【INTERVIEW】大人気コミックス『ブルーロック』がついに実写映画化。主人公・潔世一が属するチームZの一員、今村遊大を演じる櫻井佑樹に話を聞いた。
革命的なストライカーを育成するための施設“青い監獄(ブルーロック)”で、たったひとりだけ選ばれる究極のストライカーになるために熾烈なサバイバルに挑む高校生達の激闘を描いた映画『ブルーロック』。プロを目指してサッカーに打ち込む学生時代を送っていたという櫻井佑樹に、彼らしい視点で本作の撮影の日々を振り返ってもらった。
撮影/浦田大作 スタイリスト/能城匠(TRON) ヘアメイク/梶原莉菜 文/高本亜紀

――今作への出演が決まった際の、率直な気持ちを聞かせて下さい。
「出演が決まる前からアニメを観ていましたし、僕自身、ずっとサッカーをやっていました。映像化するのが難しいと言われているサッカー作品に出演する機会は巡ってこないだろうと思いつつ、もし実現するなら絶対に出たいと思っていたんです。そんな願いが、『ブルーロック』という誰しもが知っている作品で叶ったのは本当に嬉しかったです」
――今回はオーディションで決まったそうですが、オーディションではどんなことをしたのでしょうか?
「18歳まで横浜F・マリノスのアカデミーにいたので、マリノスのユニフォームとトレシュー(トレーニングシューズ)を持参して、着替えてから臨みました」
――絶対に役を掴むぞという意気込みだったと。
「普段着で行くより気持ちも伝わるんじゃないかと思いましたし、“これしかないだろう!”と。そして、自分がどれだけサッカーに打ち込んできたかをお話ししました。これは出演が決まってから知ったことなんですが、高校時代に教わっていた監督さんが、今作のサッカー監修をされている松井大輔さんのマネージャーさんと以前から仲がよかったらしくて。僕のことは監督から聞いていたということを伺いました。サッカーをやっていてよかったなと改めて実感しました」
――プロサッカーを目指していた櫻井さんから見て、今作の面白さはどんなところにありますか?
「普通のサッカーチームと違って、ストライカーだけを集めて切磋琢磨していくところがまず面白いですよね。試合の時、誰がどのポジションをやるかで揉めるシーンがあるんですが、個性的な登場人物が揃っているのも魅力的で。僕は元々、中学2年生くらいまではFW(フォワード)をやっていて、そこからサイドハーフ、サイドバックにポジションが変わったんです。ストライカーだった頃の自分を思い返すと確かにそうだったというか。親からも『お前が決めろ』と言われていましたし、FWってエゴがないとできないポジションだと思います。そんな性質の選手が11人も集まっているところも面白いなと思っていました」

――サッカー好きからすると、ストライカーだけでいいという絵心甚八の考え方は暴論に近いとも感じますが、そう考える理由を聞くとなるほどと納得する部分もあります。
「個人的な意見ですが、FWはディフェンスもわかってないといけないところがあると思うんです。自分がディフェンスされた時にどう阻まれたかを理解すれば、点を取る時に相手DF(ディフェンダー)の嫌なところを突けますからね。そういう意味では、リアルに当てはまるところもあるのかもしれないですね」
――演じた今村遊大については、どんな印象を持ちましたか。
「今村はスピードとテクニックが強みの選手。サイドハーフをやっていた時も、対人やスピード、ドリブルで評価してもらっていたので、プレースタイルが似ているなと。だったら、当時のプレーをすれば大丈夫だろうなと思いました」
――プラスアクト8月号では主人公・潔世一役の高橋文哉さんをはじめ、さまざまな方にお話を伺っています。中には、全てのプレーシーンでどう動くかをクランクイン前、緻密につくりあげたと話されている方もいました。
「練習期間は1年間あったんですが、最初は基本、フットサルコートで練習をしていて、クランクインの1、2週間前くらいに、いきなりフルコートでの練習に切り替わったんです。サッカー経験のないキャストの方々はその広さに驚いていました。フルコートとフットサルコートではいろいろと違いがあるので」
――走るスピードや味方との距離間、パススピードなど、いろんなことが異なる気がします。
「本当にそうなんです。ただ、1年間の練習があったからか、フルコートになってもみなさん、すぐに対応していて。もちろん松井さんやコーチのみなさんのおかげもあると思いますが、プレーの失敗で(時間が)押したり、ダメだったりしたことはなく、撮影はスムーズに進んだと思います」
――サッカーのプレーシーンは11人がどう動くか、どこにポジションを置くかが重要になりますが、リアルさを求めるとなると、それぞれのポジションも大事になってきますよね。
「サッカーの経験がないと、ボールを持ってない時にどう動いたらいいかがわからないところもあると思いますが、プレーシーンの撮影で全体が映っている時、ボールを持っている選手の逆サイドにいる選手が止まっていると不自然ですからね。他のキャストの方々から教えてと声をかけていただくことも多かったので、作品をよりよくするために役に立ちたいと思い、『この場面では中に絞ったほうがいい』と伝えることはありました」

――積極的に自ら声を掛けてアドバイスすることもありましたか?
「ありました。練習期間中、そういう立ち回りをしてほしいと言われていましたし、ゼロからスポーツを究めるって大変じゃないですか。わからないことが多いですし、時には基礎を吹っ飛ばしてでも立ち位置などを意識したほうが試合としてのリアリティが出ると思ったんです。もちろん、技術的なことに関しては松井さん達から指導が入りますが、そうじゃない細かいところでアドバイスできる時は伝えるようにしていました」
――今までの経験が活かされましたね。
「いやぁ、本当に。サッカーをやっていてよかったです! 地方で3、4カ月撮影したんですが、サッカーをやっていた頃の合宿を思い出すような日々でした」
――内面的にはどんなことを意識して演じていましたか。
「今村はノリが軽くて、ちょっとチャラい人。サッカーをしている時はもちろん真剣に向き合いますが、みんなで食事するシーンなどでチャラさを見せるというのは意識していたところです。あと、普段今村はピアスをしているけれど、サッカーの時はちゃんと取る。小さいことですが、これが自分の中で切り替えの鍵となっていました」

――チャラさというのは具体的に言うとどんなことですか?
「サッカーをやっていると、チャラいと思われがちだと思うんです(笑)。高校生の頃は特にサッカー=チャラいというイメージがありましたが、実際、同年代ばかりで仲がいいとなると、ノリが軽くなるところがあるので。なので、当時のことを思い出しながら、話し方を『~っしょ!』のようにしていました。ですが、意識したというより、自然とそういう口調になれていたところはあった気がします」
――同世代が多いぶん、周りから刺激も多く受けたのではないですか。
「いろいろと勉強になりました。先ほどの話にも通じますが、みなさん、現場ではわからないことをないがしろにせず、どうしたらいいかを常に追究しているんです。例えば、ポジション的に近かった成早朝日役の西垣匠君、久遠渉役の浅野竣哉君、五十嵐栗夢役の青木柚君とかは、『今あそこにボールがあるけど、俺らはどこら辺にいたらいい?』と聞いてくれたりして。今までこれだけ長い期間をかけて撮影する作品経験はなかったですが、僕も今後同じような機会があればどんどん聞こうと思いました。あとは、それぞれ役の向き合い方にも違いはあるし、こだわる部分も違っていて。長い期間、一緒にいたからこそ気づけたことは多かったですし、みんなを見ていると自分ももっと頑張ろうと思い、お芝居への熱量がさらに増していきました」
――俳優としていろんな経験を積まれている最中ですが、これまでの中でお芝居へのモチベーションがさらに上がるようなきっかけや作品があれば教えて下さい。
「この作品が特にそうなると思っています。いろんな人が(出演を)喜んでくれたり、久しぶりの人から連絡をもらったりもして。注目されている作品に出演させていただけることを、日々実感しているところです。だからこそ、この作品を機に俳優としてもっともっとレベルアップしていきたいなって…一生、記憶に残る作品のひとつになると思います」
――小さい頃からプロになるために頑張ってきたサッカーを辞めるのは、相当の決意が必要だったのかと思います。
「長い期間頑張っていたので、すごく悩みました。けど、その決断があったから今がある。あのままサッカーをやっていたらできなかった体験をたくさんさせてもらっているなと思っています。それに、今の仕事はサッカーと通じるところがあるなと思っていて。サッカーも試合でいいプレーをするために準備が必要なのと一緒で、俳優も本番にいいパフォーマンスをするために準備が必要です。それに、日本代表になってワールドカップで優勝することを本気で目指していたサッカーと同じで、俳優でもナンバーワン、オンリーワンになれるように頑張りたいと思っているので、周りからいい影響を受けながら個性を大事に、いろんな方に楽しんでもらえるように幅を広げていけたらと思っています」
――そんな櫻井さんが今、プライベートで大事にしてる時間はありますか?
「僕、家にいるのが好きなんです。劇団EXILEの先輩である佐藤寛太さんから詩の短編集と伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』など、本をたくさんいただいたんです。小さい頃から、おばあちゃんに本を読めと言われていて。以前はサッカーに夢中であまり読んだことはなかったんですが、俳優って台本を読むのも仕事のひとつじゃないですか。いい機会だと思い家で本を読むようになりました」
――ちなみに、サッカーの試合を観ることはありますか?
「ゴールシーンの切り抜き動画を観ることはあります。もうすぐワールドカップも始まるので、日本代表の試合は観たいと思っています(取材時は5月下旬)。日本代表にはアカデミー時代に戦っていた選手も選ばれていますから。(鈴木)彩艶選手は同い年ですし。いい試合をしていただいて、その勢いのまま、多くの方に『ブルーロック』を楽しんでいただけたら嬉しいです」

●プロフィール
さくらい・ゆうき
2002年5月29日生まれ、神奈川県出身。2022年11月より劇団EXILEの一員に。主な出演作は、ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』『4月の東京は…』『素晴らしき哉、先生!』『殺した夫が帰ってきました』、映画『HIGH&LOW THE WORST X』『アキはハルとごはんを食べたい 2杯目!』、舞台「タクフェス 第11弾『晩餐』」、『青のミブロ』など。
●作品データ
映画『ブルーロック』
原作/金城宗幸・ノ村優介『ブルーロック』(講談社『週刊少年マガジン』連載)
監督/瀧悠輔
脚本/鎌田哲生
出演/高橋文哉 櫻井海音 高橋恭平 K(&TEAM) 綱啓永 野村康太 畑芽育 窪田正孝 他
製作/CK WORKS
配給/東宝
サッカー日本代表の得点力不足を解決するために立ち上げられたプロジェクト“青い監獄(ブルーロック)”。潔世一(高橋文哉)を始めとした300名の高校生ストライカー達は、プロジェクトの最高責任者・絵心甚八(窪田正孝)から、最後に勝ち残ったひとりだけが日本代表のストライカーになれると聞かされて――。
2026年8月7日より全国公開








