ふたごと戦友意識

ふたごと戦友意識


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舞台や雑誌などエンタメ業に携わる
YURIさんが、双子の子育てを
あったかくもちょっとコミカルに綴ります。
子育て1年生さんにも役立つ実用もお伝えします。

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こんにちわ。

戦友。
それは、戦場でともに戦った仲間。同じ部隊に属している同僚。(大辞林より)

そう、多かれ少なかれ、子育て中のママ同士は、状況や気持ちが分かり合えるため、共感しやすいと思いますが、ふたごを持つ親の場合、その意識はとくに強い気がします。

ふたごの育児はまさに戦場。
そんな戦場を知る者同士、会った瞬間に戦友意識がめばえてしまうのです。

外で2人乗りのベビーカーを押すママさんとすれ違ったときは、必ず、目が合うだけで瞬時に気持ちが分かり合うので、お互い「あは・・は・・・ど~も~~」と、苦笑気味に“お互い、大変ですよね…”の意を表す会釈をし合います。

我が家の2人はもうすぐ2歳を迎えるので、言葉もだいぶ通じるようになり、その戦場もほんの少し、ほんの少し、落ち着いてきましたが、この2年間はずっと自分の時間なんて限りなくゼロに等しく、1人を前に抱っこ、もう1人を後ろにおんぶしながら、心の中で “欲しがりません、勝つまでは…”と何度繰り返したかわかりません。

当然、カフェや旅行など、色んなところに気軽に子連れで行くことなんて、到底りーむー。

子育てライフをスマートにエンジョイしているママさんとの隔たりを感じることも少なくなくないので、戦友意識は、ますます深まるのだと思います。

以前、9ヶ月くらいの頃、子連れのママたちも多数参加するという友人のホームパーティになんとかふたごを連れ出した日。

家を出る準備だけですでに軽く疲労気味なところ、人見知りマックスの時期だったこともあり、しばらくはグスグスで私の左右にガッツリくっついていたので、食事に手をつけることもできず、慣れて遊びはじめても、両方の安全と、そのお宅の安全を確保しないといけないので、あっちにバタバタ、こっちにバタバタ。

楽しそうに談笑する他のママさんを尻目に、2人分のオムツ替えとミルクでまたバタバタしているうちに会はお開きに。

えーと、今日私、誰かとなんか話した・・かな・・・。
という状況に。

地域や民間の多胎児サークルなどもありますが、その場に連れ出すことさえままならず、うちは1回も参加したことはありません。が、そういうママさんも少なくない気がします。 

先日も、予防接種のため2人を連れて小児科にいくと、前に2人乗りのベビーカーを発見。

思わず覗きこみ、恐る恐る「ふたご・・ですか?」と声をかけると、一瞬ビックリされ、「あ、はい・・・」と返事されたので、「うちもふたごなんです。」と言うと、パッと顔をあげ、目には輝きが。

そして、見つめ合った瞬間、「たいへんですよねぇぇぇ~~っっ!」と同時に言い合い、一瞬にしてシンパシー。

ハッピーアイスクリーム。

その、うちのこ達と2~3ヶ月ほどしか違わない男女のふたごちゃんを連れたママさんは、旦那さんも忙しく、ずっと1人でふたごのお世話をしているとのことで、診察までの短い待ち時間に、大変さと寂しさ、家での過ごし方や保育園問題などを話し、帰りには「お互いがんばりましょう!」と、心の中で固い握手をし、それぞれギャーギャー×2の待つ戦場へと戻っていきました。

そう。今日もどこかで、ふたごに翻弄されるたくさんの戦友たちがいる。

そう思うことが、心の支えになっています。

そして、まだ三つ子を持つママとは直接出会ったことがないのですが、もし今後三つ子のママと出くわしたときは、必ず話しかけて神と崇めようと決めています。

公園にて。砂にバイクを描けというので描いたら不満そう。

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Banner design&Illustration:CHALK BOY
http://chalkboy.me/


Written by YURI

YURI(ゆり)/ライター・舞台演出家
学生時代からストリートダンスをはじめ、ダンサーとして活動。ケガにより現役引退後、ダンサーとしての経験を活かし、演出・制作など、数多くのダンス公演に関わる。2005年からダンス舞台の演出家として活動。ダンス舞台のプロデュースなども手掛ける傍ら、ダンス専門誌の編集・ライターをはじめ、さまざまな分野の、書籍、web、などのライターとして活動中。
2014年3月。アラフォー真っ只中、二卵性の男子ツインズを36週で出産。

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