【Amazon3冠で話題!】「もう女性として終わり…?」更年期に起こるこころとからだの変化とは?


女性の“デリケートゾーンケア”の必要性を発信し続け、ELLE誌の「世界を変える女性100人」にも選ばれた、フィトテラピー(植物療法)・フェムケアの第一人者――森田敦子さん。

デリケートゾーンケアの人気ケアブランド「INTIME ORGANIQUE(アンティーム・オーガニック)」、トータルライフケアブランド「Waphyto(ワフィト)」の開発&設立者としても知られる森田さんの著書『潤うからだ』(小社刊)は、女性の「No. 1バイブル」とも謳われ、「女性性」にまつわる意識を変えたベストセラーとなりました。

そんな森田さんが贈る、待望の新刊『私のからだの物語』が発売されました。幼少期から老年期にかけてまで、何歳からでもできる「性の学び直し」と題し、女性一人ひとりが、性を、からだを、「自分ごと」として受け止め、考えるヒントを詰め込みました。
ここでは、書籍『私のからだの物語』の一部を抜粋の上ご紹介します。

 

「もうこんな年齢だから……」とあきらめないで

「私のからだの物語」の中で、月経が終わるという閉経の時期は、どのようなとらえ方ができるでしょうか。
これからの時代は、前向きにとらえていきたい、と考えます。

女性の一生のうち、「月経のはじまり」を「性の自覚」とするならば、閉経はまさに「終わりのはじまり」つまりネクストステージです。
子どもを「産む・産まない」はあくまでも個人の自由。でも閉経するまでは、女性はみんな、毎月の月経を通じて、女性としてのからだを作り上げるために膨大な時間を過ごしますよね。月経のはじまりから、それが終わる閉経までの時間とプロセスに、敬意を表したいくらいの気持ちです。
そう思うと、「あ、閉経したんだ。自分はもう、女性としては終わりなんだ」だけで片づけてしまうのは、女性として生きてきた自分に対して、あまりにも雑な扱い方ではないでしょうか?


(イメージ:写真AC)

閉経は、「次なる性」のはじまりを知らせるサインです。
「年齢も重ねてしまったので、恋愛や性欲は落ち着いてしまっています」という人も多いのですが、性科学の視点では、性欲は食欲と睡眠欲同様に、生来人間に備わっている本能のひとつ。それは「落ち着いた」のではなく、「落ち着くものだ」と、無意識にコントロールされているのではないかと思うのです。
たしかに、からだは衰えていきます。けれど、性欲や、恋する気持ちは本来、年齢と関係なく存在するもの。そういう思いを抱いている女性が、いくつになっても女らしさとほのかな色香を醸し出すのではないでしょうか。
「いい歳をして」などという、外野の声に惑わされることなく、堂々と自分らしく生きたいものです。

閉経という「次なる性」。
老いて、枯れゆく部分はあれども、それ以上の経験や感性、いい意味での「手放し」も多く学んできたはずです。
もしかしたら、「性」を通じて傷ついた経験と引き換えに、他者への包容力や温かみ、人間としての奥深さも得たのではないでしょうか。その人間味を、どう自分の中で昇華し、どう表現していくのか。それは、女性としての生き方、大人の女性の腕の見せどころでもあると思います。
「もうこんな年齢だから……」とあきらめるのではなく、「私の場合は、どういうふうになっていくのかな?」と、楽しみに待つような、そんなワクワクも、もち続けていきたい、と思うのです。

 

腟まわりは変わっていくの?

更年期世代は、女性ホルモンが減少することにより、腟まわりにさまざまな症状が出ることがあります。私の場合、肝心の腟まわりに関しては、日ごろから続けているケアのおかげで、大きな問題は起きませんでしたが、一般的には腟萎縮に加え、次のような症状が現れます。
ご自身の状態と照らし合わせて、ぜひケアの参考になさってください。

腟まわりの乾燥やかゆみ

肌をみずみずしく保ってくれていたエストロゲンの減少によって、影響がもっとも出やすいと言われているのが腟まわりです。顔や手脚と同様、腟まわりの皮膚も乾燥してきます。放っておくと、ふっくらとしていた大陰唇や小陰唇は、シワシワのたるんだ状態に。皮膚が乾燥すると炎症も起きやすく、ショーツに擦れるだけで、かゆみや痛みが生じたり、黒ずみやすくなることも。
さらにエストロゲンの減少により、皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸が減少し、腟内の粘液量も減ってきます。腟の粘膜の乾燥は、腟内を守ってくれていた常在菌を減少させます。すると腟内の酸性が保ちにくく、自浄作用が弱くなりがちに。細菌が繁殖しやすい環境となり、強いにおいが気になったり、細菌性腟炎にかかりやすくなったりします。予防やケアとしては、腟まわりのオイルマッサージなどがおすすめです。

尿もれ

歳を重ねて骨盤底筋群の筋力が弱まると、咳やくしゃみ、運動時など、お腹に力が入った瞬間に少量の尿がもれることがあります。
出産直後にも同じ症状が出ることがありますが、こちらは自然に治るケースがほとんど。加齢が原因の場合は、トレーニングで骨盤底筋群を鍛えましょう。
日常的に、腟や肛門の筋肉をキュッと引き締めて、ゆるめる。これを繰り返し行ってください。座っていても、電車待ちで立っているときでも、どんなときでもできて、誰にも気づかれないトレーニングです。 もし、すでに尿もれの症状が現れてしまっている場合は、おすすめしたい対処方法があります。

ひとつは、腟を締めるトレーニングができる「腟ボール」といった挿入タイプの腟トレグッズ。私のおすすめは腟圧計を兼ねたタイプのフェムテックアイテムで、腟圧を測定できる上、スマートフォンでデータ管理も可能です。成果がわかりやすく続けやすいでしょう。
さらに、最近注目されているのが、30分程度座るだけで骨盤底筋群が鍛えられる、最新の美容医療機器。ゆるみがひどい場合は骨盤底筋だけを締めつけるのではなく、随意筋や不随意筋など、深部の筋肉にアプローチする必要があるため、専門クリニックの高密度磁気のマシンで、インナーマッスルを鍛えることがおすすめです。

骨盤臓器脱

骨盤内に収まっている、膀胱、子宮、直腸の位置が下がり、ひどい場合は腟から体外に出てきてしまう病気のこと。内臓を支える骨盤底筋群が衰えると、起こりやすくなります。
はじめて聞いた方も多いかもしれませんが、私が聞いている海外の調査では、出産経験者の約4割が、歳を重ねて発症しているというデータも。じつは日本でも、人知れずつらい症状に悩んでいる方は多いのではないかと思います。

以上のような症状は、更年期症状のひとつとして、また、更年期を経てエストロゲンの分泌が減少したあとのからだの変化として、決して珍しいことではありません。

しかし、これらは健康上の問題にもかかわらず、「腟まわり」の症状であることで、性のタブー感や恥ずかしさが先に立ち、改善や治療のためのアクションを起こしにくくしてしまうことが少なくありません。家族や友人に打ち明けにくいだけでなく、病院で医師に相談することさえためらってしまうという声を聞くこともあります。

もしも、あなたのご家族など身近な方が、更年期や老年期を生きていらっしゃるなら、腟まわりの話を少しずつ話題にしていってはいかがでしょう。腟まわりのケアの話からはじまり、段階を踏んで、困っているトラブルはないか、聞けるようになっていくといいですね。

 

『私のからだの物語』では、小さい子どもをもつお母さんには、性教育のことから。妊娠・出産・子育て時期には、健全な感じるからだをつくる。更年期世代には、辛い時期を乗り越えるために。そして、理想の老年期に向けて介護問題に向き合う。自身の一生を通して訪れる様々な変化や意識の持ち方を丁寧に綴っています。

すべての女性が自尊心をもって自由に生きていくために、「あなたのからだの物語」を紡いでいきましょう。

 
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私のからだの物語
著:森田敦子

潤うからだ
著:森田敦子

自然ぐすり
著:森田敦子

森田敦子(もりたあつこ)
植物療法士/フェムテスト
株式会社サンルイ・インターナッショナル代表

日本における植物療法と性科学の第一人者。  フィトテラピーが日本に根付く20年以上も前に、パリ13大学医薬学部で植物療法を学ぶ。帰国後は植物バイオ研究に関わり、数々の賞を受賞。また、AMPPフランス植物療法普及医学協会認定校「ルボア フィトテラピースクール」の運営に着手するなど、植物療法の普及に努める傍ら、人生100年時代を見据え、産前産後や介護の現場を通じて女性の健康をトータルにサポートする可能性を追求。 2022年、世界45の国と地域で刊行されている仏雑誌「ELLE」にて【100 Women CHANGE MAKERS】(エルが選ぶ世界のチェンジメーカー100)の1人として選出される。 主な著書に『自然ぐすり』『潤うからだ』(ともに小社刊)、『感じるところ』(幻冬舎刊)など。
Instagram @atsuko1705