【イベントレポ】『それでも女をやっていく』ひらりさ×蟹ブックス店主・花田菜々子 対談!(後編)


 思わず「私はこうなんです!」と言いたくなる本

花田:本書を読んでいると「私の場合はこうなんです!」と、思わず言いたくなるんですよ。つまり、いわゆるガールズトーク的な楽しみ方もできる本だと思うんです。そこで、さっそく私の話をさせていただくと(笑)、ひらりささんが本の中で何度も書かれている、親しい友人関係だからこその「なんでわかってくれないの?」という身内感に悩む反面、踏み込んだ関係性だからこそ得られる喜びの両面があると、私自身、強く感じていまして――。

ひらりさ: なるほど。しかし、花田さんは蟹ブックスの店主として、お客さんとの人間関係、そして身内である店員さんとの関係をそれぞれ構築されていて、それって、すごいことだと思うんです。翻ってわたしの話をさせていただきますと、この本には劇団雌猫メンバーとの関係性やエピソードは一切出てこない。なぜかというと、感情的に期待しあっていないからなんです。身内期を経て、同僚期に入ったとでも申しますか、ある意味、ビジネスライクになったんですね。いま、とてもよい関係性なんですよ。

花田:めちゃくちゃ参考になります! やっぱり身内期だったあいだ――とくに、蟹ブックスのオープンまで――は、四六時中、仲間と一緒にいるので、正直、イライラしたり言い合いになることも……。それが、オープンを迎えて会うことが少なくなってからは、ようやくよい関係が築けるようになりましたね。

 ひらりさ:わかります。やはり、適切な距離感って本当に大事ですよね。だからこそ、『それでも女をやっていく』を読んでくださる方とわたしのあいだにも、適切な距離感を構築していければ、と考えているんです。実社会でつらいことがあっても、本もありますし、本日のようなイベントで楽しんでいただきたいですし。わたし自身、このイベントがとても楽しかったので、またどこかでお会いできたらうれしいです。そして、わたしがそう思っているということを、折に触れ、読者のみなさんに思い出してもらえたら、これほどうれしいことはないですね。

 

最後に、本記事限定として、花田さんに『それでも女をやっていく』と合わせて読みたい本を選書していただきました! こちらもぜひ、お手にとってみてください。

\花田さんおすすめの書籍/
家族』(亜紀書房)
著:村井理子

△家族への愛の捉え方がひらりささんに似ているなあと思いました。(花田さん)

女子をこじらせて』(幻冬舎)
著:雨宮まみ

△ジャンルや時代は違えど、自意識の苦しさを闘い抜けた人だと思います。(花田さん)

 

\好評発売中!/
それでも女をやっていく
著:ひらりさ

ひらりさ

文筆家。1989年東京生まれ。オタク女子ユニット「劇団雌猫」のメンバーとして活動を開始後、オタク文化、BL、美意識、消費などに関するエッセイやインタビュー、レビューを執筆する。単著に『沼で溺れてみたけれど』(講談社)。劇団雌猫としての編著書に、『浪費図鑑 ―悪友たちのないしょ話―』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。
Twitter @sarirahira

花田 菜々子

1979年、東京都生まれ。書籍と雑貨のお店『ヴィレッジヴァンガード」に12年勤めた後、『二子玉川蔦屋家電』ブックコンシェルジュ、『パン屋の本屋』店長、『HMV & BOOKS HIBIYA COTTAGE』店長を経て、2022年9月に高円寺に「蟹ブックス」をオープン。自らの大変をつづった『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』はベストセラーになり、2021年にWOWOWでドラマ化もされた。
蟹ブックス
HP https://www.kanibooks.com/
Twitter @kanibooksclub


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