『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』

『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』


 ひさしぶりの更新です……って、調べてみたら前回の更新が2017年10月17日でしたから、8カ月ぶりということになります。なんというペース! ミュージシャンのニュー・アルバムかよ。

 でも、なぜこんなに期間が空いてしまったのでしょうか? 実は、特に大きな事件があったわけではないのです。いつものように本を読み、書評を書き、自分の本も書き……という日常を愚直に続けてきただけのこと。

 ちなみに12月には、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)という本を出しました。自分なりのコミュニケーション法を説いたもので、僕にとっては新境地といえる内容かもしれません(ぜひチェックを)。

 しかし同書の執筆を進めている段階で、次の本の執筆依頼も来ていて、それ以外にブックライター(著作名義者に代わって本を書く立場)としての仕事もしていたので、同時期に3、4冊の本を書いていたことになります。

 と書いて気づいたけど、けっこういろいろやってたんだなー。

 なーんて人ごとのように書いているのは、あまり「苦労をしている」というような自覚めいたものを持ち合わせていなかったからで、そう考えると、面倒なことを考えない性格というものはなかなか楽なのかもしれません。

 つまり本人はそれほどつらくも苦しくもないし、むしろ楽しいと感じながら毎日を過ごしているだけなのです。ところが、本を読み続けているというと、いろんな人から同じようなことを聞かれます。

「読んだ本の内容を、どうやって覚えるんですか? どうしても忘れちゃうんですよね」

 というような。

 いや、実のところ、その気持ちってすっごくわかるんですよ。なぜって、僕自身がそうだから。つまり、読んだはしから忘れてしまうから。

「毎日数冊の本に目を通している読書家」と聞くと、ほとんど例外なく多くの人が、同じイメージで僕のことを見ます。簡単にいえば、「読んだ本の全てを記憶できるすごい人」みたいな感じ。

 でも、考えてみてください。現実的に、そんなことがあり得ると思いますか? もちろん覚えられればそれに越したことはないですし、世の中には、読んだ本をすべて記憶できるような「すごい人」も“少しは”います。

 とはいえそういう人は、やはり少数のすごい人、つまりは特別な人なのです。だとしたら当然のことながら、そういう人を僕たち「普通の人」の基準にすることは正しくありません。

 自分とは違う特別な人を基準にしてしまったら、「読めない」「覚えられない」と自信を喪失してしまうことになってしまうわけですからね。

 だからこそ、逆転の発想が必要です。つまり、「読めない」「覚えられない」自分を受け入れることが大切だという考え方。そして、そこをスタートラインにして、自分のペースで好きなように読めばいいのです。

 ところで上でも触れたとおり、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』に次いで、先ごろ新刊を出しました。『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)がそれ。

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 読書をするとき、人は多かれ少なかれ身構えてしまうものです。しかも年齢を重ねるに連れて「覚える」ことが難しくなり、それが劣等感につながってしまったりもします。でも、そんなことを繰り返していると、やがて読書そのものがつらくなっていくかもしれません。

 でも、それって純粋にもったいない話だとは思いませんか?

 だって、たかが本ですよ。たかが読書ですよ。それは誰のためでもなく、自分のためのものですよ。なのに振り回されるなんてばかばかしいし、もっと自由に本と接するべきなのです。そして、「すべてを覚えなければならない」というような考え方は、すぐに捨て去るべきです。

 そんなことを強く訴えたいからこそ、今回は同書に込めた僕の思いを「神フレーズ」にしたいと思います。自分の本について「神フレーズ」とか言うのも照れくさいけれど、それはこの連載の決まりごとですのでご勘弁を。

 それはともかく、本書で訴えたいことのひとつは「かけら」の重要性です。無理して本の100%を記憶しようとすることよりも、「1%のかけら」を残すことのほうが大切だという考え方。

 僕のいう「1%のかけら」とは、いいかえれば“心に残ったなにか”のことです。情景描写だったり、比喩表現だったり、主人公や脇役のちょっとしたセリフだったり、自分にとってのキーワードとなりうる単語だったり。しかもそれは、その本のなかの数ページ、あるいはほんの数行かもしれません。
 でも、そんな自分に有効なかけらを見つけ出せたとしたら、それだけでその読書は成功だということ。そのかけらが自分にとって大切なものであれば、その1%は100%と変わらない価値を持ちうるからです。(95ページより)

 だからこそ、自分にとっての読書は「そのままでいい」のです。でも、そこにプラスアルファのアイデアを組み込むことができれば、読書はさらに楽しくなり、無理なく記憶することもできるようになるかもしれません。

 そこで本書では、そのためのコツをご紹介してもいます。

 本は、なんらかのかたちで人生に影響を与えてくれるものです。どれだけ時代が変化しようとも、それは絶対に変わりません。だから、ひとりでも多くの人に読書を好きになってほしいと心から考えていますし、本書を通じてそのお手伝いができたなら、本当にうれしいと思うのです。

 ぜひ、読んでみてください。

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Written by innami atsushi
innami atsushi

印南 敦史(いんなみ・あつし)/作家・書評家・ライター 1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は、「ライフハッカー[日本版]」「マイナビニュース」 「ニューズウィーク日本版」「Suzie」など多くのメディアで連載。最新刊『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社刊)がベストセラー記録更新中。FMおだわら78.7Mhzで 毎週日曜日20:30~21:00(再放送:金曜22:30~23:00)、ラジオ番組「印南敦史のキキミミ図書館」のパーソナリティも。http://book-radio.net

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