【INTERVIEW】現在放送中の『おちたらおわり』で好演の清水海李。役者としてのステップアップとなる今作に込める想いを聞いた。
人気のBLドラマ『修学旅行で仲良くないグループに入りました』の堀田颯斗役で注目を集めた清水海李が、7月から放送中の新ドラマ『おちたらおわり』に出演。宇垣美里×篠田麻里子がバトルを繰り広げるタワマン主婦同士のサバイバルサスペンスで、鈴木紗理奈演じるタワマン主婦仲間・楠紗都の夫・英治を演じる。女性同士の壮絶などろどろドラマで、どんな役柄を演じるのか? さらに昨年末に事務所を独立し、自身の力で芸能活動を続ける今の心境、そして未来への展望も聞いた。
撮影/浦田大作 文/本嶋るりこ
――まずは7月から始まる連ドラ『おちたらおわり』のお話から。どんな経緯で出演が決まったのでしょうか?
「自分は元々トレーニングをしているので、肉体派モデルをしている夫という役柄に合うということで声をかけていただきました。今まで演じた役柄はピュアな高校生が多かったのですが、今回は正反対の役柄です。一役者としていろんな役柄を演じたい、大きな挑戦がしたいという気持ちがあったので受けさせていただきました」
――妻がありながら、同じマンションに住む妻のママ友と道ならぬ関係になってしまうショッキングな役柄ですね。
「すでにクランクインしていて、撮影はもう後半戦に入っているんです。なので、もうだいぶ英治という役をつかめていますね。最初に台本を読んだ段階ではチャラいイメージしかなかったのですが、読み進めていくにつれて印象が変わりました。どこか悪気がないというか、心の奥底にはちゃんと奥さんに対しての愛情もある。でも、それを忘れてしまっていて、目の前の誘惑に負けてしまうんです」
――どういうふうに役づくりをしていったのでしょうか。
「好奇心旺盛で、その場その場の出会いを純粋に楽しめる英治という人物像を、自分の中でしっかり持って現場に入りました。カリスマモデルという設定なので、これまで女性にモテてきたであろう余裕や自信は意識しつつ、一方でどこかポンコツな一面もある人物なので、そのギャップも大切にしていました。体づくりにも力を入れていて、カリスマモデルとしての説得力を出すために、ひと回り体を大きくすることを目標にしました。食事は1日約5,000kcalを目安に摂って、トレーニングの強度も普段以上に上げながら撮影に臨みました。キャラクターの奥行きは、撮影を重ねる中で少しずつつかめていった感覚があります。最初はチャラさを強く意識していたんですが、演じていくうちに英治の人間らしさや愛嬌も見えてきて、役が深まっていきました」
――監督とは役についてどんな話をしましたか?
「女性がメインのストーリーの中、男性陣の中では物語を大きく動かしていく刺激的な役割でもあるので『英治が面白くなったら作品の見応えが増す』と。『やりすぎてもいい』と言っていただいたので、思い切り演じています」
――女性ばかりのキャスト陣ですが、現場の雰囲気はいかがですか?
「僕の妻役を演じる(鈴木)紗理奈さんは、すごく元気でパワフル。ムードメーカーですね。だから、女性ばかりだからといって話しづらいということは全くないです。関西人も多い現場なので、すごく明るいムードです。ドラマはどろどろしていますが(笑)」

――紗理奈さんと夫婦役を演じた感想は?
「紗理奈さんとは年齢が20歳以上離れています。英治は紗都への女性としての愛情が薄れてしまっている役なので、僕自身も紗理奈さんとは男女というより、年上の先輩として自然に接することができました。紗理奈さんからも『私の子供くらいの歳やん!』なんて言われることもあって(笑)、そういう空気感が逆に役としてもちょうどいい距離感に繋がっていたのかなと思います。お芝居では紗理奈さんは毎回違うアプローチをされるので、毎テイク新鮮な気持ちで向き合うことができました。英治は紗都にあまり興味を示さない設定なので、相手のお芝居を受けるシーンも多かったのですが、そのぶん、その場で生まれるお芝居を楽しみながら演じることができました」
――今回の役柄で、役者として新たなビジョンは描けましたか?
「まず濡れ場の演技は初めてだったので、そこは挑戦でした。地上波のドラマなのであまり生々しすぎてもダメだけど、情熱的な演技をしなきゃいけない場面も多々あって。そういったシーンでのカメラを意識した見せ方はとても勉強になりました。役柄的にもピュアな高校生を演じることが多かった中、こういった日常の中にいるクズというか(笑)、好感度の低い人物像を演じられたのは、自分の中での大きな一歩でしたね。今後もそういったキャラクターを演じてみたいです」
――今クールは出演ドラマがもう1本。BUDDiiSの小川史記さんと瀬戸利樹さんがダブル主演を務める『しもべの王子様』で、小川さん扮する主人公・五藤直也の腹違いの弟・侑真役を演じられるそうですね。
「はい、進藤丈広監督とご一緒するのは、今作で3度目になります。カメラマンや助監督といったスタッフさんも顔なじみの方ばかりなので、リラックスして現場に臨めました」
――侑真はどんなキャラクターなんですか?
「才能があるエリートの兄と、自分とのギャップに苦しんでいる人物です。兄のカリスマ性を認めたくないと思って育ってきたけれど、ある時、兄が経営者の父との関係を切って家を出ていってしまうんです。それで予期せず自分が跡継ぎとして期待されるようになる。そのことでまた、自分と兄を比較するようになってしまうという、そんな葛藤を抱える役柄です」

――そういった役を演じる上で、大事にしていたことはありますか?
「常にコンプレックスを持っていることが大事だったので、そこを意識しながら演じました。表には出さないけど見栄を張っている部分だったり、それが思わず出てしまう部分だったり。実際に兄と対峙するシーンもあったので、そこでは特に侑真のそういった心情を出せるように意識しましたね」
――兄役の小川史記さんの印象はいかがでしたか?
「顔が小さい(笑)! 年齢を聞いてびっくりしました。小川さんも瀬戸さんも僕より5歳くらい年上なんですけど、同い年か少し上くらいかと思っていました。特に小川さんは童顔なので、年齢を聞いた時はただただ驚きました」
――俳優として大活躍の現在ですが、そうなった経緯も伺いたいなと。元々は甲子園にも出場経験のある野球少年だったんですよね?
「そうですね。幼少期からずっとスポーツをやっていました」
――小中高とスポーツテストで全国1位だったそうですね。アスリートになっていないのが不思議なくらいの経歴です。
「自分で言うのもなんですけど、小さい頃から何もしなくても運動神経がよくて自信があったんですよ。幼稚園から小学校の中学年まではサッカーをしていて、小学校3、4年生から野球を始めました。その頃、WBCで日本が優勝したので、それを見て“プロ野球選手になりたい!”と憧れて。そこからはずっとその夢を追って走り続けたんですけど、高校生になってからは思うようにプレイができない期間が3年続いたんです。甲子園には出場できたのですが、レギュラーにはなれなかったので」
――そこで挫折を味わってしまったと。
「すごく心残りがありますね。周りの実力は確かにすごかったのですが、自分の中でなぜかうまく力を発揮できていない感覚があって。プレッシャーもあったし、もちろん努力が足りてないところもあったと思うんですけど。そこで挫折して野球を辞めて、受験勉強に切り替えました。なぜなら、同期から3人、プロ野球選手になったことがすごく悔しくて。僕もそれに代わるくらいインパクトのある夢を持っていないと、自分を見失いそうだったんです。プロ野球選手になるという、12年間も追いかけていた大きな夢がなくなった時、生きがいをなくしてしまったんですよね」
――あまりにも大きな穴が空いたから、そこを埋めるものが必要だったんですね。
「それで“同期に負けたくない!”と思った時に何をしようかと考えて、“お金持ちになろう!”と(笑)。それで大社長になるべく、受験勉強を始めて東京の大学に入学しました。でも入ったはいいものの、それまで野球しかしてこなかったので、週休2日の生活が新鮮で。友達とお酒を飲んだり、朝まで夜ふかししたり。その生活が楽しすぎて、1年生で8単位しか取れなかったんです」
――大学生らしい毎日を満喫してしまったと(笑)。
「でも、そういう日々にも飽きちゃうんですよね。自分は何かを目指して努力していないとワクワクしないんだなと、そこで気づきました。そこからは意識の高い大学生に生まれ変わり(笑)、就職活動も頑張って、内定もいただきました。だけど、就職を控えた大学3年生の年末くらいのタイミングになって…実は、就活中から自分のやりたいこととして心の奥底に“俳優”というものがあったのですが、そこに賭けてみたいという思いに抗えなくなってしまったんです。それで就職はやめると両親に告げて、そこから本格的に俳優を目指し始めました」
――いつから俳優になりたいという気持ちがあったんですか?
「高校卒業の頃にはすでにありました。浪人時代には、オーディションを受けたこともあったんです。でも、芸能界という道は現実的じゃなさすぎて。ただ、大学時代に就活のためにいろいろと経験する中で、それも楽しいは楽しいけれど、それよりも野球をやっていた頃、自分の好きなことを目標として追っていた頃のほうが楽しかったなと。そこで本当にやりたいことってなんだろうと考えた時に、お芝居や芸能の世界にすごく憧れがあるなと改めて気づいたんです。逆に就職してからの自分は、イメージができすぎてしまったんですよね。このままだと後悔しちゃうなって。そこでやっと踏ん切りがついて、チャレンジしてみようと。両親には心配されましたし、びっくりもされましたけど」
――そこから、どういうきっかけで今のようにドラマに出るようになったんですか?
「スカウトされたわけでもないし、事務所にも入っていないわけですよ。それで事務所を探している時に、たまたまフリーでも応募できる映画のキャストオーディションを見つけました。それに応募してみたら受かって、そこで繋がったご縁で前の事務所に所属ができてスタートを切ったという流れです」
――それが2024年のことですね。その翌年に『修学旅行で仲良くないグループに入りました』というヒット作に巡り合えた。あの作品で注目を浴びた時は、どういう気持ちでしたか?
「当時は、作品がこんなに人気になるとは思ってもみませんでした。だから、放送が終わるたびにその反響にびっくりしているような状況でした。少しずつファンの方に認知していただいて、SNSの数字にもそれが反映されて。だから、ようやくスタートラインに立てたような感覚でした。それまでは芸歴もないし、個人事務所だったので、他の同年代の俳優さんに書類で負けていたところもあったと思うんです。だけど、ここでひとつ、自分の名刺ができたようなところがあって。やっと自分を見てもらえる! と。ここから先は、自分のお芝居次第で変わっていけるのかなと思えたのは、すごく嬉しかったですね」
――そのあと、年末に事務所を独立されました。
「環境を変えて、今は自分のキャリアアップのための準備時間です」
――その間にもドラマのお仕事が次々に決まったというのはすごいですね。
「迷いもありつつ、いろんな人と出会いたいという思いもありつつ、という感じです。仕事をしながらご縁を繋いでいって、ステップアップしていければいいなと思っています」
――行く末が楽しみですね。将来的には、どんな俳優になりたいですか?
「目指しているのは、鈴木亮平さんや竹内涼真さんのような俳優です。おふたりとも体が大きいじゃないですか。自分もトレーニングをずっとやっているので、そこは共通点かなと。頼りになる兄貴みたいな俳優というイメージが、自分の中では理想像です。ずっとスポーツをやってきたからなのか、野球をやっていた頃の自分の先輩のような男性像に憧れがあるんですよね」
――では、体を使うアクションにも興味がある?
「はい。そのために準備も始めました。肉体を使ったアクションはもちろん、人間ドラマもしっかりと演じ分けられる。その両立ができる俳優になりたいですね。まずは今年の下半期、2本のドラマで今まで見せられていない自分の役者としての幅を見せられたらと思います。まだ情報解禁していない作品も多々あって。多才な共演者の方とご一緒する機会もいただいたし、作品のスケール感もアップしているので、ぜひ、そこでお芝居をしている自分に注目していただけたら嬉しいです!」

●プロフィール
しみず・かいり
1999年7月17日生まれ、愛知県出身。2023年に『彼女たちの犯罪』でドラマ初出演。2024年、若手育成の映画プロジェクト『私の卒業』の第5期作品 『こころのふた〜雪ふるまちで〜』で本格的に俳優として活動を始める。2025年、藤本洸大と簡秀吉がダブル主演のドラマ『修学旅行で仲良くないグループに入りました』でイケメン“四天王”のひとり・堀田颯斗を演じて注目を集める。以降、ドラマ『ゆかりくんはギャップがずるい』(2026年)や映画『私の卒業』第6期 作品『80年後のあなたへ』に出演。
・作品データ
ドラマ『おちたらおわり』
原作/すえのぶけいこ
脚本/浅野妙子
演出/大谷健太郎 北川瞳
出演/宇垣美里 篠田麻里子 佐津川愛美 風吹ケイ 鈴木紗理奈
池田直人(レインボー) 船ヶ山哲 木原勝利 高井佳佑(ガーリィレコード) 清水海李 簡秀吉
憧れのタワーマンションに夫と娘とともに引っ越してきた明日海(宇垣美里)。しかし、その最上階には、かつて自分をいじめた相手・孔美子(篠田麻里子)が住んでいた。明日海は、モデルの夫・英治(清水海李)が自慢の紗都(鈴木紗理奈)、誰にでも優しい穏やかな朋代(佐津川愛美)、人懐っこいムードメーカー心菜(風吹ケイ)らママ友と交流するようになるが、孔美子の策略で関係がこじれていく…。
中京テレビ・日本テレビ系水曜プラチナイトにて毎週水曜24:24〜放送中
ドラマ『しもべの王子様』
原作/たつもとみお『しもべの王子様』(シーモアコミックス)
脚本/金杉弘子
演出/進藤丈広 松尾大輔
出演/小川史記(BUDDiiS) 瀬戸利樹 藤林泰也 清水海李 山中聡
高校時代、校内ヒエラルキーの頂点に君臨し、底辺の同級生・高明(瀬戸利樹)を徹底的にパシリとして従えていた直也(小川史記)。しかし10年後、直也は会社の経営に失敗して無職に転落。一方の高明はベンチャー企業の若き社長として大成功を収め、ふたりの立場は完全に逆転してしまう。全てを失った直也の前に、かつての「しもべ」である高明が再び現れる。なぜか今もなお、自分のために献身的に尽くしてくれる高明に対し、直也はいびつな関係を終わらせようとするが…。
TOKYO MXにて毎週金曜23:00~放送中








