【即増刷!5万部突破記念】(後篇)「ぼくたちは習慣で、できている。」佐々木典士さんに聞いてみた!〜「習慣」で気になる10のこと~
重版出来!5万部突破!
初の著書「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」(小社刊)がベストセラーとなり、22カ国語に翻訳され世界中に‶ミニマリスト″を知らしめた佐々木典士さん。6/14に待望の新刊を発売されました。今回、佐々木さんが選んだテーマは「習慣」。タイトルは「ぼくたちは習慣で、できている。」です。
今回の企画は、まだ本を読んでいない方も楽しめる、習慣Q&A!「習慣」について幅広く調べ、身をもって実践された佐々木さんに「習慣に関する悩み」を相談しました。(前篇はこちら)
〝やめたい習慣″の悩みを佐々木さんに聞いてみた!
気が付くとSNSを見ながらお菓子ばっかり食べてしまう。やめようと思っても明日から明日からと先延ばしにし、「仕事中はストレスがあるのでOK」「だから職場の人と食べるのはOK」「差し入れはOK」と膨大な〝自分ルール″を作った結果、「じゃあもうなんでもOK!」と逆戻り。お菓子に限らず、似たような経験ありませんか?そんな「誰もが断ちづらい習慣」との向き合い方を、佐々木さんに聞いてみました!
お悩みその1
Q「お菓子のヤケ食いが止まらない。そろそろダイエットしたいのに……」
A.ストレスがあると、その解消のために、お菓子を食べたり、お酒を飲んだりという行為が必要なんだ!とつい考えてしまいますが、少し違います。
ストレスがあると、本能的で古い脳の部分「ホットシステム」と呼ばれる部分が活性化します。そうすると生存のために役立ちそうな、カロリーをたくさん取ったり、目の前のやるべきことをサボって休んだりすることが合理的な対処法になるというわけですね。
大切なのは、本当のストレスと、それを解消しようとする行為からさらに生まれるストレスを分けること。
作家のグレッチェン・ルービンは「気分転換のための何かは、自分がさらに嫌になる何かであってはいけない」と言っています。
お菓子のヤケ食いをしてしまって自己嫌悪に陥りさらにストレスを感じる、こんな悪循環は断ち切らなければいけません。ストレスを感じたときには散歩をしてみる、瞑想をする、日記にネガティブな感情を書くなど、好ましく積極的にストレスを対処法できる方法を身につけておくこと。この対処法のリストを「コーピングリスト」と言います。
ストレスが生まれること自体は仕方がありません。自分なりのコーピングリストがあれば、ストレスにもうまく対処できるようになると思います。
お悩みその2
Q.「気がつくとSNSばかり開いてしまうんです」
A.スマホはほぼ無意識で取り出して、アプリを開いたりしてしまいますよね。「ほとんど考えずにする行動」がぼくは習慣だと思っていますが、スマホは完璧にこの条件を満たしています。本体も小さく、取り出しやすい、極めてハードルが低いところも特徴です。
ぼくも何の対策もしていないと、Twitterをよく見てしまいます。人の投稿はそこまででもないのですが、自分の投稿に「いいね」やコメントがつくのが気になってしまうようなのです。これは人の本能とも呼べる承認欲求と結びついている行動なので、何か対策をしなければなかなか打ち勝てない行動だと思います。
やめたい習慣の鉄則はハードルを上げること(Step15 やめたい習慣はハードルを上げる)。
ぼくはスマホにSNSのアプリは入れておらず、ブラウザで見るようにしています。そして見終わったらその都度ログアウトします。またTwitterを見たいと思ってもパスワードを打ったり、二段階認証にもしているので、その手間のどこかで思い返すことができます。SNSを開く代わりの代替行動を考えることも有効です。「+1」というスマホアプリのように、タップすることで単純に数を数えるアプリがあります。「SNSを開きたい!」という欲求を感じたら、代わりにこういったアプリを開きタップする。それだけでも何か達成感を得ることができ気分が落ち着きます。
お悩みその3
Q「お酒を控えたいのに、自宅でも飲んでしまい減らせません!」
A.ぼくも今まで散々「節酒」をこころがけようといろいろ試してきてみたのですが、どうしてもうまくいきませんでした。節酒しようとする時に考えるのは様々なルール作りと計算です。「週末だけはOK」「恋人と一緒にいる時はOK」。そのうちに例外がどんどん増えてしまいます。「金曜日もOK」「今日は飲んじゃダメな日だけど来週帳尻を合わせよう!」「もう誰かと一緒の時はOKということにしよう!」などなど。そして、これが例外にあたるのか、そうでないのかなどといろいろ頭を悩ませることになります。
誰にでも薦めようとは思いませんが、ぼくは節酒よりもお酒を断つほうが遙かに簡単だと思います。(Step04 完全に断つほうが簡単)なぜなら、お酒を目の前にして頭を悩ませる必要も、目の前の誘惑への「我慢」もしばらくすると必要なくなるからです。
欠かせない! と思い込んでしまうのは、アルコールや砂糖には物質的な依存性があるから。その依存症が抜け、しばらく断ってみると特に欲しいとも思わなくなり、我慢の必要もなくなります。
お酒がないと人生楽しくないじゃないの! と思っている人は多いと思いますが(ぼくもそうでした)、小学生はお酒なんかなくても充分楽しそうにしています。そしていざ手放してみると、ほかの「楽しみ」が幅を利かせてくるものです。
お悩みその4
Q.「ついついネットショッピングをしてしまい、ムダ遣いばかりしてしまうんです」
A.ネットショッピングも簡単に1クリックで買えるような仕組みが行き届いています。それを避けたいのならSNSと同じでその都度ログアウトすることです。
何かを「欲しい!」と駆り立てられているような時は、呼吸が荒くなったりしているので深呼吸をしてみることもおすすめ。人の欲求は永続的なものではなく「15分で餓死する」という人もいます。ぼくも欲しいものはその時々出てきますが「1晩以上寝て考える」ことが多いです。
脳内の神経伝達物質の「ドーパミン」にはおもしろい働きがあります。一般的に快楽を感じる行為をすると放出されると認識されていますが、ほかにもいろいろな働きがあります。たとえば何かを「欲しい!」と思わせ、行為へと駆り立てる「動機づけ」としての役割です。
通販番組や買い物でいちばん興奮するのは「こんな素敵なもの、便利なものがあれば、生活が一変するかも!」という時です。しかし手元に届いた頃には興奮もおさまっており、封も空けないまま放置、なんてことに身に覚えはありませんか?
興奮するのは、実際に欲しいものを手にしたときだけではなく「これで変われるかも!」と思う時なのです。買い物だけでなく、自己啓発書やビジネス書を読むことなどあらゆることに、これは言えますね。こういったことも認識していると、衝動買いが収まりやすいと思います。
お悩みその5
Q「何をやるにも三日坊主で、そんな意志の弱い自分が嫌いになってきました……」
A.ドイツで行われたおもしろい実験があります。200人以上の人にポケベルをつけてもらい、1日7回無作為に鳴らします。そしてポケベルが鳴った前後で、どんな欲求を感じていたか報告してもらいました。その結果わかったのは人は、1日に4時間ほどなんらかの誘惑に抵抗していたということでした。
もっと寝たいけど、起きなきゃ。美味しそうだけど我慢しなきゃ。めんどくさいけど、勉強しなきゃ、仕事しなきゃ。というようなことです。そして大事なことは「意志が強い」と思われていた人は、そもそも誘惑に抵抗していた時間が短かったということです。
何かが達成できなかった時、人は「自分は意志が弱いから」と口にします。しかしぼくの考えでは人によって意志に弱い強いの差は想像しているより小さいものです。必要なのは意志力ではなく、環境を整えることです。意志として現れる前の無意識の部分、人の動物としての側面にアクセスすることです。そしてそれは習慣を学ぶことで変えられます。
以前、ぼくも何をしても三日坊主でずっと自分のことを「意志が弱い」人間だと思いこんでいました。しかし習慣の仕組みを理解することで変わりました。何より大切なのは、自分を嫌いにならないこと。
自己否定感があると、次の課題になおさらうまく取り組めなくなってしまいます。昨日より5分早く起きてみる、机の上だけでも片付ける。簡単なことでいいので、まずは小さな習慣を達成してみてください。「自分はできる!」という思いのことを心理学の用語で「自己効力感」と言いますが、そういう自信があることで、次の課題にも取り組みやすくなるというわけです。小さな達成から、習慣の好循環が巻き起こっていくはずです。
誰しも持っている、習慣に関わる悩み。もっと知りたい!と興味を持ってくださった方、続きは佐々木典士さんの新刊「ぼくたちは習慣で、できている。」(小社刊)をチェックしてみてください!
佐々木典士/Sasaki Fumio
作家/編集者/ミニマリスト。1979年生まれ。香川県出身。早稲田大学教育学部卒。京都在住。出版社3社を経て独立。2014年クリエイティブディレクターの沼畑直樹とともに『Minimal&Ism』を開設。初の著書『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』(ワニブックス)は国内16万部突破、海外22ヶ国語に翻訳されるベストセラーに。Webマガジン「WANI BOOKOUT」にて「ぼくは死ぬ前に、やりたいことをする!」、月刊誌『むすび』にて「半径5mからの環境学」連載中。
Blog : minimalism.jp
Twitter: @minimalandism