日韓で共通する「結婚への強迫観念」から抜け出すには?
近年、「頑張りすぎないこと」「他人と比べないこと」など
“自分らしい生き方”について書かれた韓国発のエッセイが、
若い女性たちを中心に、強い人気と支持を得ています。
そんな話題の韓国本の中から、編集部が3冊をピックアップ。
“自分らしい生き方”について掘り下げていく特別企画を、3週に渡ってお届けします!
ぜひ、みなさんが自分と向き合うための “きっかけ”となりますように――。
日韓で話題の書籍『女ふたり、暮らしています。』。著者は、作家・ライター・ポッドキャストのDJとしても活躍するキム・ハナさんと、ファッション雑誌「WKorea」のエディターを務めたのちフリーランスになった、コンテンツ制作・作家のファン・ソヌさん。
2016年にソウルで家を購入し、共同生活をスタートさせたおふたり。儒教の国であり、家父長制が強く残る韓国において、他人と暮らすおもしろさや大変さをユーモラスに紹介しながらも「新しい家族のかたち」を提案した、韓国社会に一石を投じた一冊です。今回はおふたりに、本についてお話を伺いました。
ソヌさん:2019年に韓国で『女ふたり、暮らしています。』が発売され、2年程経って日本で翻訳版が出版されましたが、日本でも熱い反応をいただいています。日本と韓国の女性たちが感じている結婚に対する固定観念や圧迫感が似ているからこそ、日本の読者の方にも共感してもらえたんだと思います。
ハナさん:韓国には「結婚適齢期」という言葉があるんですが、義務感にかられる雰囲気があるじゃないですか? この言葉には「絶対結婚しなきゃ」「この歳までに結婚しなければ価値が下がってしまう」というような印象を受けます。
――真面目な人ほど、その義務感が負担になっているように見えます。
ソヌさん:私は30代後半が、一番そういった義務感にかられていた時期だったと思います。ハナさんと出会って生活し始めたのが40歳の時ですが、2人で一緒に暮らすことを決めてから40代がとても楽しくなったんです。家を買ったことで住む場所が安定して、良い影響を与えてくれる友人と一緒に住むことで仕事も上手くいって、様々なことがクリアになりました。そういう不安を感じるのは当然のことなんですが、30代の時に感じていた不安がなくなったんです。必ずしも結婚しなくても、40代でも楽しく暮らしていける、そういう姿を本を通してお見せしたいと思いました。
ハナさん:一緒に暮らしてからも「もし片方が結婚していたら、どうなっていただろう?」と考えることがあります。今はお互い仕事をしながらサポートもできているけれど、韓国では結婚したら家族や両家のことまで考えないといけないし、気を遣うことも多いし、個人的なことも諦めなければいけない場面が多いんです。でも、今私たちは、お互い仕事をしながら猫の面倒を見ればいいので、すごく気楽です。
ソヌさん:私が考える最高のムーブメントは独立運動のように、世間の声にしたがわずに、ただ生きること。
ハナさん:世間は無視して、楽しく生きること。楽しいことが好きなので、怒りではなく、そういう姿を本を通して見ていただくことで、人々に大きな原動力を与えることができると思いました。