【INTERVIEW】連続テレビ小説『ブギウギ』2月末日の放送で、ヒロイン・福来スズ子の新マネージャーとして初登場した柴本タケシ。演じているのは三浦獠太だ。以来、お茶の間を賑わせるタケシを、三浦はどうつかんでいったのか?

【INTERVIEW】連続テレビ小説『ブギウギ』2月末日の放送で、ヒロイン・福来スズ子の新マネージャーとして初登場した柴本タケシ。演じているのは三浦獠太だ。以来、お茶の間を賑わせるタケシを、三浦はどうつかんでいったのか?


惜しくも来週フィナーレを迎える連続テレビ小説『ブギウギ』。物語は昭和25年、仕事に育児に大忙しなブギの女王・福来スズ子(趣里)の元に、長年公私ともに戦ってきたマネージャー・山下(近藤芳正)が新マネージャーにと甥を連れてくる。それが三浦獠太扮する柴本タケシである。お調子者で、少し情けないけどどこか憎めない…という愛嬌たっぷりな青年を演じながら、どんなことを感じていたのか。取材はドラマ放送第22週目の某日、間もなくタケシ初登場というタイミングで敢行した。

撮影/浦田大作 スタイリスト/Lim Lean Lee ヘアメイク/Emiy&西村柚香 文/田畑早貴


――『ブギウギ』、毎朝楽しみに拝見しています。先日初めて予告にちらっとタケシが登場して。

「ありがとうございます。話数としては105話からの登場なんですけど、周りの方々には第22週(102~106話放送週)からの登場とだけ伝えていたので、22週に入ってすぐに見てくれた人たちからは『(まだ)出てないじゃん!』とたくさん言われました(笑)」

――三浦さんも、毎朝見られていますか。

「僕は一足先に、23週目の話まで見せて頂きました。毎朝は、母親が見てくれています」

――元々、朝ドラにはどんなイメージをお持ちでしたか?

「毎朝お茶の間で流れていて、老若男女色んな人が見ていて、みんなでその話題で盛り上がれる、というイメージで、それは僕が俳優をやろうと決めた時からのひとつの目標でした。同じドラマの話題を家族で話したり、次の日学校で友達と話したり、そういう人と人との会話の種になるものを自分も作りたいっていう思いが凄くあったので。今回も出演が決まって祖母に話したら、本当に生きててよかったと言われて、凄く嬉しかったんです。もうそれだけで自分の力になったくらい」

――今回演じられた柴本タケシについては、最初どんな人物だと捉えられましたか。

「最初に台本を読んだ時は、やっぱり人よりも多く失敗をしちゃって、怒られて、わかりやすく問題児みたいな印象だったんですが、色々乗り越えていく中で徐々に出てくる本当のタケシというのは、やっぱり真っ直ぐで、スズ子さんという存在を大きな愛情を持って支えるひとりのキーパーソンで。凄く大事な役だなと思いました。タケシ役を任せて頂いたからには、彼の真っ直ぐさを僕自身が出していかないといけない、僕にしか出せないんだという思いで挑みましたね」

――クランクインにあたって、何か準備されたことはあったのでしょうか?

「元々はスズ子の弟・六郎の役でオーディションを受けていたので、その時に(スズ子のモデルとなった)笠置シヅ子さんのことは調べていました。でも、タケシに直結する人物というのはあまり資料では残っていないみたいで、なかなか見つけられませんでした。あとは無意識に使ってしまいそうな現代語にはより気を付けないとと思っていました。マジとか、ヤバいとか、一人称の俺とかも。とはいえタケシは東京弁で、関西弁を話す役のキャストのみなさんに比べたら方言指導もなく、あまりセリフで苦戦したことはなかったのですが」

――最初に六郎のオーディションを受けられていたのですね。その後、ドラマ放送がスタートしてからタケシのオファーが来た。お話を聞いた時は、ドッキリだと思われたんだとか。

「そうです(笑)。僕のマネージャーさんから『決まったよお~』みたいな電話が来て、それがあまりにも軽いテンションだったので、まさか大役だとは思ってもいなくて。撮影に近づくに連れてだんだんと緊張感が出てきて、いざ現場に入ったらド緊張、みたいな感じでした」

――では、クランクインの時はガチガチで?

「…と言いつつ、結構緊張はしましたけど、実はクランクイン前に何度か現場に見学に行かせて頂きました。出来る限りスタッフさんたちとコミュニケーションをとって、現場に溶け込もうということをしていたので、そういう意味ではみなさんに温かく迎えて頂きました」

――台本を読まれて、物語に対してはどんな感想を抱かれましたか。

「台本を頂くとまずは一読者の目線で読むのですが、今作はスズ子というひとりの人間を中心に、色んな人が集まってきて、血が繋がっていなくても、ひとつの家族のようになっていって。みんなそれぞれに何か欠けてるものがあり、お互いの足りないところを補いながらともに生活をしていくというのが凄く理想的だし、みんなで食卓を囲んで一緒にご飯を食べるっていうのが本当にあったかくて。僕自身も憧れるものがここにはあるなと思いました。物語だけでなく、実際に現場を作っているスタッフさんも家族みたいにあったかくて、だからこそこういう雰囲気が出せたのかなと思います。この”家族感をいかに出すか”が台本を読んだ時から自分の中では絶対的なミッションで。僕がタケシという人物のポジションをしっかり全う出来たら、あとはもう趣里さんとか木野(花)さんが、なんとでも調理してくれるだろうと信じてぶつかっていきました」

――タケシのポジションについては、具体的にどんなことを考えていましたか?

「なんとなく家族の中の末っ子感というか、食卓を囲めば一番に『おかわり!』って言うような、一段と明るい、ムードメーカーであれたらいいなと考えていましたね。本当はただ空回っているだけかもしれないけど、そういう意味でも狙っていない天然のムードメーカーというか」

――お話を聞いていると、台本の段階でかなりタケシのビジョンが見えていたのでは?

「タケシのビジョンは、僕も台本を読んでいて結構見えていたつもりだったんですが、“これだな”と思っていざ現場に持っていったら結構違うこともあって。監督と話すと、“ああ、そうなんだ。そういう見方もあるんだな”と気づきがありましたし、勉強になりました」

――そういうご自身と監督の考えにずれがある時、結果的にどうやって自分の中に落とし込むのでしょうか?

「うーん…。でも、僕が持って行くものはあくまで僕が持って行くもので、本当に大事なのは監督が撮りたいものだなと思うので、まず言われたことを聞きます。結構昔からこのマインドでいるんですけど、あまりにも『はい』って言い過ぎると、監督から『もうちょっと自分の、なんかないの!?』とか『なんかあったら是非言って下さい!』って逆に凄く気を使わせてしまうんですよね。もちろん自分の思いがあれば伝えていますし、それに対して監督が『いいね!』となったら採用してくれるので、まずは言われたことを聞きながら、“こういう感じかな? これどうだろうな?”と自分の思うことを、少しずつ融合させていくようなイメージです。柔軟性を持ってやりたいなと思っています」

――今回は、監督とタケシについてどんなお話を?

「食卓や家族団欒のシーンが多いので、そこでのタケシの“ちょけ”については凄く話しましたね。自分の中でもタケシを作る上で大事だなと思っていましたし、そういうシーンでガンガンやってほしい、とは監督からも言われていたので。現場で台本を見たら、無茶振りみたいな追加セリフがどんどん増えていって、『(面白いことをやる)』みたいなことも書いてありました(笑)。“なんだこれ!”と突っ込みたくなるものも多々あったのですが(笑)、そのおかげで僕自身もタケシという役もいい感じにいじられて、たとえそれが全然面白くなくても、そのあたふたしている姿がタケシとしてあれば、あとはみなさんがどうにかしてくれる。ありがたかったですし、そこには絶対の信頼がありましたね」

――そもそも、三浦さんとタケシは似ているのでしょうか?

「僕は小中と無遅刻無欠席でしたし、そこは違うと思いたいんですけど(笑)。でも、なぜかタケシのようにおちゃらけてるけど真っ直ぐな役を頂くことは多いんです。僕自身は特別に明るいタイプじゃないんですけど、声をかけて頂くということはそういう風に見てもらえているのかなとも思いますし、こういうムードメイキングが出来る人には凄く憧れを持っています。(タケシとの)共通点で言えば、僕が作中でタケシとして支えているスズ子を演じているのが、事務所の先輩であり普段からよくして頂いている趣里さんで、主人公として長い間ずっと大変だろうけどそんな姿を一切見せない趣里さんを見ていると、タケシじゃなくても、僕自身も“支えたい”っていう思いが等身大のまま出てくる。そういう、スズ子さんを、趣里さんを、応援したい気持ちが大きな核だったと思います。趣里さんを見ていれば、自ずとタケシの役作りがされていくようなところがありましたね」

――第23週のお話までご覧になっているとのことでしたが、実際に映像を見ていいかがでしたか。

「タケシを見たプロデューサーさんに『仕事、頑張ろうと思った』と言われて。タケシのポンコツ具合がしっかり出せていたのかなと思って安心しましたし、タケシは結構色々やらかしているので、そういうところに人間味がちゃんと出せていて、それが成立していたならよかったなあと思いました。23週目あたりまではまだまだ間違いが多いタケシですが、その中にだんだんと成長していく姿があるので、僕自身も、早く続きを見るのが楽しみになりましたね」

――ご自身の出演作、とても冷静に見られているのですね。

「そうですね、基本冷静に見ますね。自分のところばっかり見ますね。巻き戻して、自分のところは30回ぐらい見ます(笑)」

――凄いですね。そこで生まれた反省を次に生かそう、というような?

「反省点もですし、“ここいいな”と思うところも(笑)どっちもどっちですね。やっぱりよくないところのほうが気になっちゃいますけど、そうするとどんどん気になっちゃうので、そういう時はひとつのいいところを何回も見ます(笑)」

――とてもフラットに自己評価されるのですね。

「そうですね…いや、わかんないですよ、フラットに出来ているのか。全然よくないのに自分だけいいと思ってる可能性もありますし(笑)、そんなに悪くないのに最悪だと思ってることもやっぱりありますし。色々ありますけど、自己評価はちょっと高めにしたいですよね」

――大切ですよね、自己評価。話は変わりますが、今作の台本を拝読していて、タケシは声が大きそうだなと思ったのですが…(笑)。

「そうですねえ(笑)」

――では、実際に声を張るようなシーンも?

「基本、声は大きかったです。最後のほうのシーンも、ただただ叫んでいるようなところもあって、それを見ていた趣里さんも笑っちゃって2回ぐらいNGを出していました(笑)。僕自身も普段からわりと声は大きいんですよ。大きいというか、普通に喋ってる時ではなく、家で歌を歌うとめっちゃ大きくて、昔母親からは僕の歌声は騒音だと言われていましたね。そのかいあってか、タケシの大きな声は難なく出すことが出来ました(笑)」

――叫んだり笑ったり怒ったり泣いたり、表情豊かなタケシです。

「確かにそうですね。ただ、やっぱり趣里さんあってのというか、趣里さんを見ていると笑顔になるし、色んな感情が引き出されるんですよね。どれだけ大変でも僕らを笑わせてくれたり、楽しませてくれたりする姿を、タケシはマネージャーだからずっと見ているので。ずっと見ていると気づくことがたくさんあって、たとえば少し疲れている瞬間が垣間見えたとしても、人が傍に近づくとパッと笑顔になって、明るく振舞われていたりするんです。趣里さんが笑うと一気にスズ子の、ブギウギの世界観になるんですよ」

――マネージャーというキーワードについては、何か考えられていたことはありますか?

「“応援したい”という気持ちがタケシを演じる上で核になったと先程お話ししましたが、応援とひと言で言っても色々ありますよね。例えば推しに対するものとも違いますし、マネージャーという場所から応援しているからこそ生まれる悲しみや、怒りや、さみしさもきっとあって。何か明確な答えが出たわけではないですが、そういうマネージャーとしてのスズ子さんに対する距離感みたいなものは、ずっと探りながら撮影していたと思います」

――木野花さん演じる大野(スズ子の家政婦)さんとのやりとりも楽しみです。

「いやあ本当に木野さんにはお世話になって…色んなアドバイスも頂きましたし、やっぱり木野さんが僕のために引っ掛けてくれたことがたくさんあったので」

――それは例えばどんなことでしょう?

「本番直前に『あんた、ここはモノマネをして私たちを笑わせなさい』みたいなよくわからない無茶ぶりとか(笑)。でも、それによってタケシというキャラクターが出せたんですよね。やっぱりみなさんベテランだし、そんな中でいきなり僕が変なことをやるのは勇気が要ることなので、木野さんから振ってもらえることは凄くありがたかったです。よくわからないモノマネ…たくさんしましたね。果たしてちゃんと使われてるのか心配なんですが(笑)。そういうので和んだ雰囲気が最終的に凄く素敵な画にしてくれたと思います」

――誘拐犯の小田島(水澤紳吾)との展開も色々とありますが、大変笑えました。

「本当ですか(笑)。それこそ小田島さんとのくだりで、タケシが誘拐犯にお金を持って行く一連のシーンは結構走ったんです(笑)。撮影中頑張って走ったのは思い出深いですね。映像でどうなっているのか楽しみです」

――コントの要素も多いですが、笑いのお芝居についてはどう感じていましたか。

「そういうシーンが凄く多かったので、まず勉強になりました。わからないことも多かったですし、間とかもやっぱり難しいなと思いながら試行錯誤していました。ただ、僕はタケシとして周りを楽しませるということをちゃんと軸に持っていればいいと思っていたので、あとは監督や、木野さんにもらったアドバイスを全部聞こうと思っていましたね」

――趣里さんとの関係性然り、木野さんと三浦さんの関係性も、作中の大野さんとタケシのようですね。

「本当にそうです。僕らだけに拘わらず、今回はみんながみんな、それぞれの“普段”の延長で撮影に入っていくような現場でした。撮影の外で空気感を作って、それを現場に持って行くという作業を始めて経験して。撮影の内外でここまで関係値が同じ状態で一緒にドラマが作れるというのは、僕にとっては凄く新鮮な発見で、こういう作り方は性に合っているなとも感じましたね」

――三浦さんは今、お芝居の面白みをどんなところに一番感じられているのでしょう。

「それはやっぱり、お芝居をしていなければきっと見ることがなかったものを、見られるということだと思います。今回も、芸能マネージャー・タケシとしてスズ子を見つめることで初めて見つけられた視点がありました。普段の生活からアンテナを張り巡らさないと気づけなかったり、自分と向き合わなきゃいけないこともたくさんありますけど、そういうものを一つひとつ、作品ごと、役ごとに発見したり、学べることは凄く楽しいです。更にはそれを通して“みんなでひとつのものを作って世に出すぞ”という過程も楽しい。作品が完成した時にそれを見た人たちから反応をもらえることにも、“自分達の作りたいものをちゃんと作れたかなあ”と反省することにもやりがいを感じています。それが世の中にあまり受けなかったとしても、作りたいものが作れたなって思えたら、それは絶対にひとつの成長になるし、成功だなと思う。一つひとつ、ものづくりすることが毎回楽しいですね」


●プロフィール
みうら・りょうた
1997年9月5日生まれ、東京都出身。2019年、ドラマ『グランメゾン東京』で俳優デビュー。主な出演作は映画『彼女が好きなものは』『海の夜明けから真昼まで』『うかうかと終焉』、ドラマ『ブラック/クロウズ ~roppongi underground~』シリーズ、『王様に捧ぐ薬指』『東京貧困女子。-貧困なんて他人事だと思ってた-』『作りたい女と食べたい女』など。待機作に映画『言えない秘密』(6月28日公開)がある。


作品紹介
連続テレビ小説『ブギウギ』
作/足立紳 櫻井剛
音楽/服部隆之
語り/高瀬耕造 (NHK大阪放送局アナウンサー)
出演/趣里 水上恒司 / 草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか

戦後の日本の人々を歌と踊りで明るく照らすブギの女王・福来スズ子(趣里)の物語。スズ子の新マネージャーとして柴本タケシ(三浦獠太)がやってきてから早6年。政府の経済白書には『もはや戦後ではない』と記され、日本は新しい時代へと進み始めていた。ブギブームも落ち着き、スズ子の仕事も少しずつ減っていく中、新星・水城アユミ(吉柳咲良)が現れて――。
NHK総合で毎週月~土、8時00分より放送中(*土曜は1週間の振り返り)

衣裳協力:シャツ¥41,800、パンツ¥44,000(ともにCINOH/MOULD 03-6805-1449)