【INTERVIEW】人気恋愛ゲームアプリ原案の映画『ナポレオンと私』。濱正悟が語る作品の魅力とは。

【INTERVIEW】人気恋愛ゲームアプリ原案の映画『ナポレオンと私』。濱正悟が語る作品の魅力とは。


スーパー戦隊シリーズでヒーローを演じ、子供達を熱狂させた濱正悟が、今度は女性を夢中にさせるゲームの世界の英雄・ナポレオンを演じることに。原作は全世界で大人気の恋愛ゲームアプリ「イケメンシリーズ」。ゲームの世界から飛び出した二次元のキャラクターを演じるにあたり、どんな気持ちで臨んだのだろうか。

撮影/浦田大作 スタイリスト/徳永貴士 ヘアメイク/佐々木麻理子 文/竹下詩織

――オーディションで今回の役が決まったそうですが、その時のお気持ちを聞かせて下さい。

「素直に嬉しかったです。ただ、僕が演じるナポレオンという役は凄く難しそうだなと。やはり『イケメンヴァンパイア』という人気の恋愛ゲームアプリが原作なので、この役をしっかり演じられるのかという不安も少しありました。でも台本を読ませて頂いて、なかなか普段接する機会のない作風だったので、そこは楽しめそうだなと思いましたね。武田梨奈さんが演じるヒロインの春子に“がんばれ!”と、応援したくなるような気持ちで台本を読んでいました」

――恋愛ゲームにはあまり馴染みがなかったと思いますが、今回ナポレオンという役をどのように捉えましたか?

「難しかったですね…。オーディションをやらせて頂いて、役が決まってから『イケメンヴァンパイア』のアプリをダウンロードして初めて恋愛シミュレーションアプリというものをやってみました。もちろん存在は知っていたのですが、やったことはなかったですし、そのゲームに対するイメージいうのもあまりなかったんです。だからやってみて初めて、新しい世界に踏み込んだという感覚でしたね」

――実際にゲームをやってみていかがでしたか?

「元々格闘ゲームなどは好きだったのですが、それと恋愛系のゲームというものはジャンル的にもかけ離れていて。でもゲーム内のナポレオンが凄く自分に寄り添ってくれている感じがして、対話をしてくれたり、ほかのキャラクターがいる前でいざこざがあった時に守ってくれたり、そういう優しい部分が見られて素敵だなと思える部分がたくさんありました」

――役づくりで意識したことはありますか?

「今回の作品は原作マンガの実写化のような感じもあるのですが、実写化作品って、既にアニメ化もされていて声や動きのあるものも多いじゃないですか。アプリのキャラクターであるナポレオンの場合、声はありますが画面では静止画で、あまり動きがなくて、実はイメージしづらい部分がたくさんありました。だから何回か監督やプロデューサーさんと本読みをやらせて頂いて、徐々にどういう役なのかをつかんでいきました。基本的に僕自身とナポレオンの性格は合うところが少なかったんです。真逆ではないのですが、役とのファーストタッチであまり自分の持っている要素とリンクする部分がなかったので、そこからのスタートでした。現場で武田さんと一緒にやっていくうちにどんどん作り上げていった感じです。最初春子の前に登場するシーンは、ゲームのキャラっぽくあまり感情を出さないというか、ゲームの中から一方通行に言葉を投げかけているように意識して、物語の中盤からはだんだん春子を応援する立場になって、そこから色んな表情を出していけたらいいなと、監督とも話をしながら進めていきました。最初に意識したのは所作の部分で、あまり体をぶれないようにするとか、ナポレオンとしての品みたいなものを出せればいいなと思って演じていました」

――たしかに、バラエティーで見た時の濱さんとはキャラが全然違う気がします。目つきや声のトーン、喋るスピードなども印象的でしたがその辺も意識されましたか?

「そうですね。春子が操作しているゲームの中からナポレオンの声が出てくるところもアフレコでやらせて頂いたのですが、その時は実際のアプリ内のナポレオンの声を意識しました。でも中盤くらいからは徐々にあまり気にしなくなって。セリフも、途中から人間らしくなったというか、アプリ内で話す決まったセリフ口調ではないものになっていったので、そのセリフの変化もこちらとしてはやりやすかったです」

――ナポレオンは今回の物語の中でどういったポジションなんでしょうか。

「人間的に春子を好きになっているんだけど、大前提として物語では春子が現実世界でちゃんと幸せになる、というのがこの作品なんです。恋愛だけじゃなく仕事においても、ナポレオンは春子を応援する立場なんですよね。ナポレオンって、恋人、友達、家族…色んなポジションがある中で、どれにも当てはまらないというか。どの要素もあるんだけど、新しい存在というか。何かのインタビューで武田さんが『実際はナポレオンなんて存在してないんだけど、あれは春子が自分自身に言い聞かせて、ナポレオンという存在が出てきたんだと思う』と仰っていて。そういう解釈でも受け取れるんですよね。それが『イケメンヴァンパイア』をやっている方達の気持ちなのかなと。この映画ではナポレオンがゲームから飛び出してくるけど、実際は出てこなくてもアプリ自体が自分の心の支えになっていて、自分を後押しする存在としてある。春子が物語を通して成長していくように、この作品で一番重要なのは、ちゃんと自分を好きになって、一歩踏み出すのも自分次第なんだ、という気持ちだと思うので、その支えになるような、一歩後押しする存在であれたらいいなと思って演じていました。あとは家政婦感(笑)。そこでナポレオンのちょっとした可愛らしさも出せるかなと」

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

「今回頃安監督の仲のいいスタッフさん達や、ご一緒したことのある方が結構いらっしゃったので、チームワークや雰囲気がよくて僕らも凄くやりやすかったです。武田さんも本当に色々と話しかけて下さったので、現場では僕は武田さんに引っ張ってもらったという感じです。作中のナポレオンと春子の関係性とは結構真逆かも(笑)。天候も凄くよくて、ロケーションもよくて、全体的に撮影は円滑に進みました」

――撮影中の印象的なエピソードを教えて下さい。

「武田さんが話しかけて下さることが多かったんですが、最初に仲良くなったきっかけが、部屋でゴキブリのおもちゃみたいなものを、武田さんがミニカーみたいに走らせてきたんですよ。その時ヘアメイクや衣裳の方達みんな、めちゃくちゃびっくりして。ホラー映画を観たり、恐怖体験を一緒にすると仲良くなるってよく聞くじゃないですか。それが撮影2日目くらいだったんですが、そこから一気にみんな仲良くなりましたね。武田さんなりの距離の縮め方だったんだと思うんですけど、実際それで仲良くなれたので、ゴキブリは嫌だったけど、一番印象的な思い出ですね」

――今回の役はゲームのキャラクターということもあり、衣裳も独特ですね。

「ナポレオンは9割8分あの衣裳で出来上がっているというか、画としては完璧ですよね。ほかの作品では大体、作品に入る前の衣裳合わせから始まるんですが、今回は衣裳づくりのところから関わらせて頂いたので、序盤から長くみんなで作り上げていった感覚です。ジャケット、シャツ、パンツ、ブーツ、どれもちょっとずつ仕掛けがしてあって、ここで原作とはまた違う、映画のオリジナリティを出せたんじゃないかな。あの衣裳を着て気持ちが入る部分も大きいです」

――作中には女性がキュンとするようなしぐさもありました。

「頭ポンポン、というしぐさは監督と凄くこだわって、現場では監督も一緒に動作をやりながら試行錯誤していました(笑)。春子のほっぺをつねるというしぐさは、現場で生まれたものです。そういったシーンはほかの作品で勉強しようと思ったのですが、なかなかあんな風に頭をポンポンするシーンで参考になるものがなくて、やりながら武田さんに『これどうですか?』って聞いていましたね(笑)。最初は探り探りでやっていましたけど、徐々に慣れていきました」

――監督も一緒に考えながらやっていたんですね。監督から求められたナポレオン像というのはあったんですか?

「オーディションの時も本読みの時も、都度色々と演出して下さったので、現場に入ってからはそんなになかったかもしれないです。像というより、後半にかけて人間らしさをもっと出してほしい、という要望はありました。あとはもうちょっとかっこよく、イケボで、というのもご指摘頂きました。

――実際にナポレオンを演じてみて、ゲームに夢中になる女性の気持ちは理解出来ましたか?

「誰しも心の拠りどころって絶対に必要だと思っていて、それがご飯でもいいし、映画でもいいし、アプリでもいいし。この映画の場合、春子にとっての拠りどころがゲームであり、ゲームの中のナポレオンということなのかなと思いました」

――ご自身で完成した作品を見た感想は?

「自分が出演する映画って、なかなか感想が難しいんですけど…(笑)。この作品はもう何回も完成を観る機会があって、とにかく毎回観ていて春子を応援したくなるなと思いました。あとはワンカットで長回ししているシーンがいくつかあって、そこも見どころです。純粋に画として綺麗なので、観ていて心が癒される感覚もありました。個人的には、ゲームのキャラであるナポレオンとして出演しているので、全く別の人間として、自分じゃないみたいな感覚で観られましたね」

――役者としての考え方にも触れたいのですが、濱さんが今、お芝居をする楽しさはどこにありますか?

「役によって楽しい役もあればつらい役もあると思うので“楽しい”とは一概には言えないのですが、やっぱり作品が完成した時が一番嬉しいですね。初号試写を観た時や、完成したものを見て下さった方達の感想を頂いた時、こんなメッセージが伝わってるんだろうな、こういう観方もあるんだ、と、人として豊かな感情になれるというか。自分が携わった作品なのに、知らないことを知れた感覚があって、そういう感想もありだなと思ったりもします。もちろん撮影の現場が楽しいのもありますね。僕はひとつの仕事に決められなくてこの道を選んだので、色んな役を通して色んな経験が出来るのは凄く貴重なことだと思います」

――役者としての今後の目標を教えて下さい。

「また頃安監督や武田さんと一緒になにかやりたいですね。一度一緒にお仕事した方と、また違う役で出会えるのが一番幸せなことだと思うんです。もう一回ご一緒するというのは、近いうちの目標ですね。僕の成長した姿を見せられるように、日々頑張らないと、と思っています」

――最後に、数々の作品に出演して経験を重ねていますが、自分自身成長したなと感じる部分はどこでしょう?

「そもそも人としての部分ですが、僕、今まで人見知りであまり喋らなかったんですよ。人とのコミュニケーションがあまり得意ではなかったんですが、作品を重ねるごとに人と関わることの楽しさもわかった気がして、コミュニケーションをとりまくるようになりました。陽気になったかもしれないです。人を好きになり始めたというか(笑)。今まで自分ひとりで塞ぎがちというか、自分で答え出しがちというか…。その点では成長したなと感じます」

 

衣裳協力:シャツ¥42,900、パンツ¥53,900(ともにアポクリファ/サカス ピーアール 03-6447-2762)


  ●プロフィール
濱正悟/はま・しょうご
1994年8月22日、東京都生まれ。2018年、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』でルパンブルー/宵町透真役を演じる。そのほかの出演作に、ドラマ『コーヒー&バニラ』『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』、Amazonオリジナルドラマ『お茶にごす。』などがある。


    ●作品紹介

(C)CYBIRD

『ナポレオンと私』
監督/頃安祐良 脚本/鈴木規子
出演/武田梨奈 濱正悟 綾乃 彩 岡林佑香
   永吉明日香 白鳥紗良 米村真理 笈川健太 村田 唯 輝海 荒井レイラ
   染谷俊之
配給/ENBUゼミナール
7月2日(金)より池袋HUMAXシネマズ、渋谷HUMAXシネマ、横須賀HUMAXシネマズほか全国公開
https://napowata.com/