美味しい金沢の旅【後編】

美味しい金沢の旅【後編】


今夜もマッカラン黒バージョン

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さてさて、金沢 食べ歩きの旅もクライマックスへ――。

2日目の夜
「五郎八」

ここまで振り返ると、1日目のお昼はお鮨、夜は天ぷら、2日目のお昼はまたまたお鮨。

ラインナップ的に2日目の夜は、いろいろな地元料理が頂ける居酒屋がいい! 
ということで、飲食店がひしめく木倉町にある老舗の居酒屋、「五郎八」へ。
新鮮な北陸の魚、加賀野菜、地酒を存分に楽しめると評判のお店です。

広々とした店内は、地元のお客さんと観光客でたいへんな賑わいです。
木のカウンターもテーブルも、使い込まれていながら清潔感があり、
店員さんも、親切で活気に溢れています。
「ここは、絶対美味しいものを食べさせてくれるに違いない!」と胸が高鳴る…。

白エビ、赤イカのお造りに始まり
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のどぐろの塩焼き!
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のどぐろは、今までのお鮨屋さんで、刺し身と炙りをいただいてきましたが、
こちらでは一本焼きを食することができ、またまた大満足。
塩焼きも、ふっくら旨味のつまった白身と、パリッと焼かれた塩辛い皮とのあんばいが、これまた染み入る美味しさです。

もう、日本酒を飲むしかない!

店員さんにおすすめを伺って、地酒の「農口」をいただきました。
石川の伝説の杜氏、農口さんの手による、近年話題のお酒だそう。
純米と大吟醸を飲み比べつつ、金沢の夜は更けていきます。
じわもん(地場のもの)には、やっぱり同じ土地の地酒が合いますねぇ。

ちなみにうちの母は、ビール一杯で真っ赤になってしまう人。
旅先でも、つねに私だけがくいくいと飲み続けているのですが、もうあきらめているのか慣れているのか、娘の「お酒おかわりください~」の声にも眉をひそめずにいてくれるのが、本当にありがたい!

こちらのお店は、メニューが豊富なのも魅力です。
鴨の治部煮(じぶに)や金時草(きんじそう)の酢の物といった、海鮮以外の郷土料理もあるし、鶏の塩焼きやコロッケ、揚げ出し豆腐におにぎりやお茶漬けなど、ホッとする居酒屋の定番メニューもずらりと。

郷土料理をいろいろ気楽に楽しむには、うってつけのお店だと思います。
予約は18:30までしか受けていないそうなので、それ以降なら電話で席を確認してから向かうことをおすすめします。

3日目の早めのお昼
「もりもり寿し」近江町店

さて、いよいよ最終日。

午後から東京で仕事が入っているので、お昼の新幹線で帰京しなくてはなりません。
金沢での最後の食事は、やっぱりお鮨で〆たいところですよね。

午前11時。お昼には早い時間だけれど、駆け込んだのは、近江町市場の回転ずし「もりもり寿し」。
市場内のお店だけあって、朝7時から営業しているそう。

ゆっくりランチしている時間はない、だけどお鮨が食べたい! という方には
ぜひおすすめです。

こちらは、人気のネタを一貫ずつ盛り合わせた「三点盛り」が人気の様子。
ジャンボぼたんエビ、生ウニ、本まぐろ大とろの「もりもり三点盛り」や、ホタルイカの黒づくりやのどぐろ、白エビなどの「北陸盛り」…。

前日のお昼で、のどぐろの炙りに目覚めた私は、ここが食べ納めと、何度も単品オーダーしてしまいました。

金沢出身の知人に、「金沢は、回転ずしもレベルが違う!」と聞かされていましたが、本当にそのとおり!!

こんなに美味しくてたくさん食べて、このお会計でいいの? とにっこりしたくなる一軒は、旅のしめくくりに駆け込むのにふさわしい良店です。

お会計を済ませてお店を出ると、まだ12時前だというのに、すでに外には長蛇の列が…!
混雑時の時間を外して訪れるのがおすすめです。

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2泊3日の旅を終えて、金沢の美味しさは期待以上でしたが、同時にこの街の温かさ、親しみやすさにも、しみじみ感じ入るものがありました。

加賀百万石の美しい街並みに緑が映え、大通りも裏道も、清掃がゆきとどいていて歩くのが楽しいのです。

ふれ合った地元の人々に共通する、おっとりした風情も印象的。
観光客を(いろいろな意味で)特別扱いするのではなく、心地いい距離感で接してくれるのが、私にはなんとも魅力に映りました。

そして、街全体が、思っていた以上にコンパクトで動きやすいのです。
近江町市場、21世紀美術館、兼六園に金沢城、ひがし茶屋街など、市内を巡るなら、徒歩とタクシーでも十分。
市バスもひんぱんに観光スポット間を走っています。

初めて訪れたのに、自分がすっかりこの街を知れたような、馴染めたような、「金沢ってね…」と、友達に自信をもっておすすめしたくなるような――

初めての旅人も受け入れてくれるおだやかさと心地よさ、それでいてふと居ずまいを正したくなる、古都ならではの静謐な空気感が絶妙にブレンドされて、今の金沢の魅力をつくっているのだなぁ、と感じました。

近いうちに、きっとまた訪れよう――。
ずわい蟹が解禁となる11月もいいし、大・大・大好物のほたるいかが旬の5月にも、行かなくちゃ!
次回は山代温泉に足を伸ばして、九谷焼きの窯元にも行ってみたい…と
早くも次の金沢旅プランにわくわくしている私です。

【今回紹介したお店はこちら】
●「五郎八」
●「もりもり寿し」近江町店

 

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『Oggiエディター三尋木奈保 My Basic Note ~「ふつうの服でおしゃれな感じ」のつくり方~』

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Banner design&Illustration:Shogo Sekine


Written by Mihirogi Naho

三尋木 奈保(みひろぎ・なほ)/ファッションエディター
働く女性向けのファッション誌『Oggi』を中心に活躍。
近年はアパレルブランドの商品開発などにも携わる。ベーシックな服を色合わせや小物使いで洗練させる、等身大のセンスが大きな反響を呼ぶ。2013年、自身のベーシック・ルールを公開した著書『My Basic Note ふつうの服でおしゃれな感じのつくり方』(小学館刊)を上梓。清潔感のあるこなれたスタイルと卓越したセオリーが幅広い層から支持を集め、11万部を超えるベストセラーに。食や文化を豊かに楽しむライフスタイルにも注目が集まる。
本連載が初のWeb連載となる。

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