【話題の韓国本に学ぶ 自分らしい生き方】韓国のトレンドならこの人! 韓国在住コーディネーター東山サリーさんインタビュー


 


近年、「頑張りすぎないこと」「他人と比べないこと」など
“自分らしい生き方”について書かれた韓国発のエッセイが、
若い女性たちを中心に、強い人気と支持を得ています。

そんな話題の韓国本の中から、編集部が3冊をピックアップ。
“自分らしい生き方”について掘り下げていく特別企画を、3週に渡ってお届けします!

 ぜひ、みなさんが自分と向き合うための “きっかけ”となりますように――。


第3週目となる今回お話を伺うのは、韓国ソウル在住の人気コーディネーター・ライターの東山サリーさん。
「韓国のトレンドならこの人!」とTVでも注目を浴びる東山さんに、待望の新刊『KOREA SENSE』の発売記念として、貴重なインタビューにお答えいただきました!

日本の、ごく一般的な会社員だった東山さんが、韓国に魅了され、“好き”を仕事にし、ついには韓国に住むまで――。
その勇気ある行動には、まさに“自分らしい生き方”のヒントがたくさん隠されているようです。

思い切って“飛び出すこと”ができたワケ

――待望の新刊『KOREA SENSE』の発売、おめでとうございます! 『韓国カフェ巡りinソウル』でも、その圧倒的な情報量に驚かされましたが、本作もインテリアや雑貨、ファッションに至るまで、まさに脱帽のボリューム! 日々、どのようにして、これほどの情報をキャッチする“アンテナ”を磨いていらっしゃるのでしょうか?

東山:ありがとうございます。そうですね、韓国のインフルエンサーやデザイナー、カフェのオーナーなど、素敵だなと思う人のSNSをフォローしたり、とにかく街に出て気になるお店をチェックしたり、リアルな情報を集められるように心掛けています。心掛けているというよりも、ただのオタクなので好きなものをひたすら追っているという感じです。若い韓国の友人たちもいるので、その子たちに今リアルに流行っているものを教えてもらうことも多いですよ。

――なるほど。ちなみにプロローグでは、韓国カフェの魅力にとりつかれたことを機に、遂には韓国に住むようになったとサラリと書かれていますが、実際には大きな勇気がいる行動だったのでは……? 慣れ親しんだ日本での生活を飛び出し、韓国にたどり着くまでの“心境の変化”について、あらためてお教えいただければと思います。

東山:最近、韓国に住んでいる友人と話していて思い出したんですが、移住するときはやっぱり悩んでいたみたいです(笑)。韓国に住む友人たちに「本当に韓国に住んで、やっていけるかな」と相談していて、彼女たちから「やってみたらなんとかなるって!」と励ましてもらっていました。韓国に信頼できる、頼れる友人や仕事仲間がいたからこそ、飛び出すことができました。友人がいなかったら行ってなかったと思いますし、行っても本当に大変なことばかりだったと思いますね。
また、東京にいるときから、一緒に仕事をしている方達に「韓国行きます!」と宣言をしていて。周りの方がたくさん応援してくださって、仕事を振ってくださったり、仕事先を紹介してくださったり、本当にお世話になったんです。日本で働いていたときに出会った方やお世話になった方たちのおかげで、今も韓国で生きていけているなと実感しています。
また、当時は月1で日本に帰国して東京でも仕事をしていましたし、友人や仕事仲間とも会えていましたし、気楽だったなと。あんなに行き来していた日々が夢みたいです。日韓という距離感だからこそ出来ていたんだと思います。

 

“自分らしさ”は経済&精神の「自立」あってこそ!

――たしかに、月1で帰国できる“距離感”は心強いですね。では、日本から憧れていた“韓国”と、実際に住むようになった“韓国”では、なにか違いはありましたか? 

東山:たびたび、他媒体のコラムなどでも書かせていただくんですが、やっぱり「年齢」ですかね。韓国は“25歳を過ぎたらおばさん”みたいな、バブル期の日本のような風習がいまだに残っています。最近の若い人たちはもう少し柔軟な心持ちに変化しているようですが……。周りのカップルを見ていても、女性が5歳くらい年下という人たちがすごく多いんですよ。私は30代でソウルに来たので、実際に住むとこれは大変だぞと痺れましたね。あと、すごい学歴社会だなと思います。学生たちの勉強量がすごいんですよ。学生時代は日本みたいに部活動もないそうです。とにかく勉強! 若者の就職率も低く、フリーランサーとして仕事をする若者も増えていて、生き方の多様性を感じながらも、学歴や家柄、年齢、容姿と、韓国で暮らして以降そういったことをシビアに考えるようになりました。私はここでは外国人なので、あくまで俯瞰していようと思ってはいるものの、メンタルがやられることも多いです(笑)。

――それはシビアですね……。まさに、Netflixで観た韓国ドラマの世界を思い出します(笑)。一方で、私たちから拝見する東山さんは、まさに今回の特集でもある「自分らしい生き方」を体現されていらっしゃる方。もし、東山さんが、その「自分らしい生き方」のために心がけてきたこと、気をつけていることなどがあれば、ぜひ、お教えください。

東山:自分では、まだまだ「自分らしい生き方」はできていないと思っています。ブレブレですし、たまにメンタルもやられますし、これからどうやって生きていこうと日々考えているし、悩んでばかりです。「自分らしい生き方」のためには、経済的にも精神的にも自立する必要があると思っているので、どんな状況でも自立していたいです。あと、悩んでばかりじゃなくその悩みを解決する方法や、こんなことしたいあんなことしたい、じゃあどうする? と、しょっちゅう友人や先輩と話しています。フリーランスだからこそ、こうやって何でも話したり相談したりできる友人が本当にありがたくて。周りの人たちなしには、自分らしくも生きられないなーと思っています。

 

「オンライン旅気分」を味わってほしい一冊

――最近、あらためて韓国語の勉強をはじめられたのだとか?

東山:そうなんです。自分自身が欲深い人間だからこそ、目先の楽しさだけでなく、短絡的ではなく長い目で見て、将来に役立つ選択をしようと心掛けています。韓国の語学堂(韓国の国公立または私立大学が運営する、留学生のための韓国語を学ぶ学校のこと)に入学したのも、もちろんビザのためということもありますが、今まで避けていた韓国語の基礎をここでしっかり勉強しておけば、自分がやっている仕事の役に立つし、キャリアに役立てられるなと思って選びました。

――常に自らのブラッシュアップを欠かさない、東山さんの向上心の高さに頭が下がります。では、最後に『KOREA SENSE』の読者に向けて、本書の「おすすめポイント」と「メッセージ」を、それぞれお願いします!

東山:日本から買えないものもたくさん載っていますが、(オタクの方たちにとっては普通のことだと思うんですが)実はどうにかすれば買えるので、渇望するアイテムがあれば、ぜひ、どうにかしてご購入されてください!
本に掲載されているQRコードを読み込んでいただくと、ショップのHPに飛べるようになっているので、ブランドやショップの世界観や雰囲気も感じていただいて、ちょっとしたオンライン旅気分を味わっていただけたら嬉しいです。
また韓国旅行ができるようになったら、ぜひ本と一緒にいらしてくださいね!

 

経済的&精神的に、しっかりとした“自分らしさ”を確立しながらも、常に学び、行動し、そして何事も「周囲の人のおかげ」と、決して奢ることのない東山さんのお話に、思わず、ハッとさせられた人も多いのではないでしょうか。とはいえ、東山さんも「悩んでいた」と当時を振り返っていましたね。

「もっと、こんな仕事がしたいのに!」と、今、まさに頭を悩ませている、そこのあなた――。
東山さんのように“好き”に向かって、思い切って飛び出してみませんか?

 

KOREA SENSE
著:東山サリー

東山サリー(@saliy83

韓国在住ライター・コーディネーター。2016年から韓国カフェにどっぷりハマり、ソウル、釜山(プサン)、大邱(テグ)、済州(チェジュ)、全州(チョンジュ)など地方にまで足を運び、訪れたカフェは延べ900軒を超える。韓国が好きすぎて、2018年に勤めていた出版社を辞めフリーランスに。ソウルを拠点に東京と行ったり来たりしながら、日々韓国情報を集めている。著書に『韓国カフェ巡りinソウル』(小社)、『本当は秘密にしたいソウルのおいしいもの巡り』(産業編集センター)がある。