【INTERVIEW】放送中の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で、イヌブラザー/犬塚翼を熱演中の柊太朗。戦隊の現場で学んだこととは?

【INTERVIEW】放送中の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で、イヌブラザー/犬塚翼を熱演中の柊太朗。戦隊の現場で学んだこととは?


現在放送中のスーパー戦隊シリーズ第46作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』。昔話の『桃太郎』がモチーフになっており、そこで柊太朗はイヌブラザー/犬塚翼を演じている。放送当初は「逃亡者」として謎めいた役柄だったが、元恋人・夏美(新田桃子)との関係が明らかになったり、雉野つよし(鈴木浩文)の妻・みほが夏美と同一人物かもしれないという衝撃的な疑惑も持ち上がったりと、今後の展開から目を離せない中で、どのように作品と向き合っているのか柊太朗に話を聞いた。

撮影/浦田大作 スタイリスト/金野春奈 ヘアメイク/榎本愛子 文/太刀川梨々花

――小さなころから見ていたというスーパー戦隊シリーズ。今回『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の出演が決まり、どんなお気持ちですか?

「まさか自分が戦隊をやるとは思っていませんでした。小さなころは俳優なんて夢の世界だと思っていて。そう思っていた子供のころからしたら、今の自分はあり得ないところにいるんだなと感じています。この業界でやっていこうと決めてから、まずは戦隊に受かってよかったなと少しホッとした気持ちはあります」

 ――ヒーローがお好きだったんですか?

「そうですね。『仮面ライダー』や『ウルトラマン』も好きなのですが、一番記憶に残っているのは、『スーパー戦隊』ですね」

――今までのスーパー戦隊シリーズと比べて本作の特徴はどんなところだと思いますか?

「46作品の戦隊の中でも、時代を超えてはっちゃけているなと僕は思っていて(笑)。僕達俳優からしても攻めている作品なのかなと感じています。変身した時のビジュアルも僕とキジブラザーはCGなので、今まで自分が見ていた戦隊とは違うし、新しいなと思っています」

——元恋人の夏美との関係など、犬塚翼の過去のお話については、最初はどこまで聞いていましたか?

「過去に関して、最初は何も聞いていなかったです。なので、5話~8話くらいまでは、セリフや言い回しは今いる状況から自分で過去を作って演じていました。その部分が役作りに関しては一番難しかったですね。でも、最初に監督さんと相談した時に、“芯がある男”っていうことは仰っていて、僕もそう思いました。そこから過去が明らかになった時に、夏美という存在に対して、“自分の生きる活力”があったので、ズレなく演じられていると思います」

——自分で想像した部分とはどんなところですか?

「最初に知っていた設定は、逃亡しているという程度なので、そこから考えるとずっと孤独だったんだろうなと思いました。でも段々と、やっぱり憎めないし、結構お人好しな部分もあり、人間らしいヤツなんだなって感じましたね。撮影を重ねて、ブラッシュアップされていったものが、僕にちょっと似ていたので、より演じやすくなりました」

 ——役をつかむ上で、自分に似ている点が大事になってきましたか。

「同じ気持ちを共有出来る部分があったほうが、演じやすい気がします。新しい世界をみて新しい情報を得るよりも、自分の過去から引っ張り出せるものがあるほうが演じやすいです。ですが、新しいところがあるほうが、役者としては経験値がアップするのかなと思ったりはします」

——戦隊は台本を覚えることと、撮影が続く長い日々だと思います。台本はどうやって覚えていますか?

「最初は全然覚えられなくて、準備が凄く必要でした。30回読んで、10回くらいは復唱して、やっと頭に入れていましたね。今は、インプットはたくさんするようにしているんですが、アウトプットは少なくても覚えられるようになってきた気がします。“ここは大体この流れで、僕はこのセリフを言う”というのを覚えておくんです。その受け答えをする演技のほうが僕は絶対にいいと思っています。決め込み過ぎず、余白を持ったままいくようにしています」

――現在、36話まで放送されていますが、初期の時と比べて、今はどう感じながら見ていますか?

「本格的なドラマ出演は初めてだったので、凄く緊張していて、5話、6話ぐらいまでは見返したくないのが本音です(笑)。自分では大丈夫だと思っていたんですけど、作品を見返すと、セリフの言い回しや目線ひとつ、瞬きひとつにしろ、反省点はたくさんあります。撮影では、心残りになる部分もあるんですけど、一発勝負になってしまうシーンもあるので、色々作戦を練りながら、放送を見返しています」

 ――撮影中に監督から演出指導はありますか?

「基礎的な指導はなくて、『ここはこうしたいんだけど、こう出来る?』みたいなニュアンスの違いや、『言い回しをもっと強くして』、『ここは笑いながらやってみよう』などの指示は多くあります。最初のころは、右も左もわからなかったので、カメラの位置もあまり関係なく演技してしまっていて。撮影のいろはを教わりながら演じていました」

 ――理解出来ないところや、疑問に思ったところは監督に聞いたりしますか?

「聞いたことは何回もあります。顔なじみの監督なので、『ここはこうしてもいいですか?』とプランを先に伝えると、『全然いいよ』と言って下さることが多いですね。コミュニケーションはよくとるようにしています」

――柊太朗さんの意見が反映されたシーンは具体的にありますか?

「僕が意見を伝えた部分は、普段の会話の中でのニュアンスだったり、細かいところなんですよ。例えば、犬塚翼には高所恐怖症という設定があります。そこで、桃井陣(和田聰宏)と犬塚翼が喋るシーンで、桃井陣の部屋は奈落のようになっているので、高所恐怖症っぽく、おどおどしながら演じてみたいというのは、僕が監督に言ったところです。そんな感じで、気になった部分は台本を読んだ時にチェックしておいて、現場入った時に相談するようにしていますね」

――意見が言える環境というのは、やりがいがあっていいですね。

「高校生までは目上の方に意見するっていうのが、自分の中でダメというか、するべきことではないだろうと思っていました。でも、『ドンブラザーズ』が始まって、もじもじしていることは、凄く勿体ないことだなと感じたんです。ほかの新しい現場でも、意見を言うということの考え方が自分の中で改まったので、そういった面では凄くコミュニケーション能力も必要だなと思いました。どんどん使っていけばいく程、自分に有利になっていくので、そういったところは『ドンブラザーズ』の現場で、身につきましたね」

――キャストのみなさんとは演技の話はされましたか?

「たまにします。それこそ、ひろ(鈴木浩文)さんは、お芝居をたくさんやってきている方なので、僕以外にも(樋口)幸平や(別府)由来君の同世代は、ひろさんに、『こうするべきですかね?』みたいな質問をしています。僕達同世代同士では、『ここはよかったよ』とか、演技を見返して、『ここの演技いいじゃん!』とか褒め合ったりもしています」

――高め合えるメンバーなんですね。

「そうですね。34話で、犬塚翼と雉野つよしが喧嘩するシーンでは、幸平と(富永)勇也君が『凄くいいじゃん!』と言ってくれて、嬉しかった記憶があります」

――初回放送から半年以上経ちますが、演じていくうちに自信がついていく感じはありますか?

「ほかの現場に行っても、カメラとかに慣れた気はします。自信というより、慣れなのかもしれませんが、いろはを教わった分、自分が何をすればいいか、どういう手順で撮影が進んでいくのかというのが毎日やっているので、わかるようになりました」

――アフレコやアクションシーンにも挑戦されています。

「アフレコをこんなにも多くやらせて頂けるのは、声優さんか戦隊くらいだと思うので、そこは自分のためになりますし、いい経験になっていますね。僕はアクションシーンも多くて。アクションって少しでもぬるくやっちゃうと、カメラでみた時にすぐわかってしまうと思うんです。アクション監督とも『ここはバシッと決めればかっこよくなるね』などお話をさせてもらいました」

――声のお芝居という意味で、何か特徴をつけたり意識されたところはありますか?

「犬塚翼は、男性の中でも声が低くて、少しハードボイルドというか、ダンディーチックな声のほうがいいなと思っています。犬塚翼として喋っている時も少し声が低いんですけど、アフレコでは、それよりもう少し低く、がなりが入っている、しゃがれた声を出すように心がけています。犬塚翼の時は、やり過ぎると不自然になってしまうのですが、イヌブラザーでやる分には、それだけ誇張しても強く見えないんですよ」

――通常のお芝居だけでなく声のお芝居など、戦隊は多くの事が学べる現場ですね。今後の見どころを教えて頂けますか。

「夏美・みほをめぐって、犬塚翼と雉野つよしの問題が発展していきます。35、36話辺りもいざこざになっているので、ふたりの気まずそうな関係だったりとか、あとはドンブラザーズとしての問題も結構出てきたりします。今まではってきた伏線が僕達だけじゃなく、ほかの問題としても発展していくので、そこに関しては僕達自身も楽しみにしているくらい面白いです。今までが下準備という感じだったので、今後の物語がより面白く見られると思います」

――では最後に、役者としての今後の目標を教えて下さい。

「僕は、ドラマや映画とか色々出ていきたいのですが、どんなメディア、どんなジャンルでも挑戦していきたいと思っています。この映画にも出ている、このドラマも出ているじゃん! みたいな感じで、ずっとメディアに露出出来るような俳優になっていきたいですね。あとは朝ドラとか時代劇とかもやってみたいんです。武士とかはこの時代に、絶対になれないものなので、普通に生きていても出来ないことをさせてもらえるっていうのは役者としてのメリットなのかなと思っています。あとは、演技だけでなく、モデルの仕事もしていきたいなと思っています」

衣裳協力:シャツ¥36,300(WIZZARD/TEENY RANCH 03-6812-9341)、パンツ¥5,940(CASPER JOHN/Sian PR 03-6662-5525)、その他スタイリスト私物


  ●プロフィール
柊太朗/とうたろう
2000年10月27日生まれ、北海道出身。19年に芸能界入り。その後、TVや広告、MVなどに出演し、21年7月にはミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学vs不動峰(石田鉄役)に出演。22年3月より放送開始のスーパー戦隊シリーズ46作品目『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(イヌブラザー/犬塚翼役)でドラマデビュー。


 ●作品紹介

©テレビ朝日・東映AG・東映

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』
原作/八手三郎
脚本/井上敏樹
監督/田﨑竜太 ほか
出演/樋口幸平 別府由来 志田こはく 柊太朗 鈴木浩文 石川雷蔵 富永勇也 宮崎あみさ タカハシシンノスケ 駒木根葵汰 和田聰宏 ほか

元恋人・夏美(新田桃子)の獣人としての姿を見てしまった犬塚翼(柊太朗)。敵から夏美を助けようとして自分も獣人になってしまうのだが、ドンブラザーズも駆け付け、元の姿に戻ることが出来た。一方で、妻のみほが、夏美として翼の元にいってしまい意気消沈していた雉野つよし(鈴木浩文)に不穏な動きが…。 
毎週午前9時30~テレビ朝日系にて放送中。
https://www.tv-asahi.co.jp/donbro/