【ダウンタウンDXに出演!】霜降り明星・せいやの“半自伝小説”がベストセラーに
「ある朝、机がひっくり返っていた。いじめは急にはじまった。
そんなイシカワ少年を救ってくれたのは、コントだった。」
――1月9日放送の「ダウンタウンDX」(よみうりテレビ系列)に出演予定の、霜降り明星・せいやさん。年末年始の特番でも多くの番組にご出演されていたせいやさんですが、じつは、昨年11月末に発売した初の半自伝小説『人生を変えたコント』(小社刊)がたちまち14万部突破、Amazonの総合ランキングでも1位(!)というベストセラーに躍り出るほど、大反響となっていることをご存知でしょうか。
3年半という歳月をかけて5万字を書き下ろした本作は、イシカワ少年…石川晟也こと、せいやさんご自身が受けた“集団いじめ”体験を赤裸々に綴りながらも、笑って泣けてスカッとする“青春群像劇”に仕上がっています。
芸人になる前は教職を目指していたというせいやさんは、心血を注いだ本作について「学校での生活が難しいと感じている、学生さんに読んでほしい」「できれば読書感想文を送ってほしい」と語ります。
ここでは、その『人生を変えたコント』より一部を抜粋・編集し、いま注目のベストセラーの中身を、新年特別企画として、少しだけお届けしましょう!
※本記事は、せいや(霜降り明星):著『人生を変えたコント』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
誰もが陥る「クラスカースト」という危うさ
ほとんどの人は「自分はいじめと無縁だ」と思っている。この話に出てくる大阪市立ホシノ高校1年生のイシカワもそう思っていたひとりだ。
〝自分がいじめられるわけがない〟
たいていの人は自分のことをそう思っている。実際、このイシカワという背が低くて目がクリっとした少年も、高校1年の新学期まではそう思い込んでいた。
振り返れば小学校と中学校時代、友達は人並みにいたし、比較的性格も明るかったし、お笑いが大好きな少年だった。大阪で生まれ育った子どもだったからか、目立つことが好きで、お笑い番組は必ず録画。そしてもっとも面白い漫才師が決まる大会『M-1グランプリ』や、特にお気に入りのネタなどは台本に書き起こして真似をした。それを団地に住んでいる友達などに披露するほどの熱の入れようだった。
だから、これまでの歩みと同じように、高校に進学した新学期でもすぐに友達ができると思っていた。
そしてイシカワは新しい4月を迎えた。高校1年の新学期というのは、一見すごく華やかに見えて、実はとても不安定な時期でもある。まるで鍛冶の刀づくりのように、熱を加えればどんな形にでもなってしまう未完成の空気だ。特に最初が大切で、クラスメイトたちに自分のことをどう知ってもらうか―― 慎重にいかないと3年間、この新学期の出だしの印象で卒業までいってしまう可能性があるからだ。いわば一種の友達づくりのオーディションみたいなことが行われている。
たとえばこの新学期に、たまたま顔に鼻クソがついていたら、もうあだ名は「ハナクソ」で確定。教室でうんこを漏もらせば、例外なく「うんこマン」もしくは「うんこくん」など、うんこを軸にしたあだ名を構成され続けることになる。
だからこの新学期というのは、とても大事な時期であり、チャンスでもあるが、ピンチでもある。学生時代は常にそのような可能性と危うさを秘めている。学生時代を忘れてしまった大人にはわからない世界かもしれないが、高校1年の新学期というのは全員が少しずつ警戒しながらガードを固めて椅子に座っているのだ。
それはイシカワも同じだった。初日は慎重に、目立たないようにして普通に過ごそうと思っていた。しかし、その初日に小規模ではあるが、男子グループ、女子グループがぼんやりと形成されつつある雰囲が早くも出ていた。
「マズい。自分もみんなのこの輪のなかに入らないと取り残される」
イシカワはそんな焦燥感にかられていた。ここで乗り遅れるとクラスの一軍グループに入れない気がするからだ。冷静に考えれば、一軍だから偉いなんてことは別にないのに、思春期は非常に小さなカーストを気にしてしまう。
「いじめ」は、急に始まる。
ある日、登校して教室に入ると、イシカワの机がひっくり返っていたのだ。
実行犯が後ろで笑いをかみ殺しながらこっちを楽しそうに見ている男子4、5人のグループであることはすぐにわかった。もちろん偶然でも偶発でもなく、この行為はイシカワに向けてわざと仕掛けられている。イシカワがひっくり返った机を持ち上げて戻すと、そのグループはフッと鼻で笑っていた。くだらなさすぎてそのときはなんとも思わなかったが、次の日もその次の日も、机が逆になっていた。それを戻してから、椅子に座る。
想像してほしい。地味ないじめだが、周りの女子や男子たちも、それを黙認しているわけで、その空気がキツい。やられていること自体はたいしたことはないが、クラス全体がそれを見て見ぬふりをして、黙認していることがショックであり、とても恥ずかしい思いへとつながる。みんなが共犯者になり得るのだ。主犯格と思われるその4、5人の男子グループの顔に目をやると、その顔は満足げにも見えた。
そうか、あいつらは俺をいじめることで、「自分たちは一軍から外れていない」という感覚を確認しているんだ、ということを理解した。机をひっくり返すという子どもじみた行動も、仲間意識を深めるためにゲームをしている感覚に近いのだろう。
その日の夜、イシカワは自宅で今後について少し考えたが、性格的に「学校に行かない」という結論にはまったく至らなかった。ちゃんと毎日学校に行きたい――。何より母親や家族に心配されたくないし、言い出せない。
それからもちゃんと毎日、学校に行った。
それでも机は毎日ひっくり返っていた。悲しい光景だった。
イラスト/金井 淳
さあ、主人公のイシカワは、このあと“奪われた青春”を、どんなふうに取り戻していくのでしょうか。そして、どう人生を変えていくのか。その、どんでん返しや、いかに……!?
イシカワは「この学生時代の経験をいつか本にしたい。文字に書いて本にして出したい」と思っていたそう。同じような境遇の人に、ひとりでも多くの人たちにこの経験を話したい。そして今、32歳になったイシカワ(せいやさん)は、この『人生を変えたコント』を世に広めることに――! まさに、17年来の夢を実現させた、ひとりの少年の感動の物語なんです。
今年は、本書を片手に泣いて笑って、スカッと一年をスタートさせてみませんか?
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『人生を変えたコント』
著:せいや(霜降り明星)
せいや(霜降り明星)
1992年9月13日生まれ。大阪府出身。2013年1月に粗品と霜降り明星を結成し、ボケを担当する。2017年「第38回ABCお笑いグランプリ」優勝。2018年に『R-1ぐらんぷり2018』史上初のコンビそろっての決勝出場という快挙を果たす。同年末に行われた『M-1グランプリ2018』では番組史上最年少で優勝。一躍、お茶の間の人気者となる。その後、『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)、『新しいカギ』(フジテレビ系)などのレギュラー出演、『テセウスの船』(TBS系)などのドラマ出演、YouTubeチャンネル『しもふりチューブ』『霜降り明星せいやのイニミニチャンネル』の開設など、その活動の幅を広げている。本書の執筆で「学生時代の経験をいつか本にしたい。文字に書いて本にして出したい」という夢もかなえた。
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