【五月病対策】健康意識が高まる漢方コラム:立夏(5/5頃)の過ごしかた

【五月病対策】健康意識が高まる漢方コラム:立夏(5/5頃)の過ごしかた


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほど“こよみ”を大切にしています。
そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の“知恵”を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第22回は、「立夏(5/5頃)」です。

 

「立夏」って、どんな季節なの?

草木の緑が日増しに濃くなり「陽」のエネルギーに満ち溢れ、暦の上では、いよいよ夏の到来です。

(イメージ:写真AC)

そんなエネルギッシュな時期ですが、暦と体感では多少のズレがあるもの。この頃は、春に張り詰めていた心身が疲れ、メンタル面と生活スタイルのバランスが崩れやすいときです。祝日などによって睡眠のリズムが崩れ、不眠、憂鬱感、倦怠感など、ゴールデンウィーク明けにはいわゆる「五月病」に見舞われる人も多いかもしれません――。

五臓でいうと、春の「肝」から夏の「心」へと移るこの時期のキーワードは「補血(ほけつ)、養心(ようしん)、安神(あんじん)」。食事などで血を補い、しっかりと休むことで、メンタル面を安定させていきましょう。

(※)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。

 

「立夏」のパワーフードは?

「立夏」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、「鰯(イワシ)」
真鰯は、温性1で甘みと鹹み(しょっぱい味)※2があり、季節のつなぎ目に労わりたい五臓の「脾」によく、心を安定させて血流を促してくれる、心強い食材です。

(イメージ:写真AC)

ちなみに、意外と見落としがちなのが“イワシ缶”の存在。サバ缶やツナ缶にくらべて缶詰のイメージが薄いかもしれませんが、スーパーにも置いてありますので、ぜひ、取り入れてみてください。味噌汁などにそのまま水煮缶を入れるのも、手軽でおすすめですよ。

そして、五月病でエネルギー不足に陥った身体に気を補い、元気を取り戻してくれるのは、「アボカド」。疲労回復をサポートするアボカドは解毒作用にも優れ、便通をよくし、飲み過ぎた身体にもピッタリな、スーパー食材です。
そこで、暑気あたりによく、胃腸を整えてくれる「イチゴ」と一緒に、おしゃれなフルーツサラダはいかが? アボカドとイチゴは共に涼性ですので、とくに冷え性の方は、温性の黒胡椒を少し振ってから食べましょう!

(※1)「五行論」に基づく、食べ物が持つ5つの性質「寒、涼、温、熱、平」を、「五性(五気)」といいます。その食べ物を食べたときに、体内で身体を温めるか、冷ますか、あるいは寒熱のかたよりが起こらないかによって分類され、いずれにも属さず、かたよりのないものが「平性」となります。

(※2)「五行論」に基づく、「酸、苦、甘、辛、鹹(しょっぱい味)」の5つを「五味」といいます。もともとは味そのものを指す言葉でしたが、現在では食材が持つ効能によって分類されています。

 

「立夏」の頃の、心と身体の状態は?

寒い時期からの疲れが残ったまま、春の新しい生活に突入して頑張ってきた心身が、ようやく一息つける頃ではないでしょうか。しかし一方で、張りつめていた緊張の糸が連休を機に切れてしまい、体調不良に陥る人も多くなります。気分の落ち込み、寝付けない、不安感、憂鬱感、倦怠感……。これらは、いわゆる「五月病」の症状となります。「五月病」は医学的な病名ではありませんが、症状から照らし合わせると、睡眠障害、軽度のうつなどに該当すると言えるでしょう。

仮に、5月をどうにかやり過ごしても、6月〜7月の梅雨時期に症状が悪化することもあるので、だるい、眠い、食べられない、動けないといった症状があれば、くれぐれも注意が必要です。

では、どのような過ごし方(養生)をすればよいのでしょうか――?

 

「立夏」の過ごしかた(養生)は?

「五月病かもしれない」と思ったら、心と身体をしっかりと“休める”ことが大切になります――。ここで「それは、知っているよ!」と思った方は、本当に休めているか、今一度、ご自身の休日を振り返ってみましょう。

気候の良い休日ともなれば「あれをしなくちゃ! これもやろう!」と、いろいろと予定を詰め込みがちでは? じつは、しっかり休んでいるつもりでも、レジャーなどで疲れてしまい、逆に休めていない人が多いんです。

そこで、休みの日は「やることリスト(=TO DOリスト)」ならぬ「やらないことリスト(=NOT TO DOリスト)」を作ってみてください。“やらないこと”を決めておくことで、“やるべきこと”も見えてくるもの。余計なことで疲れることもなくなりますから、一石二鳥です。心と身体をしっかりと“休める”ことを、常に心がけておいてください。

 

「立夏」の中医学的・たのしみごと

鯉のぼりが青空を泳ぐ、この季節。端午の節句とされる5月5日には、お子さんのいるご家庭をはじめ、菖蒲湯に浸かる人も多いのでは――?

(イメージ:写真AC)

冬至の柚子湯とおなじく、香りで邪を祓い無病息災を祈るのが、菖蒲湯です。中医学でも、菖蒲の香りは気をめぐらせるので、メンタル面を安定させ、身体を元気にさせる効果があると考えます。菖蒲の根は、石菖蒲といい、立派な生薬なんですよ。

中国の古典『名医別録』にも、感染症などで子どもが高熱を出したとき、菖蒲湯で治すといった記述があるほど! つまり、古来より“治療法”の一つとされていたわけですね。

きっちり5月5日でなくても大丈夫。季節感を楽しみながら、身体にもよい菖蒲湯で、ゴールデンウィークをゆったりと過ごしてみてはいかがでしょう?

 

先ほど菖蒲湯の記述があるとお話した、中国の古典『名医別録』ですが、書かれたのはなんと、1〜3世紀! 中国の後漢末期に成立した植物事典なんです。まるでマンガの世界のようで、なかなか実感が湧きませんが、菖蒲湯は、それほど昔から続く民間療法ということ。こんなにも長く、その風習/療法が現代にも受け継がれているということは、多くの人が効果を実感したということでしょう。古来からの知恵を、これからも大切にしていきたいですね。

*次回は「小満の過ごしかた」5月20日(金)更新予定です。

構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny


Written by sakurai_daisuke
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』、『こころの不調に効く! 気楽に、気うつ消し』(ともにワニブックス)、『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、『漢方的おうち健診』(学研プラス)ほか多数。
Twitter: @PandaKanpo
Instagram: @pandakanpo
HP:https://yurukampo.jp/

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