未来のあなたは、メイクしているだろうか? #それでも女をやっていく

未来のあなたは、メイクしているだろうか? #それでも女をやっていく



 

会社員、フリーライターであり、同人ユニット「劇団雌猫」として活動するひらりささんが、「女」について考えるこの連載。
今回は、原案を務めたドラマ「だから私はメイクする」と、1990年代のアルジェリアでファッションデザイナーを目指す少女の姿を描いた映画「パピチャ 未来へのランウェイ」という2つの映像作品を通して、
「自分のため」によそおうことについて考えていただきました。

 


 

※本記事にはドラマ「だから私はメイクする」、映画「パピチャ 未来へのランウェイ」のネタバレを含みます。

原案として関わったドラマ「だから私はメイクする」が、最終回を迎えた。

「自分の好きにメイクを楽しんでいるのに『隙がない』と敬遠されてしまう」「せっかくお洒落した日に、職場の男性に『採点』されて気持ちが台無しになる」など、メイクやお洒落を楽しむ女性たちの「あるある」な悩みにフォーカスを当て、「メイクする理由は人それぞれ」という、当たり前だけど忘れられがちなメッセージを発信する作品だ。

主人公のBA(ビューティーアドバイザー)・熊谷すみれ役を、カリスマ美容家の神崎恵さんが演じた本作は、シバタヒカリさんによる漫画『だから私はメイクする』を原作としており、元を辿れば、わたしが所属する劇団雌猫が編纂した同名のエッセイ集『だから私はメイクする』で実在の女性たちが綴ってくれたエピソードがベースになっている。そのため、ドラマでも、シバタさんに加え、劇団雌猫の4名で監修をさせてもらった次第だ。脚本家の坪田文さん、プロデューサーの祖父江里奈さんはじめスタッフ陣が、漫画・エッセイ集をよく読み込み、精神性をよく理解して制作にのぞんでくださったので、大きいギャップはなく、コロナ禍に合わせた翻案なども先方にお任せし、監修の大半は、細かいセリフや描写に対するささやかなコメントのみだった。基本的には「アガるメイクとそうじゃないメイクの違いをうまく表情で表しているぱるる、天才……!」「神崎さんに一生ついていきたい……!」などと、いち視聴者として、毎週きゃいきゃい楽しんだ。

エッセイ版も実は、2017年に出した「悪友DX 美意識」というエッセイ同人誌が原型となっている。ドラマ、漫画でも採用されたエピソードの中には、同人誌から掲載されているものも少なくない。同人誌版からドラマまでを通して振り返ったときに、すべてに通底するムードもあるが、やはり大きな違いもある。何よりの変化は、男女問わず「自分のため」のメイクを躊躇う人の背中を押していこうという強い想いが明確に加わっていることだろう。漫画を担当されたシバタさんが、『好き』に向き合う人のきらめきを描く天才だったことも大きいが、もう一つ、ここ数年で、「自分で自分を愛していきたい」というムードが一気に高まったことも、『だから私はメイクする』上のメッセージに影響したと思っている。

©︎「だから私はメイクする」製作委員会、paraviにて配信中

原案者として印象的だったのが、ひょんなことからドバイのビューティーサロンで働くことになった女性・ツキノワグマさんのエッセイを下敷きにしてできたキャラクター・月野輪子のエピソードの翻案の仕方だ。漫画とドラマでは、どちらも、自分に自信が持てずに自虐してしまう輪子が、ゴージャスにおしゃれを楽しむドバイの女性に感化されて、「私なんか」を捨てられるようになる……という流れがメインとなっている。自己肯定感が低いすべての人々に対しての、応援に溢れたストーリーだ。

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Written by ひらりさ
ひらりさ

ライター・編集者。平成元年生まれのオタク女子4人によるサークル「劇団雌猫」メンバー。 劇団雌猫としての編著書に、『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。 個人としてもアンソロジー同人誌『女と女』を発行するなど、女性にまつわるさまざまなテーマについて執筆している。

»https://twitter.com/sarirahira

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