イタリアで「好き嫌い」を言っていいと知った

イタリアで「好き嫌い」を言っていいと知った



イタリア在住のイラストレーター・マンガ家のワダシノブさんが、
イタリアの暮らし・文化・人などの情報をお届け!
第1回はイタリア移住後に感じたコミュニケーションの違いについて紹介します。


(イラスト:ワダシノブ)

はじめまして、イラストレーター・マンガ家のワダシノブ です。
イタリアのトリノという、北のほうにある結構寒い街に住んでいます。そこでイラストを描いたり、マンガを描いたり。そんな生活を送っています。

文章にすると楽しそうですが、最初からそうだったわけではありません。
「イタリア大好き!」「どうしても住みたい!」という情熱は全くなく。「東京に憧れる東京外の人」くらいに、「日本以外に住んでみたいなぁ」と漠然と思ったまま、日本で出会ったイタリア人パートナーの帰国に付いてイタリアへ。転勤について行くくらいのノリでここにやってきました。計画性ゼロ。なんだか勢いで、遠くまで来ちゃいましたね。

正直、来る前は「違う場所で今までをリセットしよう」と目論んでいました。日本での日々を「陽気で明るいイタリアで暮らす私」に変えれるかなと。当時はアラサーだったのもあり、このまま人生が終わる感じがしていて、変化が欲しかったんですね。

それで、どうなったか? 甘かった。全然無理でした。イタリア舐めてた。全て予想外で、なにをやってもダメ。しんどいしんどいとぼやいてばかりの毎日でした。
今、思うと、このしんどさは私の態度のせいでもありました。

パートナーの家族の近くに住んでいたのですが、彼らに嫌われるのが怖くて、いつもニコニコしてなんでも「SI(YES)」と言っていました。これをして、あれもしたいを全部受け入れる。お腹いっぱいでも甘過ぎても「美味しい」と食べる。
そんな私とは反対に、他のイタリア人は「やりたくないから、やらない」以上。自由に思いを口にして、「この服は似合うけど、こっちはいまいちだよ」。出された料理も、「これは好きじゃないから、いらない」。
こっちは我慢してなんでも食べるのにな!と、1人でどんどんストレスを溜めていったのでした。

お互いを理解するためには、好きも嫌いも素直に伝えた方が早い。そう思っている人たちに対して、なんでも感じよく受け入れるのが円滑なコミュニケーションだと思っていた私。全く噛み合ってなかったのです。
そこから、何度も爆発を繰り返しているうちに、「あ、ここでは素直に思いを口にしても、誰にも怒られないんだ」と変わっていきました。

そんな感じで始まったイタリア生活。キャリアなし。技術なし。コミュ力なし。収入ゼロ。子どもを預ける場所もゼロ。イタリア語力ゼロで旅行レベルの英語しか話せなかった。そこからのスタートでした。

この連載では、イタリアでの生活や文化を紹介しながら、私がイタリアでちょっとずつ居場所と夢を見つけていった話を書いていけたらと思います。


Written by ワダシノブ
ワダシノブ

イラストレーター・マンガ家。広島県生まれ、イタリアのトリノ在住。
日本で出会ったイタリア人パートナーの帰国に付いて、2007年からイタリア生活を始める。
イラストのほか、noteやPodcastでイタリア生活や趣味について発信している。
X(旧Twitter) @shinoburun
notehttps://note.com/shinobuwada
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