【ペルー日記】穴場のお祭りに日本との共通点が

【ペルー日記】穴場のお祭りに日本との共通点が



人生初の中南米一人旅の真っ最中に、新型コロナウイルスが蔓延。
国境は封鎖され、飛行機はキャンセルになり、異国の地でのロックダウン生活。
街中がパニック、一人心細く、早く帰国したいと願う毎日……になるかと思いきや、
彼女は「いっそのこと、ここに住もう!」と決め、ペルーで生活を始めた。

ペルーで暮らして、早4年。
現地からお届けする、予想外で刺激的な日々。


 

私はペルーのクスコ市内にある、サンセバスチャンという地区に住んでいる。いつものように愛犬マチルダと散歩していると、サンセバスチャン教会へ繋がる道路が歩行者天国になっており、いかにも何かが始まりそうな雰囲気。警備の人に聞いてみると、今日は教会のお祭りで、この後12時半からパレードが始まるらしい。爆音が苦手なマチルダを一旦家に連れて帰り、再度来ることにした。
メイン広場に面した教会では、いつもは閉まっているドアが開かれ、大勢の参拝者を迎え入れていた。

このお祭りについて調べてみると、守護聖セバスチャンの饗宴で、国家文化遺産にもなっているようだ。毎年1月の第3週の土曜日がメインの日らしい。

予定時刻通りに神様を乗せた神輿が動き出した。担いでいる人はみんな男性で、裸足。神輿が電線にひっかからないように、さすまたで上空を整備している人もいた。

毎年6月に開催されるクスコの一番大きなお祭り「インティライミ」は、南米三大祭りにもなっているので観光客でごったがえしており、メインイベントを見るには高額なチケットを買う必要がある。もはや外国人しかいないのが現状だ。
でも、このお祭りは地元の人しかいない雰囲気。さほど混雑していないので警備もゆるく、柵もないので目の前で華麗な踊りと、独創的な衣装を見ることができて大興奮。子ども達も親に連れられながら踊りに参加していたり、酔っ払ったおじさんがパレードに混じって踊っていたりした(笑)。

無料トイレもたくさん設置されていて、すべてが快適。2時間ほどですべてのパレードが終わり、お腹も空いてきたので食べ物を探すことに。
周辺には伝統的なクスコの料理の屋台が軒を連ねている。CHANCHOという豚や羊の丸焼き(写真左)は、普段はこんな状態では売られていないのだが、これも祭り仕様のようだ。試食させてもらいながらお店を選んだが、やっぱり炭火焼きは格別においしかった。

写真右は、Chiliuchuというお祭りに欠かせない料理の盛り合わせ。基本的に冷たい状態で提供されるのだが、アンデスの名物、クイという天竺鼠のグリルに、豚肉、ソーセージ、揚げパン、海藻、チーズという、ありったけのご馳走を山積みにしたものだ。
どれも食べたことがあるし、何か新しいものを……と探し歩いていると、Chupe de Pera(梨のスープ)を見つけた。1つS.18(約720円)。少し苦くてほんのり甘いスープに丸ごとの洋梨が2つと、ラム肉、じゃがいも、かぼちゃが入っている。おいしいけど、一年でこの日しか作らないとのこと。

日本のお祭りにあるような、子どもの遊び場も充実していた。金魚掬いのように水に沈められたおもちゃを釣るゲームに、ルーレット、射的、輪投げ。綿菓子やりんご飴売りもいて、どうやらペルーのお祭りは日本との共通点が多いらしい。


国境封鎖で4日のつもりが、4年も居ることになったクスコ。観光名所のマチュピチュ以外に、こんなに面白い見どころがあるなんて、住まなければ知ることはなかっただろう。
穴場ともいえるこのお祭りは、大満足な体験だった。雨季の開催だが寒くもなく、おすすめの催し物だ。

 

今月のスペイン語

*次回は5月2日(木)更新予定です。

イラスト・写真/ミユキ


Written by ミユキ
ミユキ

旅するグラフィックデザイナー、イラストレーター
広島出身、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒、在学中よりフリーランスとして広告、ロゴ、エディトリアルデザインなどを手掛ける。
ロンドンに2年間の語学留学、オランダ・セントヨースト・マスターグラフィック卒業後、個人事業主ビザを取得しアムステルダムに12年居住。
ヨーロッパ全域を含む訪れた国は50カ国以上、旅先では美術と食を軸に、ダイビングや運転もする。
主な作品:ギリシャ・クレタ島の大壁画、ハイネケン Open Your World、モンスターズインク・コラボイラスト、豊島復興デザイン等、15年前からのリモートワークで、世界のあらゆる場所で制作。
HP:http://miyuki-okada.com
X(旧Twitter):@curucuruinc
Instagram:@curucuruinc

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