【今すぐ誰かに話したくなる!】あの有名画家の“裏エピソード”とは?
「自分とはかけはなれた偉人にも、ちょっと変わった一面があったと知ると、より魅力的に感じるもの」
――そう語るのは、ジャパンポッドキャストアワード2020推薦作品に選出された、人気webラジオ「そんない美術の時間」のらち まゆみさん。
いま大注目の教養エンタメ番組として“美術の魅力”を伝え続ける「そんない美術の時間」待望の新刊『大人の雑学 西洋画家事典-人柄がわかるエピソードで楽しく読める!-』より、有名画家の意外なエピソードについて、一部抜粋しながら紹介していきます!
なんと「締め切りを守らない」天才だった?――ダ・ヴィンチ
世界中の誰もが知っている、もっとも有名な画家の一人、レオナルド・ダ・ヴィンチ。ルネサンス期のイタリアで活躍したレオナルドは、画家としての成功のみならず、建築学、天文学、植物学、工学、そして解剖学に航空力学と、マルチな才能で人々を圧倒させた、まさに歴史上の偉人です。
代表作となる、あの謎多き名画「モナリザ」は、美術好きでなくとも知らない人はいないことでしょう。多彩な才能をもつ不動の人気画家として、さぞかし、華やかな人生を送ったのかと思いきや――!?
「今でも不動の人気を誇る天才レオナルドですが、じつはあまり絵が売れなかったという一面もあります。現存するのはわずか十数点と、当時あまり受注を受けていなかったことが想像されます。」
人気作家なのに、絵が売れなかった!? いったい、なぜなのでしょうか……?
「その理由は、どうもレオナルドの性格にあったようです。というのも、あまりに完璧主義だったため作品を描くのが遅く、『上手いけれど、納期を守らない人』だったようです。実際に、前金をもらっていたのに『いつまでも完成しない!』と裁判沙汰になったり、人間関係でも融通がきかなかったり。(中略)」
天才画家は、なんと、「締め切りを守らない」天才でもあったのです(笑)。しかも、仕事で裁判沙汰になったり、人間関係もうまくいかなかったり……。ダ・ヴィンチほどの有名画家も私たちと同じように、否、それ以上に悩みの尽きない人生だったよう!
「殺人」のすえ、まさかの「逃亡」まで?――カラヴァッジョ
世界中に数いる画家のなかで、らちさんに「もっとも数奇で破天荒な芸術家」「とにかく我が強く、性格に難あり……」とまで言わしめるのは、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。
そのドラマティックで大胆、人の心に訴えかけるような作風は、のちに「バロック」という新しい絵画様式を生み出すことになるのですが、カラヴァッジョ自身も、なんと11回も警察の世話になるほど、ドラマティックな性格の持ち主でした。
その“難あり”な性格は、ついにこんなことまで引き起こしてしまうのです……。
「お金がらみのトラブルでついに人を殺めてしまったカラヴァッジョは、死刑宣告を受けて逃亡。ローマから離れ、マルタ島やシチリア島に向かいます。」
お金がらみのトラブル! 死刑宣告! そして、逃亡!!
「マルタ島では騎士団への加入を懇願するも、やはり揉めごとを起こして資格を剥奪されたり、捕まっても脱獄をしたりするなど、なかなか巧みに生き残っていきます。」
捕まっても脱獄とは、なんと悪運の強いことでしょう。ところが、そんな彼も、ほかの罪人(カラヴァッジョも罪人ですが、このときは紛れもない冤罪)と間違えられた挙句、ついには、ローマへと向かう炎天下の小舟のなかで、その破天荒すぎる短い生涯を終えることとなります。
誕生日が大天使ミカエルの祝祭日であることから、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョと名付けられた画家は、はたして、天使だったのでしょうか、それとも悪魔だったのでしょうか……?
『大人の雑学 西洋画家事典-人柄がわかるエピソードで楽しく読める!-』では、スキャンダラスな裸の女性を描きタブーに挑んだマネ、じつは200年以上も美術史上から忘れ去られていたフェルメール、そして、なんと小便器をアートにした革命児デュシャンなど、学校では教えてもらえない画家たちの人柄がわかる楽しいエピソードや意外な美術史が満載!
それぞれの画家の代表作の解説や、美術史の歴史背景や特徴もしっかりまとめられているので、今すぐ誰かに話したくなる“裏エピソード”のみならず、西洋美術を教養として「いちから」学びたいあなたにも、しっかりと読み応えのある一冊です。
さあ、あなたはどのエピソードから、披露してみますか――?
イラスト/らち まゆみ
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『大人の雑学 西洋画家事典』
著 らち まゆみ
らち まゆみ(そんない美術の時間)
アートテラー。1990年、静岡県生まれ。多摩美術大学卒業。2019年から美術の魅力を伝えるwebラジオ「そんない美術の時間」をスタート。PodcastやSpotifyなどで人気を集め、JAPAN PODCAST AWARDS 2020推薦作品に選出される。