【立ち読み】『スーさんの「ガリガリ君」ヒット術』


ただし、自分で自分を評価する時に気をつけてほしいことがあります。
「うぬぼれない」ことです。
うぬぼれると、人は努力を怠ります。努力を怠ると、成長が止まります。すると人生の面白みがなくなります。
昨日より今日、今日より明日、ほんの少しでも成長を実感するところに人生の楽しさはあります。

働き始めた頃、私はまだ青くて、生意気でしたので、仕事をしている同年代の人を見て、「私がいちばん先頭を走っている」と思い込んでいました。入社2年目、ちょうど『BLACKEY』(現在の『BLACK』の前身)を作っていた頃です。

若くして新商品開発を任された私は、誰よりも仕事ができると思っていました。ところが、ある時、「自分と同じレベルの仕事をしているな」と思う人が現れました。よくよく仕事の内容を聞いてみると、自分より難しい仕事を任されていて、実ははるか先を走っていることがわかりました。
私はうぬぼれ、油断をし、自分よりも先に人がいるとは思ってもみなかったのです。アイデアが出なくなったのはこの頃でした。

もし、会社で仕事をしている時に、「この人は、自分と同じくらい仕事ができるな」と思ったら、「いや、この人より自分のほうが能力は下だ」と考え直すことです。もし、「この人は、自分もよりも少し仕事ができるな」と思ったら、「自分より、はるかに能力が高いな」と考え直すことです。そうすれば、「自分は仕事ができるのかも」という勘違いを防ぎ、自分を甘やかさずにすみます。

いい意味でも、悪い意味でも、意外とわからないのは、自分自身のことです。
長い間仕事をしていると、ある時、とんでもない斬新な発想をしている自分を発見して、自分自身に驚くことがあります。それが、いい仕事へとつながります。
周囲の評価を気にせず、うぬぼれず、一いち途ずに仕事をしていると、いつか「とんでもない斬新な発想をしている自分」と出会えるのです。

私にとってそれは、『ガリガリ君』の色を「地球色」にしようと思い立ったことでした。
みんなに愛される色は何か。そう考えた時、地球のイメージが浮かんできました。地球で印象的なのは、やはり空と海、スカイブルーと紺こん碧ぺきの海の色です。そうして今では〝ガリガリブルー〞とも呼ばれている青い色に決めました。

これも、周囲の評価を気にせず、うぬぼれず、一途に考えた結果だと思っています。 

 

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『スーさんの「ガリガリ君」ヒット術』
(鈴木政次:著)


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