ふたごと管理入院 【妊娠編】
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舞台や雑誌などエンタメ業に携わる
YURIさんが、双子の子育てを
あったかくもちょっとコミカルに綴ります。
子育て1年生さんにも役立つ実用もお伝えします。
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こんにちわ。
今回は、前回の続き、32週目から切迫早産のため安静を余儀なくされ、管理入院することになった妊娠後期のお話です。
入院の朝は、最期の晩(昼)餐にと、叙々苑の焼き肉ランチを食べに行き、これから始まる、1日に何度もやるモニターチェックや、投薬と安静を強いられる日々を憂い、文字通りの重い足取りで病院へと向かいました。
もちろん個室なんて贅沢は言ってられないので、6人の大部屋。
でも、そこには、時折り聞こえてくる先生や看護婦さんとの会話から察するに、絶対安静の切迫早産や、妊娠悪阻など、けっこう緊迫している方たちが入院しているようで、妊婦さん同士でコミュニケーションを、なんて明るい雰囲気はまったくなく、仕切りのカーテンは閉じられたまま、お互い感じるのは気配だけ。
私は、お腹の張り止めの薬も飲み薬のみで、最初のほうは、1Fの売店くらいならいってもいいよ。と先生から言われていたので、たまに売店にいくときも、同室の方に迷惑にならないよう、そーーっとスリッパを履き、静々と歩いて部屋を出ていました。
もちろん、テレビもイヤホンはマスト。夜も、消灯時間が過ぎると、テレビの明かりが病室の真っ白な天井に反射し、部屋全体がチラチラと光ってしまうので、消灯後は暗黙の了解でテレビはNG。
はぁ~、世界の中心で自由を叫びたい。
でも、もっとも困ったのは、当時、私は、無性に“金柑”にハマり、1日に何個もキンカンを食べていました。
よく、妊娠すると酸っぱい物や、なにか1つのものを急激に食べたくなったり、食の変化が起こりやすいといいますが、私の場合それがキンカンだったようで、冷蔵庫にキンカンがないと不安になるほど。
しかも、冷えたキンカン限定だったので、備え付けの小さな冷蔵庫を開けては、1つパクッ、また少ししては冷蔵庫を開けて1つパクッ、の繰り返し。
そんな調子なので、夜中もキンカンを欲するのですが、冷蔵庫から漏れる明かりは、テレビなんてもんじゃなく煌々と明るく、隣の人は確実に起きてしまうような光。
しかも、パタン!と、けっこうな音まで出てしまうので、“こんな夜中にアイツ何食べるんだ”的な無言の圧力は必至。
咀嚼の音も、シーンと静まり返った病室ではけっこう響きます。
そこであみ出した方法は、妊婦さんは私含めトイレが近く、夜中も皆けっこう頻繁にトイレに行くので、隣の人が夜中トイレに行くため部屋を出た隙に、マッハで冷蔵庫をあけ、キンカンを2~3個取り出し、待機。
そして、隣の人が帰ってきて、ベットに入ったのを見計らって、私もトイレに行くフリをし、キンカンをパジャマに忍ばせ、廊下でキンカンを食べるという方法。
もはや妊婦じゃなくて中毒患者。
アホらしい行動も、渦中の本人からしたら必死。
あの頃、「人間やめるかキンカンやめるか」と問われたら、人間やめていた自信があります。
しかも、入院していた病院は、大きな総合病院なのですが、食事が壊滅的に美味しくないという欠点があったため、食への飢餓感は募るばかりで、頭でリスト化した食べたいものを次々スマホで画像検索までする始末。ヒマ人。
でも、そんなヒマ行動も、1日に何度も、お腹に聴診器みたいなものを2つくっつけ、ゴムベルトで固定してチェックするふたごの心拍数やお腹の張り具合が、ありがたいことに順調だったからこそ。
そう、34週目までは・・・。
この後、34週目に差し掛かる一歩手前で、思いがけないトラブルが起こるのですが、、、そのお話はまたそのうちに~
神宮外苑のにこにこパークにて。「バイク、ブンブーン!」と言いながらロディに乗るふたごの図。
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