【ペルー日記】南米三大祭りの一押し 犬のパレード

【ペルー日記】南米三大祭りの一押し 犬のパレード



人生初の中南米一人旅の真っ最中に、新型コロナウイルスが蔓延。
国境は封鎖され、飛行機はキャンセルになり、異国の地でのロックダウン生活。
街中がパニック、一人心細く、早く帰国したいと願う毎日……になるかと思いきや、
彼女は「いっそのこと、ここに住もう!」と決め、ペルーで生活を始めた。

ペルーで暮らして、早3年。
現地からお届けする、予想外で刺激的な日々。


南米の三大祭りの一つ“インティ・ライミ”がクスコで開催される6月は、特別な月。6月10日から24日のメインイベントに向けて、毎日のようにパレードが開催されている。

コロナ禍1年目は、メインイベントだけがネットで中継される形で開催された。豊作を願う祭りというだけあって、観光収益がなくても欠かすことは出来なかったのだろう。2年目の2021年、2022年は縮小した形で開催され、ついに今年は完全復活したなという賑わいだった。


△2021年の様子。

中でも一番のお気に入りは、犬のパレードだ。インカ犬を飼っている友人のお誘いで、幸運にもこのパレードを知ることができた。

アンデスの衣装を身にまとった飼い主とワンちゃんが、広場の一画を行進する。列の先頭は警察犬と警察官で、その後に各団体が続く。シベリアンハスキーや、保護団体というように10個程の団体に別れている。

コロナ禍の1、2年目は人も少なく、一番前でのんびり見ることが出来たけど、コロナが収束した今年は人混みを避けて違う角度から見たかったので、出場者の待機場所であるCalle Shapyに向かった。パレード中とは違って、みんなのんびり出番を待っていたので、近づいて写真が撮りやすく、飼い主と話すこともできた。もし犬のパレードを見る機会があったら、まずは待機場所に行くことをおすすめしたい。

パレード中は動いているので細部まで見えなかったけど、近距離で見るとどの衣装も工夫が凝らされていて、飼い主とのコーディネイトの美しさといったら! まあ、でも犬にとってはいい迷惑な日なのかもしれず(笑)、駄々をこねていたり、犬同士の喧嘩が勃発したりしていた。“年に一度の我慢だと思って頑張って!”とワンちゃん達に念を送りながらパレードを見て、花火が上がって大きな音が鳴っても動じないクスコのワンちゃんたちを頼もしく感じた。


△右の毛のない犬がインカ犬。友人の旦那さんはClub del Perro Peruano – Cuscoというペルー犬の団体を仕切っている。ドッグパレードの最新情報は下記URLで確認できる。
https://www.facebook.com/profile.php?id=100083352430164

 


△群を抜くおしゃれな参加者を発見! アンデスの伝統衣装が現代風にアレンジされていて、素敵だなぁと思わず話しかけると、飼い主はファッションデザイナーだった。愛犬とのコーディネイトを考えながら衣装を作る時間は、どんなに楽しいものか想像がつく。

他にもチリウチューというクスコの伝統料理を手芸で再現したものを犬に装着している人(上段左)、猫を連れている人、アルパカ軍団や保護犬の引き取り手を探している飼い主さんもいた。
クスコは野良犬の無法地帯、道は糞だらけで犬の世話をしない人が多いけど、犬の問題や魅力を伝える行進があることで、人々の意識も変わるのかもしれない。

クスコを訪れるなら、雨が降らず、祭りで賑わうこの時期を断トツでおすすめしたい。

 

今月のスペイン語


△虹色はクスコの市章の色。旗や犬の衣装など、あらゆる所に使用される。

*次回は9月8日(金)更新予定です。

イラスト・写真/ミユキ


Written by ミユキ
ミユキ

旅するグラフィックデザイナー、イラストレーター
広島出身、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒、在学中よりフリーランスとして広告、ロゴ、エディトリアルデザインなどを手掛ける。
ロンドンに2年間の語学留学、オランダ・セントヨースト・マスターグラフィック卒業後、個人事業主ビザを取得しアムステルダムに12年居住。
ヨーロッパ全域を含む訪れた国は50カ国以上、旅先では美術と食を軸に、ダイビングや運転もする。
主な作品:ギリシャ・クレタ島の大壁画、ハイネケン Open Your World、モンスターズインク・コラボイラスト、豊島復興デザイン等、15年前からのリモートワークで、世界のあらゆる場所で制作。
HP:http://miyuki-okada.com
X(旧Twitter):@curucuruinc
Instagram:@curucuruinc

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