【インタビュー】「潜在意識への道先案内人」セラピスト OCOさん【前編】

【インタビュー】「潜在意識への道先案内人」セラピスト OCOさん【前編】



BOOKOUTジャーナルとは

知られざる想いを知る―。
いまいちばん会いたい人に、
いちばん聞きたいことを聞く、
ヒューマンインタビュー。


撮影/イマキイレカオリ
文/井尾淳子

Primary Professional Therapist(プライマリー・プロフェッショナル・セラピスト) として活動を続けているOCOさん。もともとは医療職に就き、リハビリテーションを専門とするPT(フィジカル・セラピスト)理学療法士として働いていたといいます。そして現在のPrimary Professional Therapistでは、クライアントの潜在意識にあるものを探り、問題解決のヒントにつなげていく施術を行っているとのこと。そんなOCOさんに、前編・後編にわたってインタビュー。

前編では、OCOさんが今のセラピーに至るまでの歩みと、現在行っているセラピーについて、お話を伺いました。

 

人を動かす「何か」

―OCOさんがリハビリテーションや理学療法士という職業に興味をもったきっかけについて教えてください。

OCO はい。まず、言葉についてお話しさせていただければと思います。「リハビリテーション」というのはラテン語の「habilis」に由来していて、「適した」「相応しい」「望ましい」という意味があります。患者さんをもう一度、その「適した」状態にするべくサポートしていくことですね。
リハビリテーションという概念は、医療の中では比較的新しいものです。私が高校生だったころ、導入する医療機関や療法士の数も今より少なかったのですが、その語源の深さを考えるきっかけとなった出来事がありました。

高校生のとき同居していた祖母が転んで尻もちをつき、腰椎圧迫骨折と診断されました。この場合、安静に寝ていることが治療のステップとして必要なのですが、安静に寝ている方に対しても実はリハビリテーションは始まります。しかし祖母が入院した実家近くの地方病院では、十分なリハビリテーション医療は導入されていませんでした。安静に寝て過ごす間に、本人の意欲や筋力、循環全体が低下し、いざ治療の次のステップとして元の生活に戻るために動き始めようとしたときには、「何のために起きるのか」というやる気、こころの機能を削がれてしまい、「起きたくない」という気分から祖母は自分の力で起き上がることができなくなってしまったのです。

これまでできていたことが、数ヶ月やらなかっただけで、気持ちも含めてできなくなってしまう。やりたくなくなってしまうのはなぜだろう?と考えました。
同時に、この世の中から「やらないことで、できなくなってしまった、やりたくなくなってしまった」という人を出したくない、そして私が祖母を治す、と決意しました。先生も看護師さんも、院内の誰も、祖母を「起きたい」という気持ちにすることができなかった。でも私が「外の景色を観に行こうよ」と声をかけると、起き上がろうとする。ということは、専門的・西洋医学的なものとは別に、「人を動かす何か」があるのだなと思いました。私は、そのきっかけとなるような人間になりたい。人が意欲を取り戻すための、灯火のような存在になりたいと、強く思ったのです。

 

 「全人的である」ということ

―高校生で、その視点はすごいですね。お祖母様を治すための医療なのに、なぜか状態は悪くなってしまった。それが進路のきっかけになった、と。

OCO そうなんです。「自分は◯◯ができなくなってしまったけれども、この人とだったら、本来の自分になっていけるんじゃないか」。そういう希望のきっかけになりたい、という思いを家族に話したところ、「それは理学療法士という仕事が合うのでは」と父に教わりました。「じゃあ、私はそれになります」と(笑)。なんだかかっこいい名前だなと思ったのを覚えています。

―「何かの職業になりたい」ではなくて、「人を動かす希望になりたい」という信念が、まず先にあったんですね。

OCO 理学療法士になろうと決めたときから、そして今でも、「全人的な関わりに基づくアプローチ」を大切にしています。「全人的」というのは、目の前にいる、見えている患者さんの情報だけではなくて、その方の言葉にならない「声なき声」を拾い上げることを意味します。生育歴や家族歴などの個人的なこと、環境や社会背景も含めて関わっていくことです。たんに「歩けなくなった」から「歩けるようにする」ということだけではなく、もっと根源的な、深層心理の中にあるその方本来の「在るべき姿」に向かってアプローチをしながら伴走をすること。そういう全人的な関わりを目指していたのですが、当時の医療の中でのみでは、西洋医学という線引きの中でしか関わることができない、自身の思いを実現する関わりは難しいと考える出来事や出会いがありました。

そのエピソードの一つに、治療を進めてもなかなか血液データの炎症値が下がらない脊柱の骨折をした方がいらっしゃいました。とても素敵な方で、リハビリにも意欲的で、治癒後の将来像を共に組み立てながら伴走していたのですが……。脊髄のがんによる骨のもろさから生じた病的な骨折であると、血液の再検査によって新たな病態が判明したのです。
リハビリテーションで志すのは「その方の適した望ましい状態」、その言葉の本質を深く考え直しました。私ができることを、西洋医学の理学療法士としてベストを尽くそうと決意しました。病気について医師からの告知があった後、その方と1対1になったとき、私は目の前で泣いているその方の心の痛みを感じ、同じように泣いていました。圧倒されるほどの大きな壁を目の前にして、セラピストとして何か大きく転換する必要性と、この逆境をともに乗り越えるタイミングも同時に訪れた気がしました。全人的な関わりという信念を胸に、私はこの方に対してのケアをもっと、もっとできるはずで、できることも、ご本人の治癒能力もまだまだたくさんあるはずなのだと。けれどそれはきっと、病院のシステムや西洋医学的なルールを超えたところに、私の志す関わりの本質があるのだろう、とそのとき強く感じたのです。

 

すべて、潜在意識が知っている

―それで独立されて、セラピストとして活動されるようになったのですね。「クライアントの深層にある、根源的な訴えを聞き届ける」というのが、OCOさんのセラピーと伺いました。実際にはどのようなことを行うのでしょうか?

OCO セラピーでは、クライアント本人が自分の本来的な希望や訴えに気づくことを重視し、そのためにキネシオロジーという施術を主軸に行います。人間行動学とも呼ばれるもので、人がどんなきっかけで、どんな行動をとるのか。筋肉の反応を見ながら、その「意図」を探っていきます。意図というのは、顕在意識(自覚されている意識)には上ってこないもの。過去の深い記憶やトラウマとなる原体験など、潜在意識(自覚されない、本人の行動や思考に影響を与える無意識)からの情報のことです。

実際の施術時には、からだに触れることもあれば、からだに触れずに、遠隔で筋肉の反応をつぶさに受け取り反応をとっていくこともあります。さらに対話や質問を重ね、その方ができる限り、ご自身の言葉でみずからの潜在意識の情報に気づくことができるようなプロセスを辿ります。それぞれの方の自己実現のために必要なことを見つけ、また引っかかりになっているものがあれば取り除く。潜在意識の伴走者というイメージですね。

(※)深層心理や、顕在意識に上ってこない過去の記憶や、トラウマや潜在意識をみていく技術。問題となっている心理状況の奥深くを探る技術を「潜在意識カウンセリング」と呼ぶ。

―キネシオロジーや対話によって、OCOさんからアドバイスをもらう、ということでしょうか? 潜在意識に、すごいヒントがありそうですが。

OCO アドバイスはするのですが、私からではなく、ご自身がこうありたいという「HOPE」に対して、そのためにこうする必要があるという「NEED」を、ご本人の潜在意識から取ってきたもの、となります。「今、こういう状態だよ。だからこれを解決するには、こういうふうにしてほしい、またこういう言葉や方向性を必要としているよ」という感じですね。それらの情報はすべて、その方のからだの中に詰まっています。たとえば足りていない栄養状態であるとか、環境面や対人関係、パートナーシップの不具合が起こる理由とか。しかもそれらは互いに関連していることがほとんどです。「胃腸の不調は、じつはこの対人関係の問題が起因していて、スピリチュアルのカテゴリーでは、過去生という深い記憶に基づく原体験を癒す必要がある」など。それらの解決の優先順位についても、じつは潜在意識は私たちの想像を遥かに上回るほど、わかって知っているのです。

「人が本来在るべき姿をともに探るセラピストになる」という決意とともに独立したOCOさん。後編では、OCOさんのセラピーについてさらに詳しく伺うとともに、潜在意識にアプローチするための具体的な方法もご紹介していきます。

*後編はこちら

OCO

プライマリー・プロフェッショナル・セラピスト。理学療法士として急性期〜在宅までの幅広い疾患と病期のリハビリテーションに携わる。一側面だけではなく、あらゆる関係性を総合的に捉え、アプローチをしていく必要性を感じ、独立。西洋・東洋医学、量子力学を用いたキネシオロジーを主軸に、フラワーエッセンスやクラニオセイクラルなど幅広い知見や技術により、それぞれのクライアントに合ったベストな形で寄り添う。その非常にパーソナルな施術は、個人をはじめ経営者や教育・美容・芸能業界から”本当の幸せへ導くセラピスト”として信頼されている。
HP https://www.oco-therapy.com/