ウイスキーを美味しくするもの

ウイスキーを美味しくするもの


 今夜もマッカラン黒バージョン

家でウイスキーを飲むようになって、こだわるようになったのがグラス。どんな飲み物も、いいグラスでいただくと味わいが違うのは当然なのですが、私的にはウイスキーのときほど、このことをうんと実感します。

なんででしょうね…? ウイスキーはビールみたいにガブガブ飲まずに、ゆっくりゆっくり味わうお酒だから、そのぶんグラスのかたちや重さ、それから口あたりの感触なんかも、深く余韻に残るのかもしれません。

私が長年愛用しているのは〝バカラ〟

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名品は、やっぱりいいです。

クリスタルの輝きが本当に美しくてうっとり。持ち重りのする独特の感触も、しみじみ、いいんですよね。たっぷりと、磨き抜かれた人生みたいな重みと言いましょうか…。これでウイスキーを飲んでいると、私も大人になったなぁ(=歳をとった…いい意味で!)と妙な感慨にふけったりして。

ちなみに、「持ち重りのする」という言葉、向田邦子の文章によく出てくるのですが、私の日常生活の中では、ウイスキーが入ったバカラのグラス、これこそまさに「持ち重りのする」という表現がぴったりくるなぁ、と。

気軽に買える値段ではないけれど、大好きなウイスキーがもっと味わい深くなるのなら、こういう贅沢もいいよね、大人だもん! と思うのです。

で、さらにここ数年で、ちょっとずつ集めているのがバカラのアンティーク。

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最初の写真のものはバカラの現行品ですが、アンティークはこのとおり、見た目がずっと華奢でエレガント。サイズも小ぶりだし、口当たりも薄くて繊細。ここに琥珀色のウイスキーを注ぐと、手の込んだカッティング模様が、それはそれは優雅に浮かび上がってくるのです。うーん、きれい! 

そう、現行品とアンティークって、個性が全然違うんですよね。重みのある現行品バカラが男性的だとしたら、繊細でロマンティックなアンティークバカラは女性的なイメージ。同じウイスキーも、どちらのグラスで飲むかで、味わいや気分が変わるのがまた、楽しくて。

アンティークのお値段はものによっていろいろですが、現行品よりずっと買いやすいものも多いんです。私がときどきのぞくのは、東京・世田谷にある「マジョレル」というショップ。素敵なオールドグラスは眺めているだけでも癒されます。

こちらは私のお気に入りのバーでの写真。

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ここはアンティークグラスのコレクションが見事なのです♡
見ていたら行きたくなってきました…。
バーのお話は、また近々に!

 


Written by Mihirogi Naho

三尋木 奈保(みひろぎ・なほ)/ファッションエディター
働く女性向けのファッション誌『Oggi』を中心に活躍。
近年はアパレルブランドの商品開発などにも携わる。ベーシックな服を色合わせや小物使いで洗練させる、等身大のセンスが大きな反響を呼ぶ。2013年、自身のベーシック・ルールを公開した著書『My Basic Note ふつうの服でおしゃれな感じのつくり方』(小学館刊)を上梓。清潔感のあるこなれたスタイルと卓越したセオリーが幅広い層から支持を集め、11万部を超えるベストセラーに。食や文化を豊かに楽しむライフスタイルにも注目が集まる。
本連載が初のWeb連載となる。

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