【ペルー国境封鎖足止め日記】違う惑星のスーパー

【ペルー国境封鎖足止め日記】違う惑星のスーパー



人生初の中南米一人旅の真っ最中に、新型コロナウイルスが蔓延。
国境は封鎖され、飛行機はキャンセルになり、異国の地でのロックダウン生活。
街中がパニック、一人心細く、早く帰国したいと願う毎日……になるかと思いきや、
彼女は「いっそのこと、ここに住もう!」と決め、ペルーで生活を始めた。

ペルーで暮らして、早2年。
現地からお届けする、予想外で刺激的な日々。


 

あるときから、マスクに加えて、フェイスシールドまでつけないとスーパーに入れないことになった。フェイスシールドをつけるのはなんだか恥ずかしいし、フェイスシールドにマスク、サングラスという組み合わせは暑苦しく、息もしづらい。そう思ってギリギリまで拒否していたけど、仕方がない。あご紐付きの帽子を被り、有線のイヤホンをして出かけるので、いつも耳元が混線していた。

店内は人数制限があり、長いときは30分も外で待たされたので、行列にならない朝一番を狙って出かける。
数日後には、医療用のゴム手袋も着用しないとスーパーに入れないと言われた。ちなみに、手袋はスペイン語でguanteと言うらしく、「軍手」に似ていて覚えやすい。
そういうことなので、手袋を求めてうろうろ。警察官に薬局にあるよと教えてもらい、買いに行くも、すでに売り切れ。仕方なく、掃除のときに使っていたピンクのゴム手袋をすることにした。格好も地味だし、すっかり清掃員みたい。
消毒スプレーを手に振りかけられて、靴の裏を消毒するための濡れた雑巾が入った容器を踏んで入店。
そのスーパーに入るのが初めてだったから比べようがないけど、ニュースで話題になっているような逼迫したロックダウンとは違い、何かが品薄という感じでもなかった。

クスコのスーパーは、野菜の買い方も日本とは違う。欲しい分だけを袋に詰めて軽量してもらい、値段シールを貼ってもらう。最初、野菜ごとに袋を分けて詰めていたら、入るなら1つにまとめて欲しいと言われた。なるほど、確かにそのほうがエコになる。ちなみに卵も袋詰めなので、持って帰るときに割れやしないかとハラハラした。
他にも、頭までついた丸鶏がそのまま売られていたり、見たことのない果物やスーパーフードが多くてテンションが上がったり。鮮魚がないのと、アルコールの販売が禁止されているのは不便だったけど、クレジットカードも使えるし、問題なく買い物を楽しめた。

スーパーのスタッフやレジを打つ女性は、みんな宇宙服みたいな完全防護服を着ていて、一切表情がわからない。世界一平均身長の低い国とだけあって、みんなとても背が低い。「いらっしゃいませ」といった言葉もなく、陽気な音楽もない無音の店内は殺伐としていて、違う惑星のスーパーに来たようだった。一時は「月水金は男性、火木土は女性しか外出できない」というルールが定められたこともあり、まさにダフトパンクの映画『エレクトロマ』(人間になりたいというロボット達を描いた、無声映画。当時のクスコは街中がロボティックなフェイスシールドだらけで、どことなくこの映画と重なった)のような状況。ただ、レジの女の子が顔見知りになると話しかけてくれるようになり、少しだけ和んだ。

バスや電車に乗るにもフェイスシールドは必須で、「これだけ規制が厳しかったら、すぐ封鎖も解除されるでしょ」なんて安易に考えていたのだが、事態はどんどん面倒なことになっていった。2022年6月時点でも、ワクチンを3回摂取したという証明と、KN95マスク(もしくは普通のマスクを2重にする)を着用しないと、スーパーや銀行に入れないのだ。

 

今月のスペイン語

*次回は10月7日(金)更新予定です。

イラスト・写真/ミユキ


Written by ミユキ
ミユキ

旅するグラフィックデザイナー、イラストレーター
広島出身、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒、在学中よりフリーランスとして広告、ロゴ、エディトリアルデザインなどを手掛ける。
ロンドンに2年間の語学留学、オランダ・セントヨースト・マスターグラフィック卒業後、個人事業主ビザを取得しアムステルダムに12年居住。
ヨーロッパ全域を含む訪れた国は50カ国以上、旅先では美術と食を軸に、ダイビングや運転もする。
主な作品:ギリシャ・クレタ島の大壁画、ハイネケン Open Your World、モンスターズインク・コラボイラスト、豊島復興デザイン等、15年前からのリモートワークで、世界のあらゆる場所で制作。
HP:http://miyuki-okada.com
Twitter:@curucuruinc
Instagram:@curucuruinc

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