【ペルー国境封鎖足止め日記】高地の前には歯科検診を

【ペルー国境封鎖足止め日記】高地の前には歯科検診を



人生初の中南米一人旅の真っ最中に、新型コロナウイルスが蔓延。
国境は封鎖され、飛行機はキャンセルになり、異国の地でのロックダウン生活。
街中がパニック、一人心細く、早く帰国したいと願う毎日……になるかと思いきや、
彼女は「いっそのこと、ここに住もう!」と決め、ペルーで生活を始めた。

ペルーで暮らして、早2年。
現地からお届けする、予想外で刺激的な日々。


 

ロックダウンから5ヶ月、顎のあたりに熱を持っているような、違和感が続く不穏な日々。まさか……と口の中を鏡で覗いてみると、歯茎にニキビのようなものが!! ギャーーー!!
ググってみると、「フィステル」と呼ばれる感染症のようで、自然には治らないみたいだ。



△コントみたいなペルーの歯医者の看板。

とにかく治療をと慌てて病院を検索すると、近所に121件のコメントがついて、星5つ評価という、奇跡のような歯科を見つけた。コロナはまだまだひどいし、歯医者は超濃厚接触な仕事だけど、頼むから営業していて……! と、藁にもすがる思いでとりあえず行ってみた。

 

奇跡の歯医者

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到着すると、営業時間内なのに鍵が閉まっている。インターホンを押すと、無菌室にいるような完全防備姿のスタッフが出てきてくれた。症状を翻訳したスマホ画面を見せ、2時間後に予約が取れた。
2時間後、また歯科へ。受付の人も担当医も英語が話せなくて、スマホの翻訳機能を使いながら見積もると、治療費は約9万円とのこと(白目)。手数料が5%かかるが、クレジットカードが使えるので助かった。「治療は翌朝9時(診察1番目)に来て」と言われ、治療費も高いが、もうこの先生を信じるしかない。

翌日、予約時間の5分前に着いたものの、昨日見たガラス製のドアが見当たらない。あるのは木の扉だけ。狐につままれたような気持ちで、途方にくれた。Googleマップを確認しても、場所は間違ってはいない。それに、昨日も確かにここに来た。
少し離れた日陰でしばらく待っていると、医者が持っていそうな鞄を持った私服の男性がやってきて、ドアの前で待機している。さらに、だいぶ遅れて女性がやってきて、木の扉をガタゴトと動かし出した。なるほど、営業時間外は木製のドアもするから、ガラスのドアが見当たらなかったわけだ。
というわけで医者も助手の女性も無事出勤してきたのだが、2人とも遅れて来たのにまったく謝らなかった(笑)。その後、この歯医者には6日間通ったが、時間通りに始まったことは一度もない。


△営業時間外は木の扉がしてある(写真右)。

治療はあまりの痛さに身悶え、翻訳機能を使って「dolor(痛い)」と伝えて麻酔をしてもらった。一回の治療が90分〜3時間と長いせいか、患者用にテレビがあり、他人と観るには気まずい類の番組も流れていた。助手の年配女性は私語が多く、一方的に先生に話しかけてはゲラゲラ笑っていた。なんだか自由な歯科だ。


△左上にある患者用のテレビが異常に大きい。スマホの翻訳機能に助けられた。

先生はスマホに着信があると出ちゃうし、大雨の日には院内が浸水し、ホウキで排水を手伝う……と、絶えずコントのようだったけど、治療は丁寧で完璧だった。

人生で3度も矯正を経験したので、歯の健康には気を使い、半年ごとに検診行っていたのになぜかと聞くと、「高地(クスコ:3400m)に来ると神経が圧迫されて、問題が起きやすくなる。これは6ヶ月前から発症していた」と。6か月前といえば、チチカカ湖のあるプーノ(標高3830m)→ボリビアのラパス→ウユニ塩湖と、常に標高3500mあたりに居たからだと合点がいった。

歯医者さんは賢いだろうに、英語を話さないのが意外だったけど、英語を話すことよりもよい治療をするほうが大事だよな。そういえば、他に3箇所の歯医者に行ったが、みんな英語を話せなかった。

とにかく、高地へ旅行に行く前には歯科検診を。

 

今月のスペイン語

*次回は12月2日(金)更新予定です。

イラスト・写真/ミユキ


Written by ミユキ
ミユキ

旅するグラフィックデザイナー、イラストレーター
広島出身、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒、在学中よりフリーランスとして広告、ロゴ、エディトリアルデザインなどを手掛ける。
ロンドンに2年間の語学留学、オランダ・セントヨースト・マスターグラフィック卒業後、個人事業主ビザを取得しアムステルダムに12年居住。
ヨーロッパ全域を含む訪れた国は50カ国以上、旅先では美術と食を軸に、ダイビングや運転もする。
主な作品:ギリシャ・クレタ島の大壁画、ハイネケン Open Your World、モンスターズインク・コラボイラスト、豊島復興デザイン等、15年前からのリモートワークで、世界のあらゆる場所で制作。
HP:http://miyuki-okada.com
Twitter:@curucuruinc
Instagram:@curucuruinc

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