なんで上司の小言は私たちに響かないんだろう
2018年もはや6月を迎え、
新入社員の方々はそろそろ会社に慣れてきた頃だと思います。
なかにはうるさい上司の「小言」をあびつづけ、
はやくも会社に嫌気がさしている人も
いるのではないでしょうか。
むかしから上司の言うことは若者に響かないと
言われてきましたが、
最近その傾向がさらに増しているようです。
それはなぜでしょうか――。
1万人を超える若者と接してきた
「博報堂 若者研究所リーダー」原田曜平さんが
なるほど!という解説をされていたので、
かいつまんでご紹介します。
みなさんは、下記のようなことを
上司や先輩から言われたことがあるのではないでしょうか?
「20代の時の下積みに耐えたら、
『後で』お前のやりたいように働けるようになるぞ!」
「若いうちは自分への投資だ!
無理をしてでも高級レストレンでいいワインを飲め!
(そうしたら『後で』その経験が自分に返ってくるぞ)」
「休みがとれたって? それならとにかく値段が高くても海外へ行け!
いずれ(=『後で』)その経験が自分に返ってくる!!」
こうした発言は40代以降のいわゆる新人類・バブル世代の
上司に言われることが多いはずです。
原田さんいわく、
この「後で論」(※注:今がんばれば後でいいことあるぞ論)は、インフレ発想(経済成長しているので後で必ず投資に対するリターンが返ってくるという発想)に基づいた発想からくる言い方とのこと。
しかし、今のぼくたち若者世代は、
世の中がイケイケだった上司の世代とは
真逆の時代に育っています。
おのずと発想も真逆になるのが当然らしいです。
今の若者は、国の借金がどんどん増え、社会保障費も増え、人口は減り、日本人の給料もどんどん減っているのを見てきたので、長期的な将来への不安が大きい。
やや極端に言えば“今がピーク”で、明日はもっと悪くなり、あさってはさらにもっと悪くなるかもしれない――という感覚を持っている。
若者からすると「『後で』絶対お金が返ってくるとおっしゃいますけど、じゃあ、証明書をいただけませんか?」とつい言いたくなる感覚なのだ。
育ってきた環境が違うからすれ違いはしょうがないほにゃらら~♪なんていう歌もありましたが、まさに育ってきた時代背景が違うからこそ、(そして、今の若者と上司世代の育ってきた時代背景がかつてないほど違いすぎるからこそ)上司の言葉はぼくたち若者世代にはまったくと言っていいほど響かないのも当然なんですね。
そう考えると上司の「小言」も笑ってゆるせそうな気がしてきました(笑)。生まれた時代が違うのはどうしようもないですもんね。
むしろ、(結果的に若者に響かない)「小言」を言ってくる上司は、ぼくたちのことを本気で考えてくれてはいるものの、伝え方がまちがってしまっているだけなのかもしれません。
ちなみに、今の若者に効く言葉は、「前で論」とのこと。(ある程度明確な見込みや根拠を示して、行動を促すことだそうです)
たとえば、
若者のやる気を引き出したい時には下記のような
言い方が若者に響く言い方とのこと。
「今年は会社の業績が良いから、君のボーナスは去年より大体10万円くらい増えるんじゃないかな。だからこれを見込んで、上がる分くらいは、経験値を上げるためにもこのGWの旅行に使ってもいいと思うよ」
ふむなるほど。
たしかに悪くない言い方ですね笑(上から目線)。
こうした若者目線の“上手な”言い方をしてくれる
上司や先輩に出会ったら、
本当に若者のことを理解してくれている信頼の置ける上司と
思っていいのかもしれませんね。
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原田曜平:箸