【INTERVIEW】5月2日に公開を控える映画『6人ぼっち』に出演する中山ひなの。同世代の現場で吸収したことや、本作への思いなど様々に聞いた。

【INTERVIEW】5月2日に公開を控える映画『6人ぼっち』に出演する中山ひなの。同世代の現場で吸収したことや、本作への思いなど様々に聞いた。


近年では、ドラマ『ギークス』『さっちゃん、僕は。』、Amazon Originalドラマ『龍が如く~Beyond the Game~』などに出演し、着実に演技経験を積み重ねる中山ひなの。次なる出演作は5月2日公開の映画『6人ぼっち』。広島での修学旅行をきっかけに、集められた6人の“ぼっち”達が織りなす青春ストーリーだ。中山演じる山田ちえは、おとなしく自分の意思を表に出さない役どころ、どんな風に表現したのか話を聞いた。

撮影/浦田大作 スタイリスト/岩渕真希 ヘアメイク/山口恵理子 文/太刀川梨々花


――映画『6人ぼっち』の出演が決まった際の気持ちを教えて下さい。

「高校卒業してから、また制服が着られること、そして同世代の方達と一緒にお芝居出来ることが凄く嬉しかったです」

――タイトルにもある6人の“ぼっち”達の物語で、脚本の視点が面白いと感じました。中山さんは脚本を読んで、どんなことを感じましたか。

「私も凄く面白いなと思いました。学生の作品は、やっぱりどうしてもキラキラとした部分を切り取るのが多いと感じていたので、“ぼっち”という視点に当てて描くのが面白いし、素敵だなと思います。あと、6人もいるのに分かりやすくキャラクターが被っていないのが、いいですよね」

――その6人の中で、中山さんが演じた、山田ちえという役はどうアプローチしていきましたか?

「自分の意見をあまり主張しない、主張することが怖いところがあって。自分を出せなくなった出来事があるのですが、それをどのシーンでもバックボーンに入れながら演じていました」

――演じる上で、自分の中に役がすぐに入っていきましたか?

「脚本を読んだ段階で、ちえのイメージ像みたいなのがすぐに思い浮かびました。なので、自分が感じたままに演じることが出来たと思います」

――下を向いて会話する感じや、声のトーン、喋るスピードなど、その辺りも意識されましたか。

「ワンテンポおいて話したり、つっかかりを入れたりとか意識しました。ちえは自分の主張は出来ないけど、心の内に優しさがあると感じたので、声の柔らかさを表現出来るよう頑張りました。台本に「・・・」とあって、そこは一言一言サブテキストをつけたりしました。本読みの時に脚本家の政池さんが実際にいらして、褒めて頂けたので、これをベースに「・・・」をより深掘りして埋めたり、こういう話し方をするかなと研究しました」

――宗綱監督ともお芝居について何かお話しされましたか。

「現場でも褒めて下さり、自信を持つことが出来たんです。『自分が思ったようにやってほしい』と言って頂いて。やっていく内に、『ここはもう少し強く言ったほうがいいかな?』と疑問に思うことがあったら聞きにいったりしました。脚本を読んでいて矛盾みたいなのはなかったので、自分の中に落とし込んで、ちえという人物像に当てはめながら、当てはめて少し違和感があったら、ここを変えたら大丈夫かとか、そういう作業を一個一個崩してやっていました」

――同世代の現場でしたが、共演者の方から刺激を受けたり、吸収したことは?

「吉田晴登君(飯島役)の橋のシーンでのお芝居が凄くグッときました。あと、私は今までギャルみたいな役は演じたことがないので、三原羽衣ちゃん(すみれ役)のお芝居が今後の参考になるなと感じました」

――橋のシーンは涙が溢れる表情も印象的です。

「泣くお芝居は特に感情が出やすいタイプなので、セリフを言っているうちに気づいたら涙が流れています。今回は、飯島君に向けて伝えるってことをしっかり意識してやっていました」

――現場の雰囲気やムードメーカーは?

「みんな人見知りすることがなくて、三原羽衣ちゃんが率先して現場を明るくしてくれたイメージがあります。あとは、野村康太君がよく一発ギャグやっていたなって(笑)。和気あいあいと楽しい現場でした」

――特に印象に残っているシーンを教えて下さい。

「私が好きなシーンは、予告に出ていた6人で走るところです。6人がキラキラしていて好きでした。実際に撮影中も走りながら青春だなって感じて楽しかったです」

――ちなみに、セリフの覚え方はどんな風にやっていますか。

「1回目は客観的に読んで、2回目は自分の役中心に読んでいます。作品の中での自分の役の役割や、どういう立ち位置にいたらいいかなど考えますね」

――台本にメモを書いたりはされますか?

「よくやりますね。演技している時は、メモした内容を考えないようにしているんですけど、思いついたことや、初めて読んだ時に感じたことと、何回も読んでいるうちに感じたことが変わってきたりするので、それも全部書いてストックとして自分の中に持っておいて、現場に入って試してみてというのをしています。どれも正解だと思うので、どれが出てもいいと思うし、また違うのが出てきちゃうかもしれないし、どれが出るか毎回楽しみにやっています」

――今回の作品にちなんで、中山さんが学生の頃の思い出を聞いてもいいですか。

「私も高校時代に修学旅行に行ったんですけど、ちょうどコロナ禍で、最初はシンガポールに行くはずが東京に変更になって、東京も行けなくて、大分になったんです。遊園地に行って、土砂降りの中、みんなで雨具を着てびしょ濡れになりながら遊びました。当時は修学旅行なのに雨なんて最悪だって思ったんですけど、今振り返ってみると青春だったな、いい思い出になったなって感じます(笑)」

――役者としての考え方にも触れたいのですが、中山さんが今、お芝居をする楽しさはどこにありますか?

「毎日違う生き方が出来ること、色んな役を演じる上でもそうですし、実際に作品に入って、今まで出会ったことのない人達と出会うとか。色んな感情だったり、自分ではしない服装、髪型とか、価値観、考え方を沢山摂取出来るお仕事だなって思っていて、それが尽きないんです。新しいことが尽きないのが素敵だし、いつまで経ってもワクワクします」

――日々お芝居をしていて、自分自身が成長したなと感じる部分はありますか?

「成長…日々が学びでしかなくて。自分の感受性が豊かになったのと、自分の考えをちゃんと伝えられるようになりました。高校生の頃とかは割と思っても手前で止めちゃうタイプだったんですけど、言って作品がよくなることはしっかり伝えるようになったと思います」

――普段から作品をみることは好きですか?

「大好きです。ドラマや映画をお休みの日はずっと見ています。特に、三谷幸喜さんの『ステキな金縛り』が大好きで、疲れた時とかに観ると、“はあ…エンタメっていいな”と感じます」

――今後、挑戦してみたい役柄や目標は?

「今は映画に出たくて、リアリティ会話劇や社会派の作品などに興味があります。あとは、シュールコメディもやってみたいです。先日も日本アカデミー賞がありましたが、私も立ちたいって毎年思いながら、スマホの待ち受け画面を受賞者にて言霊と視覚で脳に伝えています(笑)。いつか絶対に立てるように頑張りたいです」

――では、改めて本作の見どころやメッセージを頂けますか。

「それぞれに葛藤があって、ちえも心の蓋をした状態から、他の5人と関わっていきます。修学旅行でどう変わっていくかっていうのは最初の表情と、最後の表情で全然違うので注目して観て頂きたいです」

――見終わったあとに心が温かくなりました。

「最初はみんながみんなを拒否していたのに、あそこまで修学旅行を通して繋がれることがいいなって思います。学校は強制的に仲良くなるグループが出来てくるじゃないですか、それでも関りがなかった共通点もない6人が集まって、“どうなるんだろう?”って思っていたら凄く素敵な終わり方ですよね」

――色んな世代の方に観ていただきたい作品ですね。

「現役の学生の方達にも観て頂きたいですし、学生を経験された大人の方達にも刺さる作品になっているんじゃないかなって思います」


衣裳協力:白ニットベスト¥27,500、白ワンピース¥42,900(muller of yoshiokubo)


プロフィール
なかやま・ひなの
2004年10月29日生まれ、佐賀県出身。TBSドラマストリーム『さっちゃん、僕は。』で連続ドラマ初主演となる。舞台『迷子の二人』(2018年)で主演を務めデビューを果たす。短編映画『あめとひなた』(2021年)では、かごしま平和映画祭で主演女優賞を受賞する。TBSドラマストリーム『さっちゃん、僕は。』でヒロインを演じ、注目を集める。ほかCX『ギークス〜警察署の変人たち〜』、Amazon Prime Video『龍が如く〜Beyond the Game〜』がある。現在、NHKドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』に目白弓役で出演中。


●作品紹介
『6人ぼっち』
監督/宗綱弟
企画・脚本/政池洋佑
出演/野村康太 吉田晴登 三原羽衣 松尾潤 鈴木美羽 中山ひなの 他
配給/ギグリーボックス

高校生活一度きりの修学旅行。それは最高の思い出になるはずだった。班決めで余り者にならなければ…。クラスメイトが次々と集まって班を決める中、誰とも班を作れなかった5人の生徒に、なぜか修学旅行当日に来た引きこもりの生徒1人を加えた、6人の“ぼっち”は偶然同じ班を作ることに。広島での6人の“ぼっち”の奇妙な班行動は、思わぬ方向へと向かい始める―。かつて学生だった全世代に刺さる“青春できていない青春映画”がここに誕生!!
5月2日(金)より、新宿ピカデリーほか全国順次公開
https://6ninbocchi.com/