【インタビュー・葉山潤奈さん】炎上、誹謗中傷…正解のないネット社会で生き抜く方法とは?


SNSでは今日も様々な炎上が発生し、憤る人、攻撃する人、傷つく人、病む人、あらゆる人々の感情が渦巻いています。
プロダクションの社長、アーティスト、そして人気生配信者として多くの人々の共感を集め、同時に数々の炎上も体験してきた葉山潤奈さん。エッセイ『正解のない世の中を生きる』を刊行した彼女に、ネット社会での生き抜き方、メンタルの保ち方について聞きました。

 

マスク強制への問題提起のつもりが炎上に

――ネットでは日々、炎上や誹謗中傷が繰り返されていますね。

私も最近、炎上を経験しました。「マスク強制すんのマジやめへん? つけたい人だけつけとけばいい」とツイートしたのがきっかけです。知り合いの3歳の子どもが周りがマスクをつけているせいで、今だにあまり言葉が話せないという話を聞いて、これって、何か違うんじゃないかと思いました。

――マスクする、しないが炎上につながったんですか?

もちろん、マスクする人がいてもいいんです。私も免疫力の低い方が多い病院ではマスクをしますし、マスクしたい人に絶対するなと言いたいわけではありません。
「『周りがしてるから』『しないと白い目で見られるから』という同調圧力に負けてマスクをしたり、それを他人に強要するのはどうなの?」と問題提起したかったんです。だから、反対意見はウェルカムです。今回しんどかったのは誤解ですね。これは私がツイートを書き間違えたことが発端なのですが、「(マスクの強要で)子供の言語の発達障害が生じている」と書きたいところを、「子供の発達障害が生じている」と書いてしまって。発達障害は先天性のものですから、指摘を受けて謝罪しました。

――言語の発達の遅れをADHDやASDのような発達障害だと誤解されてしまったんですね。

伝えたいのはそこではないんです。私は「Freeマスク」という言葉を使っていますが、このFreeは”自由”。外すのも着けるも己の選択でしていこうという意味です。
今ってマスク賛成派も反対派も過激になって、自分の正論を通すことに躍起になりがちです。お互いに情報を共有するならまだしも、勝手な正義感で相手を責め続けていては前へ進めません。だから、一番伝えたかったのは「何事も強要はやめよう」ってことでしょうか。
マスクの問題には正解はありません。正解のない中で、それぞれが自分の頭で考えて、ベストの選択をしていければいいと思っています。

 

意見をぶつけ合うことを恐れないでほしい

――葉山さんは最近、エッセイ本を出されました。

とくにネット社会は名前のない者同士が言葉や感情をぶつけ合う世界です。面と向かっていない分、安易に誹謗中傷やデマを吐く人たちがいる。そんな世界でどう生き抜いていけばいいのか。ネットはもちろんリアルでも使える「メンタル強化術」を中心に書きました。メンタルって心の問題かと思われてるけど、私は頭の問題だと思うんですよね。考え方の問題というか。生配信をしてると「自己肯定感が上がらない」「弱い自分が嫌なんです」「人と比べて落ち込んでしまう」などと様々な悩みをもつ方に出会いますが、悩んでいる人はある意味、自分の弱点がわかっている人、気づいている人です。自分では弱みだと思っていることも、考え方や見方を変えれば強みにもなる。では、どうやって強みにしていくか。そんなことを書いたのがこの本です。

――とくにSNSなどネット社会でどう生きるかは、かなり重要なテーマですよね。

ネットはあらゆる情報が散乱しています。ウソもホントも散らかってる状態だからこそ、見極める力をもっていないといけないと思います。とくに日本人は協調性というか同調性がありすぎて、他人に合わせてしまう分、自分の頭で考えられない。自分の意見と違う人をむやみに攻撃してしまうのも、それぞれの頭で考えてないからでしょう。ツイッターのレスで言い争いをしていると「炎上だ」みたいなことを言われますけど、あまり炎上だとも思わないんですよね。いろんな人がいろいろな意見を言うのは普通のことですから。

――違う意見が誹謗中傷につながる場合もありますよね。とくに若い世代はこれからのネット社会をどう生き抜いていけばいいのでしょうか。

たとえば、自分に関するデマや誹謗中傷を流された場合、沈黙しているだけでは消せないと思います。ブレずに発信し続けたほうがいい。ただ、絶対に戦えとは言えません。SNSは汲み取り力のない人も多いし、逃げるが勝ちという場合も多いです。

――戦うことで傷ついてしまう人もいるでしょうしね。

ただ、理想を言えば、意見をぶつけ合うことを恐れないでほしい。多数派が正しいとは限りません。自分の頭で考えて発言することは学びにもつながるし、その姿勢を見て応援してくれる人もいるかもしれない。私が楽観的すぎるのかもしれないですけど、「他人に合わせていかなきゃ」って風潮は無視していいと思うんです。はみ出しまくって犯罪者になるのはやりすぎだけど、自分の意見をきちんと言っても、自分の価値は目減りしないし、もしも間違ったことを言ってしまったら、きちんと謝罪すればいい。大事なのは自分で考える力を強めて、他人に乗っ取られないように生きること。『正解のない世の中を生きる』を読み終わった人のマインドが、そんなふうに変わっていたらうれしいですね。

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正解のない世の中を生きる
著:葉山潤奈

葉山潤奈

23歳でJoint M’sプロダクションを立ち上げ、26歳で株式会社Joint M’s Japanを設立し、代表取締役として活動しながら、自身もアーティストとして、またプロデュース業を手掛ける等、多彩な才能を発揮。 SNSは総フォロワー数が150万人を超え、messengerとして、TikTokやYoutube、instagramを中心に活動中。 全てを曝け出すプロモーションで多くの女性達から支持を得ており、過去の鬱になった話や実体験の動画などは100万回以上の再生回数を誇る。 SNS上で様々なブームを巻き起こし、メディアにも多く取り上げられ、自身がネット上でひぼう中傷やデマを流された体験を生かし、SNSの使い方や言葉を適切に選ぶ重要さ、炎上している人にどのような対応をすべきかなどの啓発活動にも力を入れている。 支援を目的としたNPO法人を立ち上げ、社会貢献への積極的な参加や、講演会などではメンタル強化セミナー講師としても登壇実績があり、様々な媒体から発信を続けている。
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