はじめての「ソロ焚き火」
これは、モノを手放し、身も心も身軽になったミニマリストが、「やりたいこと」に挑戦していくお話。
ぼくは明日死んでしまうかもしれない。
だから「やりたいことはやった」という手応えをいつも持っていたい。
いざ、心の思うままに。
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照明はぎりぎりまで暗く、バーテンダーはほどよい距離感を保っている。
そんなBARで、まだ恋人になっていない2人はお互いの距離をグラスの中の氷と一緒に溶かしていく。
焚き火を囲む人も心からくつろぎ、普段は話さないことをお互いに打ち明けるようになる。
そう、いいBARは何よりも焚き火に似ているのだ。
すべては俺の責任
モノを減らしてから、自然やアウトドアに興味が向かうようになった。
そうしてBBQや焚き火に参加する機会は増えた。
しかしそれを今日はソロでやるのだ。
火をおこす人=俺
火を司る人=俺
料理する人=俺
くつろぐ人=俺
片付ける人=俺
twitterで「俺」というアカウントを取得しそうなほど、今日は俺でいっぱいなのだ。当然いつもより、責任感は増す。俺は万全の準備をととのえた。
万全の体勢で臨む
当たり前だが焚き火をすることによって自然にインパクトを与えてはいけない、焚き火台が必要だ。
選んだのはミニマリストにふさわしい「ピコグリル」!!
とっても軽くて、こんなにも薄くなるんですよ〜⤴(タカタ社長のノリで)
不安を払拭するため、難燃性のシートも下に敷く!
いざというときのために、消化用のバケツも準備!
着火剤は使わない。できるだけあるものを利用する。
初心者にもかかわらず、無駄なサバイバル心が湧いてきた俺は
その辺の落ち葉と枯れ草をスターターに用いることにした。
予想外の展開
いざ、着火。長い柄のついたライターで安全に!
通報されてもおかしくないレベル!! それは焚き火ではなく、もはや「のろし」だった。
「敵の来襲じゃぁ〜、殿ぉ〜!! どうかご無事で、殿ぉ〜」
取り乱した黒田官兵衛が俺の中に降りてきて叫ぶ。
(黒田官兵衛のことはよく知らない、ファンの方すみません)
一通りアタフタしているうちに、煙も少しずつおさまってきた。
薪も買ったものではなく、落ちている木を使ってみる。
乾燥した木だったので、すぐに火がつく。ここまではとても順調。
気を良くした俺はやってみたかったアレに手を出す!
山岡さんと俺
ふだんは手がのびない高級品「シャウエッセン」様を串に挿して焼く。
直火は強力で、あっという間に焼けた。
というか表面だけが焦げてしまって、失敗。
とんでもなくうまい!!
「とってもワイルド、山岡さんより素敵かも…♡」
俺の中の栗田ゆう子が声をかけてきた。
直火や炭火で焼く肉には特別のうまさがある。
おそらく、木の匂いがつくことでスモークされたような味わいになるのではないか。
あっという間にシャウエッセン一袋を平らげた俺は、焚き火を前にしてくつろぐ。
焚き火と組織の共通項
焚き火を上手く作るのは、組織づくりに似ている。
・盛り上がっているところには、薪を応援に行かせる。
・くすぶっている薪があれば、活躍できそうな場所に配置換えする。
・役割を終えた薪は、灰になることで自然に後進に場所をゆずる。
・何よりも風通しがいいことが、火を絶やさないための条件である。
なんだかうまいことを言いはじめた俺は、
すっかり満たされた気持ちで片づけを始める。
この日はいつもよりリラックスして眠ることができたようだった。
翌朝、焚き火台のピコグリルを見るとすっかり黒光りし、一人前の顔になっている。
「マキちゃん、ね……。そういえば昨日は派手に盛り上がってたなぁ。俺の上で!!」
どうやら俺よりも、焚き火台のほうに貫禄が出たようだった。
昨日まで薪童貞だったくせにね!!
【ソロ焚き火の注意事項】
・安全対策は万全に
・葉っぱや、生木はすごい煙でるよ!!
・焚き火台は、一晩で豹変します。