【旅エッセイ】ひとり旅をはじめたら、誰かとの旅の“モヤッと”がなくなった話

【旅エッセイ】ひとり旅をはじめたら、誰かとの旅の“モヤッと”がなくなった話



誰かと行く旅もいい。
でもなんだか今は、ひとりで旅がしたい。
おひとりプロデューサー・まろさんによる街ガイド&お楽しみごとエッセイ。


ひとり時間を提案するメディア「おひとりさま。」を運営している、おひとりプロデューサーのまろです。

連載「そうだ、ひとり旅に行こう。」の第5回目は、「ひとり旅をはじめたら、誰かとの旅の“モヤッと”がなくなった話」。

自分のペースで思い通りに過ごせる、ひとり旅。
その魅力を教えてくれたのは、 友人や家族、パートナーと旅をする際にどうしても“モヤッと”した気持ちを抱えてしまう経験でした。

しかも、ひとり旅をするようになってから、その“モヤッと”も急に現れなくなり……。ひとり旅と誰かとの旅、それぞれの魅力を最大限に引き出す旅のスタイルをご紹介します。

―――

 

私は、今みたいにひとり旅をする前、実は誰かと行く旅で「モヤッと」する事件が多発していました。
例えば、行った先の美術館で私はもっとゆっくり鑑賞したかったのに、同行者はすぐに飽きてしまったとか。夜通し遊ぶ予定だったはずが、同行者が疲れて早めにホテルに戻ることになってしまったとか……。

特に、気合を入れて行った海外旅行でこうなると、「もう一生行けないかもしれないのに!」と凹みがち。喧嘩勃発までには発展しないのですが、なんだかところどころで“モヤッと”する場面に遭遇することが、まあまあ高い頻度で起こりました。

しかも、旅の同行者は大好きな友人やパートナー。
なんで私は、大切な人たちに対して、こんな風に思ってしまうのだろう。人として最悪かもしれない。そう思うと、ますます落ち込みました。

どうすれば、こんなことが起こらずに済むのか? と一時期本気で悩んでいたのですが、その後ひとり旅を始めたら、なんとこの“モヤッと”が忽然と姿を消しました。

なぜなら、私が“モヤッと”していたことは、ひとり旅で全て解決することだと気づいたからです。

例えば、ひとり旅では、じっくり見たいものの前で立ち止まって、自分のペースで鑑賞できる。スケジュールだって、自分が夜まで遊びたければ遊べるし、その時の気分でフレキシブルに決められます。

何もかも、私の思い通りに叶う旅をできるのが、ひとり旅。
それに気づいてから、ひとり旅と誰かとの旅を“使い分ける”ことにしました。

だから、誰かとの旅で予定通りに行かなくたって大丈夫。もしも自分が見たかったものや体験したかったものが叶わなくても、またひとりで来ればいい。と考えたら、うまくいかないことに対して何も思わなくなりました。

そして、誰かとの旅では、ほぼ完全に相手の意向に合わせるようになりました。これは仕方なくではなく、あえてです。
私の行きたいところはひとり旅で行けるので、逆に自分ひとりでは行かないような、その人が行きたい場所に行ってみて、新しい世界を見てみたいと思うようになりました。

大切なひとの、大切なものを共有してもらう。それこそが、誰かと旅をすることの最大の価値だと。

先日も、ソウルで“ひとり、時々ふたり旅”を決行しました。ひとり旅では自分の行きたいところに行き、友人が合流したふたり旅では、友人が行きたいところに一緒に行き、それぞれの旅の醍醐味を味わうことができました。

ひとり旅と、誰かとの旅。それぞれ“でしか”叶わないことがあるので、これからも両方楽しみたいです。

*次回は9月12日(木)更新予定です。

\好評発売中!/
おひとりホテルガイド
著:まろ
発行:朝日新聞出版


Written by まろ
まろ

「ひとり時間の過ごし方」を提案する、おひとりプロデューサー。Instagramでメディア『おひとりさま。』(@ohitorigram)を運営。中でも、ひとりホテルに関するコンテンツが人気となり、原案で『おひとりさまホテル』(マキヒロチ作、新潮社)として漫画化。初の著書となる『おひとりホテルガイド』(朝日新聞出版社)が6/7(金)に発売予定。
Instagram:@ohitorigram
note:https://note.com/ohitorigram
X(旧Twitter):@ohitoritter

»この連載の記事を見る