「1日1杯のみそ汁」で肝臓から脂肪が消える!? メカニズムとレシピを専門家が解説
肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘や脂肪肝まで、丸ごと改善してくれる、奇跡の料理……。
いま、日本人のソウルフード“みそ汁”の健康効果が、大きく注目されています。
「毎朝、具だくさんのみそ汁を最低一杯飲むだけで、肝機能は自然と回復し、代謝のよいやせる体が手に入ります」と語るのは、日本肝臓学会認定の肝臓専門医で、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅先生。
ここでは、栗原先生の新刊『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲む やせみそ汁』より一部を抜粋・編集し、「1日1杯のみそ汁」で肝臓から脂肪が消えるメカニズムについて解説します。
ダイエットに健康…すべてのカギを握るのは「肝臓」だった
糖質制限や脂質カット、過激な筋トレ、絶食など、巷には数多くのダイエット法がありますが、こうした体や心に負担を強いるダイエットは、リバウンドしやすく、健康を損なう恐れもあるため、決して正しい方法とはいえません。一生もののスリムで健康な体を手に入れるために必要なのは、血のにじむような努力や強靭な忍耐力ではなく、体の構造やしくみを知り、効率的にアプローチをすることです。
(イメージ:写真AC)
やせる上で最も注目したい体の臓器、それが肝臓です。なぜなら、肝臓は人の代謝と解毒を司る、ダイエットのキーマンともいえる臓器だから。
代謝とは、食事として体に取り入れた栄養を分解し、体を動かすエネルギーなど、人が生きるために必要な物質に作り変えることをいいます。つまり、肝臓の働きが悪いと代謝が促うながされず、食事で取り入れた糖や脂質はどんどん体に脂肪として蓄積されていきます。
反対に、肝臓が正しく機能していれば、糖や脂肪はどんどんエネルギーなどに変換され、自然にやせていくというわけです。
また、肝臓は体の中に生じる有害物質を無毒化して尿や胆汁として排出する、解毒の役割も担っています。ほかにもさまざまな役割がありますが、まずは、「やせるためには肝臓を正常に働かせることが何より重要」ということを覚えておきましょう。
「奇跡のやせみそ汁」を作るたった3つのポイント
肝臓の脂肪を減らすためには、糖質と脂質を適正量に抑えながら、代謝のスイッチを入れるタンパク質をしっかりと摂取し、代謝を促すために必要なビタミンやミネラルを過不足なく摂る必要があります。さらに、肝臓と密接に関わっている腸内環境を整えるため、食物繊維も摂るよう心がけなくてはいけません。
これらすべてを満たしてくれる魔法のような食べ物、それこそが「やせみそ汁」なのです。毎朝、具だくさんのみそ汁を最低1杯飲むだけで、肝機能は自然と回復し、代謝のよいやせる体が手に入ります。
(写真/PIXTA)
作るポイントは、たった3つだけ。みそはお好きなものを使ってかまいません。
ポイント1:具はたっぷり入れる
肝臓太りの最大の原因は糖質の取り過ぎによるもの。みそ汁に肉や魚、野菜などの具材をたっぷり入れると、お腹が自然と満たされて主食の量が減り、糖質の取り過ぎを防いでくれます。さらに、食後血糖値の上昇がゆるやかになり、脂肪を溜め込む原因となるインスリンの分泌量も抑えられるので、太りにくくなります。
ポイント2:タンパク質をプラス
肝臓は、アルコールを分解して解毒する働きがあります。その働きを担う物質がタンパク質です。また、傷ついた肝臓を修復するときにもタンパク質は必要です。タンパク質は体に溜めておくことができないので、適量をできるだけ毎食摂る必要があります。そのときに特に意識してほしいのが、朝食で摂るタンパク質。1日のはじまりにタンパク質を摂ることで肝臓にある代謝のスイッチが入り、一日中、効率よく糖質や脂質をエネルギーへと変換してくれます。
タンパク質は、肉、魚、卵、大豆、乳製品のどれか1つに偏らず、できるだけいろいろな組み合わせで摂るといいでしょう。朝であれば包丁を使わず調理できる豆腐や卵、魚介の缶詰などがおすすめ。
ポイント3:食物繊維をプラス
肝臓と腸に密接な関わりがあることをご存じでしょうか? 肝臓は、門脈という器官を通して腸とつながっています。そのため、腸内細菌の影響をダイレクトに受けることになります。腸内環境が乱れて増えた悪玉菌が毒素を作り出すと、毒素は血流にのって肝臓に到達し、肝臓の解毒作用によって無毒化されます。毒素が増えれば増えるほど、肝臓は「解毒」に力を注がなくてはならないため、その分「代謝」の働きは低下し、太りやすくなるというわけです。
肝臓に「解毒」という余計な仕事をさせず、「代謝」に専念してもらうためには腸内環境を整えることが何より大切。そのために必要なのが食物繊維です。食物繊は善玉菌のエサとなり、悪玉菌を減らして善玉菌を増やしてくれます。また、便の量や硬さを調節して便通を促す働きもあります。さらに、食物繊維は腸での糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を抑えて脂肪肝を予防・改善する働きもあります。
肝臓の中性脂肪を減らす「長ねぎとサバ缶のみそ汁」
それでは、実際に私が薦めている「やせみそ汁」のレシピをご紹介しましょう。サバに含まれるDHA・EPAは、肝臓の中性脂肪を減らす効果もあります。
「長ねぎとサバ缶のみそ汁」
(写真/PIXTA)
材料(2人分)
サバ缶(水煮)…… 1缶
長ねぎ(小口切り)…… 約10cm
水…… 300 ml
みそ…… 大さじ1
作り方
1. 鍋に水とサバ缶の中身を汁ごと入れて、身を崩し過ぎないように注意しながら煮立てる。
2. 火を弱めてみそを溶き入れ、火を止める。器に盛り、長ねぎを散らす。
書籍『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲む やせみそ汁』では、他にも肝臓から脂肪が消えるメカニズムについてや、おいしいみそ汁&みそ料理レシピを掲載しています。
ダイエット法は星の数ほどあれど、肝臓に溜まった脂肪を追い出すことが、もっとも効率的。
ぜひ、「1日1杯のやせみそ汁」で肝機能を回復させ、代謝のよい“やせる身体”を手に入れてくださいね。
レシピ協力:ひかり味噌株式会社
イラスト/アボット奥谷
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『医者が飲む やせみそ汁』
監修:栗原 毅
栗原 毅
栗原クリニック東京・日本橋院長。医学博士、日本肝臓学会専門医。前慶應義塾大学教授・前東京女子医科大学教授。2008 年に消化器病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防と治療を目的とした「栗原クリニック東京・日本橋」を開院。「血液サラサラ」の名づけ親でもある。医療過疎地との遠隔医療を行うなど、予防医学の実践者として活躍している。
『1日1杯血液のおそうじスープ』(アスコム)、『1週間で勝手に痩せていく体になるすごい方法』(日本文
芸社)、『肝臓の脂肪は3日で落ちる』(池田書店)など、著書多数。