超絶人気のかき氷屋「慈げん」が、沢山の人を熱狂させる理由とは?


埼玉県熊谷市にある、かき氷好きの聖地「慈げん」――。『マツコの知らない世界』で紹介され、マツコ・デラックスを唸らせたその絶品かき氷は、“かき氷界の人間国宝”とも呼ばれるマスターの宇田川和孝さんと奥様のふたりをはじめとしたスタッフによって作られています。そのメニュー数は1日だけで15種類40通り以上! しかも、そのラインナップは毎日変わります。

常連100人にアンケートをとった「人にすすめたいかき氷ベスト10」で、第一位に輝く「プレミアムミルクに生いちご」(『真夏も雪の日もかき氷おかわり!』小学館刊より)をはじめとする旬の果物のかき氷。

クリスマス氷、バレンタイン氷、ホワイトデー氷など、限定のイベント氷や、生の卵黄(!)を使ったプディングなどのサプライズメニュー、あるいは、定番メニューでありながら、そのかき氷らしからぬルックスと、惜しげもなくかけられたパルミジャーノチーズが異彩を放つキャラメルミルクナッツパルミジャーノレッジャーノなど、数々の魅惑的なメニューがあるのです!


クリスマス パフェ型


プディング


キャラメルミルクナッツ パルミジャーノレッジャーノ

「どうしてそんなに?」という質問に、書籍の中で宇田川さんはこう答えます。「わくわくしながら好みの一品を見つけてほしいから」……。常連さん曰く「片道2時間かけても良い価値のある中毒性」を持つ「慈げん」の魅力をじっくりと、ひも解いていきましょう!

随所にみられる「慈げん」ならではの哲学

お店は、賑わいをみせる熊谷駅から徒歩5分の場所にあります。移転して、現在は大通り沿いに位置しているため、「案外近い!」と思われる方も多いはず。伺って店に足を踏み入れると、まずは壁に張り出されたメニューの数に圧倒されます。

そして、この日はショーケースのなかには季節のメロンが丸ごとゴロゴロ! いやがうえにも期待が高まります。店を見渡すと、昔ながらのかき氷器や器が飾られ、威勢の良い明るさと活気がありつつも、仕切りの席などもあり、ゆったりとした雰囲気で過ごすことができるようになっています。

「慈げん」のかき氷は口当たりがよくふわふわで、あの「キーン」とした感覚がまったくないことで有名ですが、それもそのはず、氷をそのまま使わず、ひと晩かけて寝かせるという“ひと手間”があるため。「複数個のかき氷を注文するお客様が多い」というのも、まさに、そんな理由があるからなのです。
また、色とりどりのメニューにあふれつつも、流行りの“映え”を狙ったものとは、確実に一線を画しています。宇田川さん曰く「スプーンにのらないサイズは入れないし、氷と一緒に食べ進められないものは、入れない、のせない」。また、そのスプーンも“氷に抵抗なく入っていく薄めのもの”で、一般社団法人日本かき氷協会に頼んでつくってもらったものだそう! 他にも、計算されつくした果物の大きさ、2層3層に挟み込んだ蜜……。こうした見えない部分での計算と努力、哲学があるからこそ、“映え”だけでない “食べやすさ”と“おいしさ”が実現しているのです!

喫茶バレー(元かき氷店ニッコリ~ナ)」の店主は、「慈げん」のかき氷を「心に『映える』かき氷」と表現されています。「インスタ映えするから行く」ではなく、「“それ”を素直に心が求めるから行く」。そんな自分の心に「映える」かき氷だ、ということなのです。同業者をも虜にさせるとは、さすがのひと言!
さっそく、実際にかき氷をいただいてみましょう!

■「いざ実食!」で、身も心もとろける……。

さて、注文したのは「ザ・すももにレミヨエスプーマ」と「プレミアムミルクにメロン」の2種類。

「レミヨ」とは、レモンミルクヨーグルトのこと。果肉も入った、キュンと甘酸っぱいスモモのシロップの上には、ふわふわのエスプーマがたっぷりかかっており、見ているだけで、心までとろけてしまいそう! 実際にスモモとエスプーマを一緒に口に入れてみると、これがなんとも絶妙な味わいのバランスで、「もう一口、もう一口」と、スプーンが止まりません。

また、ショーケースで目を引かれたメロンをこれでもかと使った「プレミアムミルクにメロン」は、まさに、みずみずしいメロンそのものを食べているかのような感覚! 常連さんの「不思議なことに、いちごもメロンも、そのまま食べるよりも、おいしい」という言葉の意味が、しみじみと理解できました。かかっているクリームも絶品で、まるで、かき氷という名のパフェを食べているかのよう。本当に、どこまでもやさしい味の一品に、身も心もとろけます……。

■「慈げん」の“目に見えないおもてなし”

「こんな日にかき氷を食べたら寒くなるのでは?」という一抹の不安をよぎらせながら、梅雨寒のなか訪れた「慈げん」の店内。しかし、足を踏み入れた瞬間、そんな不安は吹っ飛びました。なぜなら、かき氷を食べても寒くならないよう、店内はやや暑めに温度調整されており、かき氷を食べるのに、まさにちょうどいい環境が再現されていたためです。それは、冬でも同じ。スタッフが仕込みを始める朝8時前から、気温や天気を見ながらメニューを考えつつ、店内の温度をだいたい30℃になるまで上げていくそう。「寒い外から店内に入ったお客さんは、はじめは暑いと感じるけれど、かき氷を食べるうちに、ちょうどよくなる温度」とのことです。そのため、「いつも店内が暖かく、冬の方が氷がおいしく思える」というお客さんも少なくありません!

「慈げん」に冬でもお客さんが途切れることがない理由は、その味もさることながら、店内の温度という“目に見えないおもてなし”があってこそ、なのかもしれませんね。

いかがでしたでしょうか? 店主である宇田川さんのこだわりや哲学が随所にあふれた、かき氷屋「慈げん」――。
この夏、日本一熱い熊谷で、日本一美味しいかき氷を、食べてみませんか?

 

大好評発売中!
真夏も雪の日もかき氷おかわり!』(小学館刊)