神さまと顧問契約を結ぶ方法

神さまと顧問契約を結ぶ方法


個人的な話で恐縮ですが、僕はなにかと波乱万丈……とまではいかないかもしれないけれど、それなりに派手な人生を送ってきた人間ではあると思います。普通の人が体験しなくていいようなことを、いろいろ体験したといいますか。

・ 生まれる前に、兄が生後8ヶ月で他界
・ 9歳のときに交通事故で大怪我をして、20日間意識不明
・ 17歳のとき、家が火事になって全焼

まぁ、この程度なのですが、とはいえこういうことが、その後の人生に少なからず影響を残したことは否定できないわけです。

どうやら障害があったらしい兄が亡くなったことで、両親は次いで生まれた僕の子育てにはナーバスになっていたようです。早い話が、「もう死なせるまい」という心境だったのでしょう。普通に考えれば、それは当然の考え方ですよね。

ところが僕は、小学4年生になったばかりのときに死にかけてしまいました。通っていた剣道場に忘れ物をしたという弟を乗せ、二人乗りの自転車を漕いでいたときのことです。

坂道でブレーキが効かなくなってしまったのです。でも、そうなると後ろの弟も気になるし……ということでバランスを崩して勢いよく転倒。悪いことに頭を打ち、20日間も意識不明の状態に。

20日間って、ほとんど死んでいるようなものです。それでも結果的には、奇跡的に助かったのですけれど。

そんなことがあったので、同級生やその親などから「頭を打ったんだから、壊れちゃったんじゃないの?」的な目で見られたりしていろいろあったのも事実です。10歳の子どもにはきつくもありましたが、そのとき人間の醜さに触れたことで、いくらか成長できたとも思っています。

そして、そんなゴタゴタもおさまった17歳の秋、今度は祖母の火の不始末で家が火事になってしまいました。奇しくも修学旅行前日。いきなり住む場所がなくなり、ご近所さんの協力を得てなんとか暮らしたのですが、あのときの絶望感が、のちの人生に少なからず影響を与えたことも否定できません。

ただ僕はここで、「そんな自分は人より不幸なんだ」というようなくだらないことをアピールしたいわけではありません。そうではなく、そんな経験が自分のなかに大きな価値観を残したのも事実なので、そのことを強調したかったのです。

怪我にしても火事にしてもそうですが、「なってしまったものは仕方がない」という考え方。別な表現を用いるなら、「これはきっと運命なのだ」という発想が、自分の内部で絶対的なものになったのです。

よかったと思うのは、そういうスタンスがネガティブな方向に進まなかったこと。つまり、「運命でこうなってしまったのだから、あとはよくなるだけだ」と、自然な形でプラス方向に考えることができたわけです。

つらいこともあったけど、あれがあったから、いまの僕がある。そう思えるわけです。だから僕はそのとき以来、なにが起こっても「これは運命なのだから」と自分を鼓舞する習慣を身につけることができました。

さて、そろそろ本の話題に移りましょう。今回ご紹介したいのは、『神さまと顧問契約を結ぶ方法』(yuji著・ワニブックス刊)です。

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まずお断りしておくと、僕はこの本が属するスピ系、いわゆる「スピリチュアル」というジャンルにまったく関心がありません。その世界に共感する人がいてもおかしくないと思うから否定はしないし、それで幸せになる人がいるのであれば、そこには相応の価値があることになります。

でも、少なくとも僕個人には関係のない世界だと思っているということ。それだけの話。

ではなぜ、本書を紹介しようと思ったのか? そこには、先ほど後紹介した僕の半生が関係しています。その理由は、今回の「神フレーズ」として選んだ、「プロローグ」内の以下の文章を確認してみれば明らか。

人はみな、この世に生を受けたその瞬間に、「宿命(しゅくめい)」という人生のミッションを与えられているのです。
(「プロローグ」より)

著者によれば宿命とは、自分で決めた「好き」「やりがい」「憧れ」とは異なり、神さまが決めた「魂の道筋」なのだそうです、個人的には、「神さま」「魂」という言葉を持ち出すことに居心地の悪さを感じますが、それをどう捉えるかは人それぞれでしょう。

しかしいずれにせよ、「宿命」にのっとってブレずに突き進むことの重要性を著者は説いているのです。その部分に関しては、僕の「運命」に対する考え方ととても似ていると感じたわけです。

著者が「宿命」を大事にするように、僕も「運命」の存在に重きを置いている。そして、それを前向きなモチベーションとして機能させることこそが重要だと考えている。お伝えしたかったのは、その点です。

そう考えると、本書を「スピ系だから自分には関係ない」と切り捨てるのは、なんだかおかしいなと感じたということ。違ったいいかたをすれば、考えようによっては僕のような立場の人も、本書から予想外の共感を得られるかもしれないな。そう、ふと思ったのです。

 
『神さまと顧問契約を結ぶ方法』
(yuji:著)

 

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印南敦史:著

Written by innami atsushi
innami atsushi

印南 敦史(いんなみ・あつし)/作家・書評家・ライター 1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は、「ライフハッカー[日本版]」「マイナビニュース」 「ニューズウィーク日本版」「Suzie」など多くのメディアで連載。最新刊『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社刊)がベストセラー記録更新中。FMおだわら78.7Mhzで 毎週日曜日20:30~21:00(再放送:金曜22:30~23:00)、ラジオ番組「印南敦史のキキミミ図書館」のパーソナリティも。http://book-radio.net

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