ふらりと立ち寄りたい関西風の棒寿司 浅草【468】

ふらりと立ち寄りたい関西風の棒寿司 浅草【468】


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月一で通っている行きつけのお店、ハレの日のとっておきのお店、
ちょっとニッチで穴場的なお店……。
食いしん坊のファッションライター・arikoさんがつづる
新しい偏愛レストランガイド。

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合羽橋道具街から一本入った場所にある「468」は東京では珍しい関西風の棒寿司がカウンターで味わえる貴重な店だ。468という暗号のような店名は「ヨーロッパ」と読む。


伝統的な関西のすしには、四角い木枠に具材とすし飯を詰めて形作った箱寿司と丸ごと1尾の魚とすし飯を巻き簾や布巾で包んで整形した棒寿司があり、この店ではその両方が楽しめる。

看板の穴子の棒寿司は大ぶりの穴子を開き、はも切りの要領で骨切りしてから香ばしく焼き上げたものを、鯖の棒寿司は肉厚で脂の乗った鯖を軽く締めて白板昆布と共に巻き上げる。

店主の岩崎さんは京都の名店「すし岩」で修行した後、2005年に東京のこの場所に店を出した。飄々としていてお茶目なご主人がひとりで切り盛りしている6席ほどの小体な店内はなんとも居心地がいい。カウンターに座ると膝の当たる壁がふっくらとしたクッション仕立てになっていることに驚かされる。

13時から21時の通し営業なので、混み合う時間を避けて、昼下がりにふらりと立ち寄るのがおすすめだ。おひとり様が似合うのもこの店らしい。


すし前のアテも色々揃っているのも魅力。ふるふるのだし巻き玉子やなまこ酢などに珍味に、小鍋仕立ての丸鍋などを相手に日本酒を楽しんでから、穴子や鯖、はこ、ぐじ(甘鯛)の4種盛り合わせを、もうひとつの名物、ジャガイモのスリ流し「芋吸い」と共に締める。そんな楽しみ方ができるのが嬉しい。


「また帰る」という気持ちを込めて添えたというカエルモチーフの葉蘭にも思わず笑顔になってしまう。「ゆるりと」という言葉がこれほど似合う店が他にあるだろうか。サクッと食べて飲んでいい気分で店を後にできる。ちなみに寿司類はテイクアウトでも楽しめる。


DATE

468(ヨーロッパ)

住所 〒111-0035 東京都台東区西浅草3-23-14
営業時間 13:00~21:00
電話番号 03-3843-6964
定休日 月曜・不定休(最新情報はSNSでご確認をお願いします)
Instagram @sushi468tokyo
※現金決済のみ

*次回は2月14日更新予定です。

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Written by ariko

CLASSY.、VERY、HERSなどの表紙やファッションページを担当する編集ライター。日々の食卓をポストしているInstagramが、センスあふれる美味しそうな写真と食いしん坊の心を掴む料理で話題に。著書に『arikoの食卓』シリーズ、『arikoの黒革の便利帖』(共にワニブックス)、『ありこんだて』(光文社)、 『2品で満足 arikoの家和食』(講談社)など多数。
Instagram:@ariko418

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