【インタビュー】動画クリエイター 花上惇さん【後編】

【インタビュー】動画クリエイター 花上惇さん【後編】



BOOKOUTジャーナルとは

知られざる想いを知る―。
いまいちばん会いたい人に、
いちばん聞きたいことを聞く、
ヒューマンインタビュー。


撮影/イマキイレカオリ
スタイリスト/荒谷至
文/高木さおり(sand)

ガチャっと冷蔵庫が開き、女性の抱える悩みを取り上げ「BITCH!」と鋭く一言。しかし続くのは、流暢な英語を交えて叱咤激励するポジティブなメッセージ。観るほどにクセになる、この動画を作るのは動画クリエイターの花上惇さんです。
今回は、TikTokやInstagramを中心に注目が高まるばかりの花上さんにインタビュー。後編では「冷蔵庫シリーズ」の裏話から、今後の目標まで語っていただきました。(前編はこちら)。

 

コロナ禍をきっかけにTikTokをスタート

ーーーコロナ禍で当時働いていたお店が休業になってしまった。花上さんはどうされたのでしょうか?

もともと私は昔からYouTubeで「歌ってみた」などの投稿をしていて。ちょうどコロナ禍に入った頃に10年来のファンの方から連絡をいただいたのです。「もったいないから、もっと活動したほうがいい」と。
その方はSNSに強くて、「じゅんじゅん、今はTikTokだ!」と、勧められました。いざダウンロードしてみるといろんなコンテンツがあって面白い場だなと。すぐに自分でも投稿を始めたのです。そこで、まずはTikTokに注力したところ、じわじわと伸びて現在はフォロワーさんが約26万人までになって。
コロナ禍が起こらなければ、そもそもTikTokを始めることもなかっただろうと思います。もちろんコロナ禍自体は嫌な出来事ですが、私にとってはいい意味で人生を変える転機となった気がしています。

 

「冷蔵庫シリーズ」誕生秘話

ーーー花上さんの投稿といえば「冷蔵庫シリーズ」をイメージする人は多いです。

ある日、ちょっと落ち込んでいたときにTikTokを眺めていると、おもしろい動画が流れてきたんです。詳しくは覚えていないのですが、女性が最初すごく怒った調子で「てかさ、センター分けにしてる男の子っているじゃん?」と切り出したかと思ったら「マジでかっこいいよ! ずっと続けて!」みたいな感じで、急に褒めるテンションに変わって。
それを私は、「怒ってないんだ(笑)。というか、褒めてるんだ」って、この動画すごくいいなと思ったんですよ。
でも、これをそのままだと真似になっちゃうから、自分に落とし込むとどうなるのかを考えました。「人を元気づけられるコンテンツ」という軸だけはブレずに持って、その他は自分でちゃんと固めていこうと思って。

ーーーそうして生まれたのが「冷蔵庫シリーズ」!

冒頭で、扉か何かを「ガチャッ」って開けたかったんです。TikTokは最初のつかみが重要ですから。洗面台やお風呂など家中いろいろ試し録りした中で、冷蔵庫がライトのおかげで一番「盛れた」んです(笑)。

ーーーそこに女性たちに対するポジティブなメッセージを組み合わせたのですね。

もともと得意だった英語を組みわせたのは、日本語だけのメッセージだと直接的になりすぎると思ったから。それに、日本語だとクサいセリフも英語ならちょっとおしゃれで素敵に聞こえたりするかなと。
そして英語を合わせると決まったら、次は何か海外の文化を加えてみようと思って。元々好きだった海外ドラマ『Sex and the City』の、中でも最推しのサマンサの雰囲気を足しました。あの、ポジティブな“independent woman!(独立した女性)”の感じを。
驚くことに、コメント欄やDMで「人生、救われました」とまで言ってくださる方たちがいて。それほどに誰かの心に刺さっていると知って、本当に始めて良かったと思います。

 

ネガティブな一面もコンプレックスも、さらけ出す

ーーー花上さん自身はご自分の性格をどう捉えておられますか?

根っこにあるのは「ネガティブ」です。ただ、私の発信に共感してくれる人が多いのは、私にネガティブなベースがあるからこそだと考えていて。私が、根っから元気もりもりのポジティブ人間だったら悩みを理解してあげられないし、寄り添えないと思うんです。

ーーーネガティブな一面や、ご自身のコンプレックスなどを包み隠さず発信されている姿勢が、熱烈な支持につながってると感じます。

ネガティブな部分を見せるのって、本当はすごく怖いんです。
SNSなんだから綺麗にみせてもいいんじゃない? なんて思うこともある。でも本当の私はそうじゃないから。繕えば繕うほど、どんどん自分の首を絞めるだろうなって。
だから、全部さらけ出すことにしたんです。それによって離れていく人もいるかなと思ったのですが、「逆に、もっと好きになりました」という反応が多くて。

ただ、ネガティブをポジティブに変換できるのが自分の長所だと思っています。
私って、周囲の人に助けられてきた人生なんです。子どもの頃、いじめられていたときも助けてくれた友達がいたし、学校で嫌なことがあっても助けてくれる家族がいた。コロナ禍でお店が休業したけど、ファンの方がTikTokを勧めてくれたおかげで今がある。
私は、自分1人でここまで生きてきたわけでは決してありません。常に誰かに支えられているんです。だから一つひとつの物事に「この人がいたおかげで」って感謝していたいといつも思っています。

ーーー今後、叶えていきたい目標などはありますか?

実は、すごくたくさんあって! お肌が弱い私でも使えるようなスキンケア商品をプロデュースしてみたいし、カラコンを作ってみたい。あとは、テレビやファッション誌にも出てみたいな。コラムを書くお仕事で連載を持ちたいし、本も出版したい。音楽活動でも、声がかかるように頑張りたい。今ぱっと思いつくだけでも、こんなにやりたいことがあるんですよ(笑)

衣装協力:ネックレス・リング /@zuttoholic

花上 惇(はなうえ じゅん)

1992年、富山県生まれ。動画クリエイターとしてTikTokやInstagramを中心に活動。流暢な英語を交え、現代の女性へのポジティブなメッセージを伝える「冷蔵庫シリーズ」の動画をきっかけに人気が高まり、現在ではTikTokが約26万人、Instagram約23万人のフォロワーを持つ(2022年8月時点)。歌唱力にも定評があり、2020年には「カラオケ世界大会日本代表決定戦」において優勝経験もある。
TikTok @junpi92
Instagram @jnp92119
YouTube  花上惇 [はなうえじゅん]