【フランス暮らし】フランス人がテラス席を好む理由
フランスの地方都市ナントで、フランス人パートナーと2人の子と家族4人で暮らしている大畑典子さん。
一級建築士の資格を持ち日本の建築事務所でバリバリと働いていた彼女が渡仏して約8年。
「シンプルな暮らし」を楽しむフランス生活で得たもの、捨てたものを、日々つれづれに綴っていただきます。
フランスに住んでびっくりな冬の日照時間
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。フランス・ナント在住の大畑典子です。
フランスのナントは、4月に入り気持ちの良い陽気の日が増えてきました。フランスの多くの地域では秋から春先にかけては天気の崩れるところが多く、特に冬は日照時間が少ないのでたまに晴れるとそれだけで嬉しい気持ちになります。
今日は日本と違ったフランスでの太陽との付き合い方についてご紹介します。
フランスでは「On va profiter du soleil」(オン・バ・プロフィテ・ドゥ・ソレイユ)というフレーズをよく使います。日本語に訳すと「太陽を楽しもう」となりますが、晴れ間の少ない冬場は、日中に日が差し始めるとこのフレーズを言いながら多くのフランス人が散歩やサイクリングを楽しみます。太陽の存在が貴重な冬は、少しでも雲の間から太陽が顔を覗かせると、こぞって外に出かけるのです。
日本の関東圏で生まれ育った私にとって、太陽の光は常に身近にありました。また、冬は寒くても晴れの日が多かったので、実際にフランスに住み始めてフランスの冬の太陽事情に悩まされることになるとは思いもしませんでした。
基本的には快適なフランス生活ですが、日本からの移住者で大変なことの一つはこの冬の日照問題です。
日本では冬でも朝起きたら太陽光を浴びるという生活が当たり前だったので、フランスの朝9時近くになってやっと太陽が昇る冬の朝は本当に辛いです。平日は7時過ぎに起きてそれから朝ごはんを食べるのですが、その時点ではまだ外は真っ暗。まるで真夜中にご飯を食べているようで、体が起きた感じがしません。それに、そもそも冬は晴れの日も少ないので、日中に太陽光をたくさん浴びることもできません。
そんな冬の日常なので、太陽が顔を覗かせた出た途端、外へ出かけるフランス人の気持ちがよくわかるようになりました。
△カフェのテラス席が広がるナントの広場。
フランスの街中でよく見かけるのはテラス席の多いこと! フランス人はテラスでくつろぐのが大好きです。天気のよい春先から秋口にかけては私もよくテラス席を利用しますが、中には冬の寒空の下、テラス席で冷たいビールを飲むフランス人もたまに見かけます。実は、店内で食事をするよりもテラス席の方がフランスでは人気で、テラス席で食事を楽しみたいのなら事前に予約を取らないといけないレストランも多いのです。
フランスには存在しない美白主義
日本では近年「美白=美しい」という概念が定着しつつありますが、フランスでは一般的には適度に日に焼けた肌が好まれます。というのも「日に焼けた肌=夏のバカンスを満喫した」ということになるので、バカンス文化が根付いているフランスでは真っ白な肌というのは日本のような美の象徴にはならないのです。むしろ白すぎると不健康と考えられてしまうほどです。
日本ではいかに日焼けをしないかが女性たちの間では重要ですが、フランスでは太陽の下でどう人生を充実させるか、に重きを置いているような気がしています。シミやそばかすなど表面的なことは気にしない、今その瞬間を楽しめているかどうかが重要なのです。
私も夏には2〜3週間のバカンスに出かけ、たくさん海で泳いだり、山を歩いたりして楽しんでいます。もちろん肌のシミは出来やすくなりますが、この太陽のもとで自然を楽しむ夏のバカンスは、体の奥底からエネルギーを生み出し、内面からの美を作り出してくれます。
△太陽を楽しむ夏のバカンス。
しかし、子どもへの太陽光からの保護は別です。太陽光に繊細な子どもたちは2歳になる前までは過度な太陽光を浴びないように考慮している家庭が多いです。プールや海に出かけると多くの幼児や赤ちゃんは長袖やハーフパンツタイプの水着を履いて水遊びを楽しみます。
また、近年では太陽光の浴び過ぎによる皮膚がんの懸念もあり、昔ほど太陽のもとで肌を長時間さらすことはしないと言います。一世代前だと、肌が真っ赤になるまで日焼けを楽しむ人も多かったそうですが、ここ最近はやはり外でのアクティビティーの時はしっかり日焼け止め、もしくはサンオイル塗って、ほんのり小麦色を目指す人が多い印象です。
ということで、今回はフランスの日本とはまた違った日焼け事情、太陽との付き合い方をご紹介しました。
それではまた次回。アビアント~!
*次回は4月17日(水)更新予定です。