新しい時代のしなやかな生き方が話題、人気「Celvoke」ディレクター田上陽子さんインタビュー【後編】
BOOKOUTジャーナルとは
知られざる想いを知る―。
いまいちばん会いたい人に、
いちばん聞きたいことを聞く、
ヒューマンインタビュー。
撮影/イマキイレカオリ
文/安倍 佐和子
軽やかなライフスタイルをおくる女性たちの間で人気のビューティブランド「Celvoke」のディレクターとして活躍しながら、フリーランスとして活動の場を広げる田上陽子さん。
コロナ禍で結婚、遠距離でのデュアルライフをスタートさせた田上さんに、新しい時代をしなやかに生きる視点を伺いました。
前編は、これまでの仕事への充実と葛藤、後編は自己変容への実現、現在の二拠点生活について語って頂きました。
電撃的な出会いから、お付き合い三ヶ月でスピード入籍。
結婚後はどんな毎日を送っているのですか?
パートナーが北海道でワインづくりをしているので、東京をベースに北海道との2拠点生活を送っています。一ヶ月のうちの約半分を週単位で行ったりきたり。一度、週末だけ北海道に帰ったことがあるのですが、さすがにしんどかったですね(笑)。
東京と北海道のライフスタイル、時間の使い方などの違いは?
東京では車を運転することはなく、ゴールド免許(笑)でしたが、北海道では運転は必須。好きな車を購入して運転もするようになりましたし、自然のリズムにそって早寝早起き。地物の野菜もおいしくて、食事をつくることが楽しいと思うように。都会の華やかさや便利さはありませんが、不足していた人間らしさ(笑)を取り戻している感覚です。
絵に描いたような都市生活を満喫していた私ですが、じつはこれが求めていたライフスタイルだったのでは、とも…。身体は正直ですよね、婦人科系のトラブルが改善していき、心身ともに調子がよくなりました。
田上さんにとってのデュアルライフとは?
コロナ禍で新たな日常がはじまり、都心から郊外に拠点を移した、あるいは2拠点生活を始める人も増えていますが、新しい出会いやコト、ものを楽しめる人、メリハリのある生活が好き、という人なら大丈夫では?と思います。私自身、30代の頃は、わざわざ大自然の中に身を置くために旅をしていましたが、2つの環境下で暮らすことで、自分自身と向き合い、本質をみつめる時間がもてるようになりました。
北海道での生活をはじめたころは、携帯が手放せず、夜遅くまでだらだらと携帯で仕事をしていたこともあったんですが、パートナーに怒られて…。はっとしました。以来、時間の使い方、頭の切り替え方は上手にできるようになったと思います。
生活スタイルの変化で、未来の描き方も変わりましたか?
以前はモノを生み出し、消費を促す、あるいは広く知らしめることに注力してきましたが、デュアルライフをきっかけに、本質を極めていくことに注力できたら、と思いはじめました。先日、新たにジュエリーブランド「ENEY」を立ち上げたばかりなので、しばらくはいまのスタイルを続けていくことになりそうですが、東京に固執せず、北海道発信で何か新しいこと、おもしろいことができたらいいなとも思っています。どこが拠点でも、自分ひとりで最後まで完結できる仕事をみつけたい、というのが最終目標です。
生き方を変えたことで見えてきたこととは
20代、30代は、個人名でなにかを成し遂げられる人はすごいと思っていましたし、だからこそ自分に何ができるのか、常にもがいていました。でも、それは人の目を気にしていたからかも。自分でも気づかないうちに自分らしさを捨てて、評価されることで自信をつけようとしていた。
ある占い師の方から“いまの仕事の仕方はあなたに向いていない”と言われたことがあって、当時は「?」だったんですが、いまはその意味がよくわかります。
周りから評価されることも大事な事ですが、そこに固執してしまうと自分を苦しめてしまう。
なにかに執着していると、人ってなかなか変われないものですが、私はラッキーなことに最愛の人と2拠点生活をスタートしたこともあって、自分の本質に気づくことができました。もし失うものがあったとしても、それは自然の摂理。ごく必然なことだと思えるように。その感覚もまた、財産なのだと思います。
田上陽子(たがみ ようこ)
プロフィール PR会社に勤務し、数多くの美容系クライアントを担当した後、2013年にオーガニックビューティーブランド「エッフェ オーガニック」を立ち上げ、商品開発からPRまで幅広く手掛ける。2016年には、天然由来成分をベースに、先進テクノロジーを用いたスキンケアラインと、洗練モードを追求したメイクアップラインを揃える新ブランド「セルヴォーク」をスタート。現在は、2つのブランドディレクターの他、フリーランスとして活動の幅を広げている。
Instagram @yokotagami628