。


▲動画が282万回視聴されているボックスポーチ
Photo by Keiko Olsson

 

作り方のプロセスは「とことん分かりやすく」!

――初のご著書となる『北欧ぐらしの布小物』ですが、制作中、もっともこだわったポイントは? 最後に、読者のみなさんへのメッセージとあわせてお願いします!

オルソン恵子:はい、これは本当に色々あります! デザインに関しては、keiko olssonのスタイルをそのままに、初心者さんでも作りやすいシンプルな形だけど、どこか他とは違う、そんなデザインを目指しました。作り方のプロセスは「とことん分かりやすく」を意識して、すべての工程を画像つきで解説しています。
そして、今回すべての画像を自分で撮影させてもらったのですが、作品そのものの良さを伝えるため、撮影の時は特に気を配りました。作品を引き立たせるため、モデルさんの衣装のワンピースは型紙からおこして自分で仕立てました。カラフルな作品が多いので、読者の方にはナチュラルな色合いの洋服とコーディネイトしてもらいたくて、そのイメージで撮影させてもらいました。


Photo by Keiko Olsson

それから、コデックス装(※本の開きがよく、手でおさえなくても開いた状態を保つことができる)という製本を担当の方から勧めてもらい、180度開く製本にしてもらいました。本を平に広げて置けるので、作業しながらでも作り方の説明が見やすくなっていると思います。

今回、ワニブックスさんから出版のお話をいただいた時に、担当の方から「keiko olsson の名刺代わりになるような本にしたい」と仰っていただき、それが今回の本を作りたいと思ったきっかけでした。そして、そのお言葉通りの本に仕上がったと思います。ぜひぜひ、たくさんの方々にお手に取っていただけましたら嬉しいです!

 

オルソンさんの語る、スウェーデン人の上手なワークライフバランスの取り方や、「Lagom(ほどほどに、適度に)」というスウェーデン語など、まさに人生を謳歌する暮らしぶりに、「北欧の暮らし」へ、憧れを強くした人も多いのでは――?
『北欧ぐらしの布小物』では、オルソンさんならではの“可愛いのに簡単”レシピがズラリ! 初心者でも素敵なカードケースやポーチ、トートやショルダーバッグから北欧ならではのフィーカマット(お茶時間に使う小ぶりなクロス)まで、ワクワクするレシピが満載です。
まずは、この一冊で、生活のなかに「北欧」を取り入れてみませんか?

 

北欧ぐらしの布小物
著:オルソン 恵子

Keiko Olsson/オルソン恵子

スウェーデン在住のソーイングデザイナー。文化服装学院で縫製を学ぶ。在学中にはミュージカル劇場で縫い子の経験をし、舞台衣装の現場に携わる。2008年にスウェーデンに移住。現地で Syatelje keiko olsson (ケイコ・オルソンの洋裁店)というアトリエを営む傍ら、ソーイングのワークショップ、YouTube、展示会、オンラインショップ、手芸関連書籍の監修、企業へのデザイン提供など、ソーイングにまつわる仕事を手掛ける。ソーイングの作品をアップしている YouTube のチャンネル登録者数は 17万人(2021 年 9月)。また、SNS でスウェーデンや北欧の暮らしについても発信中。
Instagram @keiko_olsson
YouTube Keiko Olsson Sewing Channel