【秋の養生】季節の変わり目による不調を防ぐ臓活習慣【中医学】


まだまだ厳しい残暑がつづいていますが、朝夕は暑さも和らぎ、過ごしやすい気候になってきました。
季節の変わり目は、夏の疲れが一気にからだにあらわれたり、気温や気圧差などで体調を崩しやすくなります。

そこで、秋の不調に取り入れてほしい「臓活習慣」を、中国5000年の歴史に基づく「中医学」という壮大なエビデンスのもと、これまでのべ3万人以上のからだを診てきた尹先生に教えていただきました。

※本記事は、尹生花:著『臓活習慣 こころとからだを巡らせる!』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

 

秋に取り入れたい食材

臓活において、食事はもっとも簡単に取り入れやすく、また、五臓の働きを維持するためにも、なにより大切にしたい身近な養生の一つです。
最初に意識していただきたいのが、「旬のもの」を食べるということ。

人間の五臓の働きは、季節の流れに連動しています。よって、旬のものは、その季節ごとのからだの状態に合っていて、受け入れやすく、相性の良い食材と言えます。言うまでもなく、旬ならではの栄養と旨味も、詰まっています。

たとえば、秋は「肺」の季節で、乾燥しやすくなります。そのため、からだを潤わせる梨や山いもなどを積極的に摂るようになるでしょう。つまり、その時々のからだ(臓)が必要としている食材、というわけです。


(イメージ:写真AC)

「旬のもの」と合わせて、臓活習慣に取り入れていただきたいのが、五臓それぞれと相性の良い「五色」を意識した、食材選びです。
「五色」とは、青(緑)色、赤色、黄色、白色、黒色に分けられます。たとえば菜の花やセロリは青(緑)色など、そのまま食材の見た目の色によって、五臓それぞれに有効な働きがあるとされます。

「肺」とつながる季節である秋に取り入れたいのは、「白」色の食材。大気の乾燥から肺を守り、潤してくれる白い食べ物として、梨、山いも、長ねぎ、豆腐、牛乳、白米などをおすすめします。


(イメージ:写真AC)

 

朝の「白湯」を習慣にする

季節を問わず、取り入れていただきたい臓活習慣の一つが、白湯。寝起きの水分補給として、白湯を飲むことをおすすめします。

白湯は、「胃」をやさしく動かすだけでなく、じつは、酸素の吸収にもいいことをご存じでしょうか。わたしたちのからだは、水と融合することで、はじめて酸素を取り込むことができるのです。


(イメージ:写真AC)

白湯を習慣化するといっても、気負う必要はありません。
わたしは朝、50〜100㎖ほどの白湯を飲んでいますが、50㎖ほど飲めば充分です。

ちなみに、朝の5時から7時は、「大腸」がもっとも働く時間帯です。できればこの時間帯に白湯を飲み、排便を促しましょう。

「白湯」を飲むときのポイント

白湯を習慣化するにあたって、できれば押さえておいていただきたいポイントがいくつかあります。

①多く飲む必要はない

一つ目は、先ほどもご紹介した通り、多く飲む必要はないということ。50㎖ほどでいいでしょう。
なかには極端な人がいらして、「白湯はからだに良いから」とマグカップに何杯も飲んでいた結果、水分の摂り過ぎでむくみがひどくなってしまったのだとか。これでは臓活になりません。
もちろん、体質によっては、多く飲んでも大丈夫な方もいるのですが、むくみやすい体質の場合は摂り過ぎないよう気をつけましょう。

②熱過ぎる状態で飲まない

二つ目は、熱過ぎる状態で飲まないということ。熱過ぎるお湯は、のどや食道にとって強過ぎる刺激となり、くりかえし刺激することで、食道がんにつながる恐れもあります。くれぐれも気をつけてください。
基本的には、50℃以下になるまで冷ましてから飲むようにしましょう。

③無理をしない

三つ目は、面倒だと思ったら無理をしないこと。もし時間があれば、一度しっかり沸騰させてから冷ましたものを飲むのがより良いのですが、こだわり過ぎてつづかないと意味がありません。電気ポットでもウォーターサーバーのお湯でもいいですし、無理なくつづけられるのが一番です。

ぜひ、ご自身のつづけやすいやり方を見つけてもらえればと思います。

 

「公園」は臓活のパワースポット

暑さも落ち着き、過ごしやすい時期になってきました。
この時期におすすめなのが、緑の多い公園を訪れること。
公園は気の巡りをよくする心地よい自然の香りを効率的に楽しめる場所です。

わたしは毎朝、自宅近くの大きな公園を散歩し、季節の花の香りをかいで気を巡らせるのを、大切な日課にしています。
とくに忙しいときやストレスを感じるときは、少し公園に滞在して、深呼吸をくりかえしたり、簡単な太極拳のポーズをしてみたり。すると、滞っていた気がスーッと通って、頭がスッキリするのです。


(イメージ:写真AC)

また、公園に足を運ぶと、目には見えないのに「空気がきれい」だと感じる人も多いのではないでしょうか。

これは、公園の木々が出す酸素が豊富なため。仕事をして一日中家にこもっていると、どうしても人間は酸素が足りなくなってしまうので、ぜひ、意識的に公園に足を運んで、しっかり酸素をからだに取り込むようにしましょう。
深呼吸をすれば、気も巡ります。

自然の気に満ちた、公園。木々があり、花が咲き、誰もが訪れることができるこの場所を、臓活に活用しない手はありません。

 

鼻水の症状を解消する臓活ケア

ちょっとした不調があるときに、いつでもどこでもすぐにできる、簡単なケア方法をご紹介します。

「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」それぞれに直接つながっている「経絡(けいらく)」の大切な交差点「関節」をたたき、気の滞りを解消するというものです。
ここでは、秋の五臓である「肺」につながる関節を、ご紹介していきましょう。

「肺」につながる関節


(『臓活習慣』より)

咳、くしゃみ、鼻水の症状のときは、「ひじの上側(親指側)」を。左腕を伸ばし、手の甲を上に向け、「ひじの上側」を軽く握った右手で上からたたきます。
左右同じで、それぞれ20回を目安に行ってみてください。

「肺」につながる場所


(『臓活習慣』より)

鼻がつまったときや、鼻水が出る症状のときにはもう一つ。鼻筋の左右、小鼻の少し上あたりを、中指の腹を使って上下にマッサージします。鼻がスーッと通って、呼吸がしやすくなるでしょう。

 

この他にも、書籍『臓活習慣』では中国5000年の歴史を持つ「中医学」のエビデンスのもと編み出された、「内臓」を鍛える習慣や、健康の秘訣がつまっています。
毎日できる簡単な臓活習慣を取り入れることで、心も身体も健やかに過ごしていきましょう!

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尹生花(Yin Seika)

北京中医薬大学博士課程(医学博士)修了。早稲田大学ビジネススクール(MBA)卒業。
厚生労働省認可・はり師・きゅう師資格取得。「HMB(日本ホリスティックメディカルビューティ協会)理事長。「世界中医学学会連合会体質研究専門委員会」常務理事。美容健康サロン「BHY」(渋谷、銀座、表参道の3店舗)代表取締役。ホリスティックビューティの先駆者として、「体の内側と肌の相関関係」を数字で解明。美容ジャーナリスト、女優、モデルなど多くの著名人のかかりつけサロンとして知られている。著書に『みんなの臓活』『みんなの臓活トレーニング』(ワニブックス刊)など。