【ダイエットの落とし穴】う◯ち女の末路(前編)
「読めば痩せる!?」笑えるダイエットストーリー第11話。
ついに、ジムデビューするの巻。
《第11話》「う◯ち女の末路(前編)」
※ BOT…自動返信などのプログラムの総称。
なぜ私が頑なにモッちゃんからのジムの誘いを断っているのか。
それは、先日「結局運動って対して痩せないんだよなー」という結論に至ったから。
ではない。
私が、
全米が泣くほどの運チ
だからだ。
高校の頃、よく体育教師が「スポーツは参加することに意味がある!」と熱弁していたけれど、
その熱弁する体育教師と、なぜか私はいつも目が合う。そして頷かれる。
自他ともに認める運動オンチ。それが私だ。
そう、学生時代から運動ができないんだから、こいつ(モッちゃん)は私が運動できないことをよく知っているはずなのに!
そう。とにかく私は運動ができない。
いやいやでもでも!
モッちゃんだって対して運動できないし! 私だけってわけでは……
……
うん、そうだよ。モッちゃんも運動は対してできないはずだ。
なのに、ヤツはジムに行きたがる。
モッちゃんは30万払ってパーソナルに行っていた。当然ジム的なところでトレーニングをしていたんだろう。
そして、モッちゃんは金を代償に、ここ数年で6キロ以上の減量に2回も成功したという実績を残している(計60万円)。
ヤツはおそらく、ジムで身体を動かすことが、ダイエットの成功の鍵だと思ったんだろう。
だからこそ私を誘っている。
自分一人ではサボるだろうからと、私を巻き込もうとしているんだ。
つまり、6キロのダイエットに2回も成功したヤツ(60万円)が、ジムに行けば痩せると思っているわけか。
……このエビデンスを……どう捉えるべきか……。
痩せたい。
やる気になってきているのは事実(無理はしないけど!)。
ジム……
ジムなー!
んーー!!
あ。
モッちゃんが言いたいのはいわゆる“公営ジム”。
“公営ジム”とは、各自治体が運営するジムで、市や区が運営しているので比較的安めで使えることが多いらしい(結構いろんなところにあるから興味があればお近くの公営ジムを調べてみてほしい)。
まあ1000円くらいなら……一回モッちゃんとお茶したと思えば……。
せっかく痩せて来てるし、正直もうちょっと頑張ってもいいかなーと思い始めているのは事実だし……。
えー……じゃあ、とりあえず……1回、行ってみる……?
と言うわけで、数日後──
全米が泣くほどの運チが、
人生初のトレーニングジムに来てみた。わけですが……
やべー……
タンクトップきた兄ちゃんたちが、ひたすら重いもん持ち上げてる……。
こえーよ。間違いなく私場違いだよ。
帰りたい。今すぐ帰りたい。
よれよれの寝巻き代わりのTシャツ着てきた私は今すぐ帰りたい。
「さぁ、やるべ!」
ビクビクした私の隣で、力強くそう言ったモッちゃんは、
なんか英語の書かれたシンプルなTシャツを着ていた。
……冷静になってみてみれば、タンクトップ着たムキムキ兄ちゃんだけじゃなく、
女の人も、Tシャツのおじいさんも、Tシャツのおばあさんも居たりする。
うん。まあとりあえずTシャツは間違いではなさそうだ。
でも……
私は一抹の不安をモッちゃんにぶつけた。
「やっぱり重たいもの持ったりとかするんだよね……?」
「そりゃまあ、そこそこね。ウエイトトレーニングやるわけだから」
「え、自転車とか歩いたりとかじゃダメなの?」
「んー、たぶんそれだけじゃダメ。知らんけど」
知らんのかい。
「別に私ムキムキになりたくないんだけど私」
「あ、なんか、ならないらしいよ。知らんけど」
知らんのかい。
「だって私、パーソナルでそこそこウエイトトレーニングしてたけどムキムキじゃなくない?」
……確かに、モッちゃんはムキムキではない。どちらかというとプニプ……うん。これ以上言うのはモッちゃんの名誉のためにやめておこう。
いや、でも、例えムキムキにはならなくても……自信がない!!
「え、でも重たいものとか持てないよ! 絶対怪我するよ! 怪我する自信しかないよ」
だって私は皆さんの想像を絶するほどの運チっぷりで!
体育でも数々の伝説を残してきた女で、そんな私がトレーニングなんてムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリ。
「じゃあ、まあ一回ここに座って」
モッちゃんは、優しい口調で、私のそばにあった椅子を指した。
私は落ち着くためにもそこに腰掛けた。と、その瞬間モッちゃんが
「はい、じゃあ立って! やろう!」
いや落ち着く時間短っ!
私は思わず立ち上がる。すると、モッちゃんが
「はい、スクワット1回!」
「……は?」
「できるじゃん。スクワット。ムリじゃないじゃん」
「…………おお」
「これね、実は私が最初にパーソナルのトレーナーさんにやられたことなんだ。
私も運動できないから、今のあんたと同じ感じだったんだよ。
でもこれやられて、
その後「運動ができない」のと「トレーニングができない」のは違うよって言われたの」
「……うん」
モッちゃんがトレーナーさんに言われたのは、無理なことはする必要はないと言うことらしい。
ウエイトトレーニングとは言っても、マシンを使えばそうそう怪我したりしない。怪我しない設計になっているから。しかも怪我するような重さ、最初から扱う必要もない。
「あとは、あんた次第」
……モッちゃん、あんた、優しいね。
そう言うところ、昔から変わんないわ。
「一回騙されたと思ってやってみよーや!」
笑顔のモッちゃん。
頼もしい。
一つ気になることがあるとすれば、
そんなかっこ可愛いモッちゃんのTシャツに書かれた英語
意味は
「絶対安静」
……嫌な予感しかしない。
後編につづく……
ちなみに10キロ痩せるまで、あと6.5キロ。
今朝起きたら体重最小値更新してた。いえい!
けど良いことがあると、次にくるのは……
やはり嫌な予感しかしない──
“知識”を身につけた未来のわたしから一言二言
人生最初のウエイトトレーニングってほんと緊張するんですよね。
でもね、これやってみると、結構楽しいんですよ。
そして、確かに運動神経的なものは、ほとんど関係ないこともやってみてわかったこと。
なんせ、全米が泣くほどの運チな私ができるくらいですから。
ダイエットをもう少し加速させたい、そう思い出したあなたには、ぜひウエイトトレーニングを取り入れてみてほしい。
まず、ジムに行くこと自体が結構なハードルだと思うので、
もし身の回りにジムに通っているような知人がいるなら、その人と一緒に私のように公営のジムに行ってみることをおすすめします。
最初から、どこかのジムの会員になる必要はないと思う。
最初から会員になっても、正直何をどうして良いかもわからないし、何より超恐ろしいと思う。
「そんな知り合いいねーよ!」という方は、単発のパーソナルトレーニングなんかもおすすめです(5000円程度はどうしてもかかってしまうけど)。
そこのお金をかけたくないなら、YouTubeで動きを見て、とりあえずやってみると言う手もなくはない。
もし通えそうなら、月会費の安い今流行りのコンビニジムなんかは良いかも。まあどれにしても、とりあえずなるべくお金をかけずに、とにかく始めてしまうと良い。
それくらいダイエットをするのに、ウエイトトレーニングはオススメです。
そう言える根拠はいくつかある。
と、その前に、話題に出て来ていた
「筋トレしたらムキムキになるんでしょ?」問題。
これは、モッちゃんの言うとおり“ならない”。あなたによっぽどの筋肉の才能がない限り。
目に見えて「ムキムキだ!」と言う筋肉をつけるためにはとんでもない時間と根気と弛まぬ努力が必要です。特に女性は。目に見えるくらいの、想像するムキムキになるのはとっても難しいんです。
もちろん見るからにムキムキにはならないが、やっていくうちに筋肉量は徐々に増えていく。
それによって受けられるメリットが大きく3つある。
“脂肪を筋肉が支えて垂れるのを防いでくれる”
筋肉が支えてくれるので、バストやヒップの位置がアップする。
“正しい姿勢を保てる”
正しい姿勢をキープするにもエネルギーが使われる。だから普段の消費エネルギーがアップする。
そして1番のメリットはなんと言っても
“基礎代謝のアップ”
筋肉は、カロリー消費の主役。ダイエットが目的なら、消費カロリーを高めるためではなく、筋肉を増やすために運動をする必要があります。
ここで一番間違えちゃいけないことは、
筋トレをするから痩せるんじゃない。筋トレの動きでは痩せない。
と言うこと。
どう言うことか、これについてはしっかり解説したいので、
次回、後編にて詳しく説明します!
ここまで読んでくださった読者さまの中には
「なんだよ、結局運動しないと痩せられないのかよー!」
と、お思いの方もいらっしゃるかもしれない。
それに答えを出すなら
「そんなことはない」
ダイエットに一番大事なのはやっぱり食事だ。
ぶっちゃけ脂肪を落とす、体重を落とす、と言うことだけなら“選ぶもの大作戦!”だけでも結構落ちる。肥満脱却くらいなら全然いける。
でも、ただ体重を減らすだけでは、あなたの理想の身体になるかどうかは怪しい。
少々極端だとは思いますが、
これがあなたのなりたい理想の身体かどうか。
これは、モッちゃんがトレーナーさんから言われたことでもあるそうで。
私はこの話を聞いて、確かにどうせ頑張るなら、自分のなりたい身体になりたい!
そのための努力をしたいなー。素直に、めっちゃそう思ったのです。
(第12話につづく……2024年1月9日公開予定)
作者/【体脂肪率3%の脚本家】の保木本真也
『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)『事件』(WOWOW)など
ベストボディジャパン2023松山大会 モデルジャパン部門ミドルクラス グランプリ
イラスト/藍沢みお、津和野諒