12万部突破!『私は私のままで生きることにした』著者、キム・スヒョンさんインタビュー<前編>


今年2月の発売直後より話題になり、現在12万部を超えるベストセラー本『私は私のままで生きることにした』。周囲の目を気にしたり、比較したりして生きている人々に、ありのままの自分を認めて、幸せになる方法を考えようと訴えている本書は、韓国のみならず、日本でも多くの人にとってエールとなりました。
今回、著者である、イラストレーターで作家のキム・スヒョンさんに、この本に対する思いや制作秘話などを伺いました。

このテーマで本を書こうと思ったきっかけは何ですか?

韓国の若者社会について考えたとき、現代を生きる若者たちは、学歴や家柄など、いつもどこかで比較されたり、そのために劣等感や閉塞感を持ったりと、そういった部分でどこか「生きづらさ」を抱えているように感じたのです。

そんな「生きづらさ」を抱えた若者たちが大人となり、ある意味で“冷淡”ともいえるような社会のなかで、これから一体どのように生きていけばいいのか――。そのあたりをメッセージとして書きたいと思いました。
日本の若者も、韓国の若者と同じような「生きづらさ」をどこかで持っていると聞きます。この競争社会で生きていくためには、国は違えど、同じメッセージやハウツーが必要とされているのかもしれませんね。

2016年の韓国語版発売当時、キム・スヒョンさんご自身はどのような状況にあったのでしょうか?

『私は私のままで生きることにした』は、私にとって4冊目の本となります。この本を書いたのは、ちょうどそれまでの仕事を辞めた時期でした。それまではフリーランスのデザイナーとして活動しており、月並みですが「周りと同じように“普通に”働きたい」とも考えていたので、ずっとデザイナーの仕事と並行しながら本を書いていたのです。

しかし、きっぱりとデザイナーの仕事を辞めて、作家として食べていこうと思うきっかけとなったのが、まさに、この本『私は私のままで生きることにした』でした。もちろん、「本が受け入れなかったらどうしよう」という不安もありましたし、周囲の目も気になりました。しかし、「たとえ作家としてうまくいかなくても、やはり本を書いていきたい!」という強い衝動があったんです。

そして、何よりも大きなきっかけとなったのは、こう考えたことでした。
「このまま周りと同じように“普通に”生きていきたいけれど、それは現代社会において非常に難しいこと。だからと言って、“自分らしく本を書く”ということも決して簡単ではない。いや、どちらかといえば“自分らしく”生きる方がより難しいかも……。どちらも難しいのであれば、より自分らしく生きていく方を選んでみよう!」と。

当時、私は20代後半だったので、30代を迎えるにあたり、ちょうど劣等感から自由になれる方法や、比較されることのない存在になる方法について模索していたところでした。そこで、「どちらの道を選ぶにしても、最善を尽くす力が必要となる。それならば、自分らしく生きる方に、最善を尽くしていこう!」と考えたのです。
なぜなら、その方が、自分の人生における喜びが大きいと思ったからです。本書に「自分の幸せに関心を持つ」という項目がありますが、まさにそれを体現したのかもしれません。

この本を書くのには、だいたい一年半ほどの時間を要したでしょうか。ただし、実際に原稿を書いたのは半年ほどで、あとの一年は、話の根拠となる本を読んだりと、学び、吸収する時間にあてました。

韓国では60万部を超えるベストセラーとなっているが、当時の反響はどうでしたか? 周りの反応は?

実は、韓国では発売当初、さほど大きな反響はなかったのです。しかし、1ヶ月ほどが経つ頃、インターネット上にたくさんのレビューが掲載され始めて、それで販売数が増えていきました。やはり、インターネット上の口コミの力が大きかったように思います。特に、20代、30代の読者の反響が大きかったですね。

日本語版も発売直後から大きな話題になり、発売から2ヶ月で12万部を突破。日本での反響についてはどう思いますか?

日本で自分の本が売れていると聞き、最初は「不思議だな」という気持ちが強くありました。そもそも、韓国の本が日本で出版されてヒットになるという経緯がこれまであまりなかったので、最初はそれほど期待していなかったのです。

ところが、日本のBTS(注:韓国のアイドルグループ。メンバーの一人が本書を読んでいるとして話題に)ファンの方が、インスタグラムで本をタグ付けしてくれたり、私にダイレクトメッセージを送ってくださることもあって、日本と韓国は、似たような情緒、考え方を持っているのだなあと、あらためて感じたんです。
本が多くの方に読まれたことで、私自身、日本に対する関心がどんどん大きくなっていきました。

中途半端な年齢、経歴、実力を持つ、ごく普通の人たちに向けてのエールとして、この本を執筆されているが、キムさんの周りにも自分が“ごく普通”であることをみじめだと思っている人が多いと感じていますか?

何よりも、私自身が、中途半端な年齢や経歴、実力というものに対して、歯がゆい思いをしていたのです。それはおそらく「この歳ならこうなっていなければいけない」というような、ある種の世間の“基準”のようなものにしばられていたのだろうと思います。

もちろん、私たちが望む、そのような“基準”をすべて満たしている人の方が少ないことはわかっています。それでも、「これくらいはできていなきゃ」という“基準”に到達できないと、「やっぱり自分がダメなんだ」という思考に陥って自分を責めるという、まさにデフレスパイラルに陥っていました。これは、決して私だけでないと思います。

たとえば、韓国では「女性は20代のうちに結婚しないとダメ」というような風潮が、おそらく日本よりも色濃く残っているように思います。ですから、韓国人の未婚女性が30歳になるときのプレッシャーは、とても強い。30代にもかかわらず独身でいると「売れ残り」と見なされ、「え、30代なのに結婚していないなんて!」という世間の冷たい目を感じる人が多いんです。

ですから、「自分だけ中途半端なのでは?」「自分だけ損をしているような気がする……」そんな気持ちになるのはあなただけじゃないですよ、ということを、本書を通じて伝えたいと思いました。私自身をふくめ、みんな同じことで悩んでいるんだよ、と言いたかったのです。

<後編はこちら>

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私は私のままで生きることにした
キム・スヒョン 著/吉川南 訳

キム・スヒョン
イラストレーター・作家。まじめだけど深刻ぶらない、明るいけど軽くはない人。美大には行ってないけれど、絵を描くのが好きで、デザインを勉強したことがある。文系とデザインのあいだにいて、現在はイラストを描き文章を書いている。韓国では本書の他、3冊の著作がある。
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