赤身肉の美味しさ

赤身肉の美味しさ


記録的な猛暑が続いている今年の夏。冷たいものばかり取っていては身体によくない。
というわけで、スタミナをつけたいとき、元気になりたいときに食べたいのはやっぱり牛肉だ。ちょっと疲れたなと思う時、牛肉を取ると確実に元気になる。
とはいえかぶりつくと唇がぬらぬらと光り輝くような霜降り肉はアラフィフにとってちょっとヘビーな存在。ほんのひとくちならともかく、たくさん食べきるにはツライものになってきている。しっかりと噛みしめる度に肉汁が口の中にほとばしるような赤身肉が最近は好みだ。

焼き肉ならカルビよりロース、ステーキもサーロインよりもランプやイチボなど赤身のモモ肉がしっくりくる。外食するときでも、赤身肉を美味しく食べさせてくれるお店に足が向く。
今回は我が家ががっつり食べたい時にお邪魔しているお店を紹介しようと思う。

まずはフレンチのレストラン「OGINO」。
予約が取れない店としてつとに知られる店で、通称「肉焼き名人」の異名を持つ荻野伸也シェフが塊肉と格闘しながら絶妙に焼き上げる赤身肉の数々はとにかく絶品。
パテ・ド・カンパーニュやリエットなど、これも名物になっているシャルキュトリーに続いて、季節の野菜を使った色鮮やかな前菜に舌鼓を打っていると真打ち登場とばかりに運ばれてくる赤身やハラミのステーキは迫力のひとこと。

黒胡椒や赤ワインのソースを纏って皿の上にゴロっと横たわった塊肉にナイフを入れると現れるのが絶妙な火入れで仕上げられた美しいピンク色の断面だ。口に含めば、しっとりジューシー、こんなに食べられるかなと思っても食べ始めてみれば、あっというまにお腹に収まってしまう。
赤身肉といえば牛肉はもちろん、鹿肉も絶品だ。

フレンチの次はイタリアンを。麻布十番にある「トラットリア・ケ・パッキア」は立派な体躯がいかにもおいしいものを食べさせてくれると思わずにはいられない岡村光晃シェフがモリモリにサービスしてくれる「しんしんのロースト」が出色。

イタリア製の色鮮やかな手描きの大皿にルッコラやフルーツトマト、ポテトのグラタンなどを一緒にたっぷりと盛りつけられた赤身のしんしんは迫力満点。テーブルを囲んだみんなで取り分けるのが楽しい。ルッコラのほろ苦さとトマトの甘酸っぱさ、パルミジャーノのコクのある塩加減で赤身肉の美味しさがさらに奥深いものになっていると思う。

赤身肉自体を味わうのに欠かせないステーキ。ウルフギャングやBLTなどのアメリカ発の熟成肉ステーキ店も美味しいのだが、千駄ヶ谷にあるちょっと昭和の香りのするレトロな店内の暖炉で焼くステーキが名物の「CHACOあめみや」は長年通い続けている我が家のお気に入りだ。
なかでもブロックステーキは1㎏以上の塊肉を焼いて、テーブル上にセットされた鉄板の上で切り分けたものを、銘々の鉄板に取り分け、懐かしのレモンバターとおろしにんにく、醤油で食べるともうごはんが進んで進んで仕方がない。まさに日本のステーキと呼びたい一品だ。

またたっぷり食べても納得のお値打ち価格なのも嬉しい限り。みんなが笑顔で肉を頬張っている幸せな風景がいつもそこにある。

外食だけでなく、家でも美味しく肉を焼きたい。ということで、先日「肉のプロフェッショナル」と呼ばれる「カルネヤサノマンズ」の高山いさ己シェフに赤身肉の焼き方を習ってきた。
コツは指三本分の厚さに切ってもらうこと、室温に戻すことなく焼き始めること、塩は焼く直前に胡椒は焼いてから、弱火のフライパンで表裏を一分ずつ繰り返しながらきっかり15分。サイドは仕上げの溶かしバターでと目から鱗のセオリーの連続でお店のような焼き加減を実現することができた。

上手に焼けた赤身肉はドリップや肉汁が表に出てしまわないので味がいつもよりしっかりと濃い。いつもならお醤油が欲しいと思うのに、塩だけでも味わい深くてごはんにこんなに合うとは!  改めて焼き方の大切さを実感した次第。
焼き方で味が変わる赤身肉の世界…深い。

 

*次回は9月10日(月)更新予定です。

 

『arikoの食卓』

 『arikoの食卓 -もっと食べたい-』

『arikoの黒革の便利帖』
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Written by ariko
ariko

CLASSY.、VERY、HERSなどの表紙やファッションページを担当する編集ライター。日々の食卓をポストしているInstagramが、センスあふれる美味しそうな写真と食いしん坊の心を掴む料理で話題に。現在、フォロワー数は98000人を突破。Instagram@ariko418

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