土鍋と中華粥

土鍋と中華粥


2021年が始まった。いろいろ心配は尽きないけれど、とにもかくにも新しい年の始まり。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

ステイホームもあり、今年の初めは家でのんびりと過ごした。外にも出かけず食べてばかりだったので我が胃袋もなんだかお疲れ気味。
そんな時に食べたくなるのがお腹に優しい中華粥だ。1月7日の七草粥よりも早くフライング気味に作ってしまった。それに今年の冬は例年よりも寒さが厳しいような気がする。土鍋で煮込んでトロトロになった旨みたっぷりの中華粥は滋味あふれるスープのような味わいで、胃袋をリセットするだけでなく、身体の芯から温めてくれた。

そこで今回は中華粥に着いてお話ししてみたいと思う。
お粥というと日本でも七草粥を始め、白粥やそこに卵を落とした卵粥など、風邪気味の時や体調がすぐれない時に頂くイメージだが、中華粥はもう少し、滋養的でスープ的な要素が強い。鶏肉や貝柱など旨みの素になるものを米と一緒に炊き、とろとろに仕上げる。日本のお粥に比べて、花が咲くように米のひと粒ひと粒が割れている状態に仕上げるのが中華粥の特徴だそうだ。それがスープのようだという所以だが、そのためにはまず、粘りを出さないようにして、さらりと仕上げるのがポイントだ。

さまざまな作り方があると思うが、時間がない時にもすぐできる作り方は、さっと洗ってからザルに上げて乾燥させた米を土鍋に入れ、少量の油(太白ごま油や米油など)でさっと炒めて熱湯を注ぎ、そこに皮をはずした鶏肉と一緒に40分ほどコトコト煮込むのが簡単だ。

鶏肉はあっさりが好きなら胸肉やささみを、もう少しコッテリとしたほうがよければもも肉を使う。皮を取り除くのは余分な脂やアクを出さないため。旨みだけが溶け込むという塩梅だ。干し貝柱があれば、戻してから一緒に加えるとさらに滋味あふれる味わいに仕上がる。

土鍋の底が焦げないように、時々かき混ぜることと、汁気が少なくなってきたら熱湯を差すのだけがコツと言えばコツだろうか。
出来上がりに塩とごま油をひと回しすれば完成。鶏肉を一枚そのまま煮込んだ場合は仕上がりに取り出し、熱々のものをひたひたの水に浸しながら手で裂いてから鍋に戻す。もも肉なら柔らかくほどけるのでそのまま土鍋のなかでほぐせばよい。

できたての中華粥の楽しみ方だが、舌がやけどしそうなところをフーフーしながら食べるのがいちばん。そこに薬味をいろいろ用意するとさらに楽しい。
必須なのは白髪ねぎに千切りにした生姜、パクチーにザーサイ、ちょっとマニアックだが豆腐を麹につけ、塩水で発酵させた腐乳がとてもお粥に合う。匂いはとくになく、塩辛のような味わいで小皿に出して、箸の先で少しずつ崩しながら口に運ぶとなんとも味わい深い。中華食材を扱うお店や輸入スーパーなどで手に入るのでひと瓶あると野菜炒めなどにも使えるので重宝する。

中華粥の専門店なら揚げたワンタンの皮なども添えられていて、それもとても魅力的だが、なかなか揚げものまでは手が回らず、実現することは稀だ。ほかにもからすみや明太子などがあれば、それも合うし、鯛やヒラメなどの白身の刺し身があればごま油と塩をひとたらしして熱々のお粥で半生になったところを頂くのもたまらない。

お昼ごはんに食べるなら、小菜と呼ばれるおかずも用意するとさらに食べごたえが増す。よく作るのはサイコロ状に切ったたくあんを溶き卵に加えて、塩、砂糖を少々加えたものを熱した中華鍋にざーっと流して大きくかき混ぜて作るたくあん卵やトマトと炒め合わせたもの。

野菜炒めよりも簡単にできるレタスの湯引きもお粥の合いの手の定番だ。
中華鍋にカップ2杯ほどの湯を沸かし、塩と鶏ガラスープの素、油(米油や太白ごま油など)をたらしたところにさっとくぐらせて器に盛ったところにオイスターソースをたらすだけ。熱を加えてもシャキッと感のあるレタスはトロトロのお粥に食感のコントラストをつけてくれる。ここにシュウマイがあれば完璧。大満足の食卓が完成する。

最後に美味しい中華粥を食べられるお店を。
朝から絶品の味わいを楽しめるのが乃木坂にあるトゥーランドット臥龍居。寒さに凍える冬場のロケの後に何度お世話になったことか。9時から営業しているので、早めに撮影が終わったときにも、重いものが苦手なモデルたちからも喜ばれるのでありがたい存在なのだ。生姜の効いた鶏粥、野菜だけのさっぱりとしたものなどメニューのバリエーションも豊富で、お粥に添える薬味類もいろいろ用意されているのがうれしい。お粥にトマトと卵の炒めものが合うのはこの店で教えてもらった。お店も広々としているので、キープディスタンスのこの時期でも安心して伺える。

身体も心も温めてくれる滋味あふれる中華粥で冬を乗り越えてみてはいかがだろうか。

 

*次回は2月8日(月)更新予定です。

 

arikoの食卓

 『arikoの食卓 -もっと食べたい-

arikoの黒革の便利帖
ariko%e3%81%ae%e9%bb%92%e9%9d%a9%e3%81%ae%e4%be%bf%e5%88%a9%e5%b8%96%e5%b8%af%e3%81%82%e3%82%8ar

arikoの食卓 ~小腹がすいたら~

Written by ariko

CLASSY.、VERY、HERSなどの表紙やファッションページを担当する編集ライター。日々の食卓をポストしているInstagramが、センスあふれる美味しそうな写真と食いしん坊の心を掴む料理で話題に。現在、フォロワー数は131,000人を突破。Instagram@ariko418

»https://www.instagram.com/ariko418/

»この連載の記事を見る