健康意識が高まる漢方コラム:小寒(1/5頃)の過ごしかた

健康意識が高まる漢方コラム:小寒(1/5頃)の過ごしかた


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほど“こよみ”を大切にしています。
そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の“知恵”を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第14回は、「小寒(1/5頃)」です。

 

「小寒(しょうかん)」って、どんな季節なの?

みなさん、あけましておめでとうございます! 今年も「かんぽう歳時記」で、たのしみながら、季節に合わせた養生で、健康に過ごしましょう。

さて、新年明けて最初の節気は、小寒。いわゆる“寒の入り”とされ、これより立春(2️/4頃)までの約一か月間は、一年でもっとも寒さが厳しい時期となります。
めでたい松の内ではありますが、昼はいまだ短く、太陽の光から得られる“陽気=心の栄養(エネルギー)”が不足します。加えて、この時期は寒さから腎に負担がかかるため、寝付けない、頑張れない、過去の恐怖に悩まされるなど、「せっかくの正月なのに……」と思うような悩みも出やすい頃です。

(※)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。

 

「小寒」のパワーフードは?

「大雪」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、「鱈(タラ)」
定番のホイル焼きや煮付けはもちろん、おせちに必須のかまぼこなど、練り物の原料としても使われる鱈は、今が旬。一年を通じて獲れる魚ですが、産卵期となる冬は白子も美味で、特におすすめです。平性で肝、腎、脾によく、血(けつ)を補い酒を解毒するので、疲れやすくて息切れしやすい人や、正月にお酒を飲みすぎたという人にピッタリ。この時期は、鍋にして食べると身体があたたまっていいですね。

(イメージ:写真AC)

そして、解毒といえば「昆布」。わずか切手ほどの量を食べるだけで一日分のミネラルを補給できる昆布は、解毒剤としても優秀なんです。こもった熱をとり水はけをよくするので、むくみやすい人、便秘、肥満などに効果があります。

また、この時期、もっとも身近なフルーツである「みかん」は、食欲を促し情緒を安定させて、うるおいを補給してくれます。涼性なのでこもった熱をとる力もあり、「こたつでみかん」は、まさに理にかなっているというわけですね。乾燥しやすいこの季節に、ぜひ!

(※)「五行論」に基づく、食べ物が持つ5つの性質「寒、涼、温、熱、平」を、「五性(五気)」といいます。その食べ物を食べたときに、体内で身体を温めるか、冷ますか、あるいは寒熱のかたよりが起こらないかによって分類され、いずれにも属さず、かたよりのないものが「平性」となります。

 

「小寒」の頃の、心と身体の状態は?

クリスマス、そして年末年始と美味しいものをたらふく食べて、胃腸が疲れているという人も多いのでは?
この時期には、食欲不振、下痢、軟便、吐き気、などの胃腸のトラブルがよくみられます。なかには、空腹感を感じない、味がしない、食べるとすぐ眠くなるといった症状も散見されますが、いずれも、胃腸が弱っている証拠です。

(イメージ:写真AC)

また、先ほどもお伝えした通り“陽気=心の栄養(エネルギー)”が足りなくなるため、とにかく疲れる、寝ても疲れがとれない、口数が少なくなる、あるいは、気分が落ち込みやすいといったメンタル面での不調も出やすい頃なのですが、じつは、胃腸の弱りが、そんな精神的不調に追い討ちをかけることも。

では、どのような過ごし方(養生)をすればよいのでしょうか――?

 

「小寒」の過ごしかた(養生)は?

胃腸のトラブルは確かにメンタル面の不調へとつながりますが、逆もまたしかり。胃腸を健やかに保つことで、気分の思い悩み、落ち込みやすいといった症状から、解き放たれることができるんです。
そこで、この時期の養生のキーワードは、「小食」! まずは胃腸を休ませることが何より大切なので、できればお粥や野菜スープといった、あえての小食を心がけてみましょう。

ただし、「では、さっぱりとお餅で雑煮でも!」はNG。元気な人のエネルギー補給剤としては優れている餅ですが、暴飲暴食で胃腸が弱っている人、ニキビやアトピーがある人、肌が赤く炎症を起こしている人には向いていません。よく餅を「腹持ちがいい」などと表現しますが、これはひとえに“消化しづらい”ため……。年末年始の弱った胃腸には負担になりやすいだけでなく、炎症作用があるので肌の弱い人にも要注意です。

「疲れているから」「元気が出ないから」といった理由で餅を食べているなら、今すぐストップ! まずは小食を心がけ、胃腸も心もしっかりと休ませてあげてください。

 

「小寒」の中医学的・たのしみごと

養生ポイントとして“小食”の話をしましたが、まさに、七草粥の季節ですね!
スーパーでは七草粥に使う“春の七草”セットが売られていますが、わざわざ高いセットを買わなくても構いません。そもそも、粥(米)自体に胃腸薬と同じくらいのパワーがあることをご存知ですか? 中国ではお粥を「清腸潔胃(せいちょうけつい)」といい、なんと薬膳のひとつと考えられているんです。

(イメージ:写真AC)

そこに、春菊でも大根の葉っぱでも白菜でも、冷蔵庫に残っている葉物を加え、滋味深いお粥を楽しみましょう。葉物野菜は、鱈や昆布と同様、毒素を体外に排出してくれます。胃腸の負担が軽くなるだけでなく、満足感もあり、身体がポカポカあたたまる七草粥で、身体も心も“デトックス”してみませんか――?

 

先述の「清腸潔胃」とは、胃腸を養い、きれいにしてくれるもの、という意味合いです。そんなお粥を食べるなら、断然、朝! あたたかいお粥で一日をスタートするのは、とてもいい養生となりますよ。わざわざ朝に鍋でコトコト作らなくても、今はスープジャーやステンレスの水筒で超簡単に作れるので、夜のうちに仕込んでおくとラクですね。ぜひ、おためしください!

〈作り方〉
1. 大さじ3の米を洗ってスープジャーに入れ、沸騰したお湯を注いで5分待つ(予熱する)。
2. いったん湯を捨て、再度、沸騰した湯(約300ml)を注ぐ。
3. 2〜3時間放置したら、完成!

*次回は「大寒」1月19日(水)更新予定です。

構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny


Written by 櫻井大典
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』、『こころの不調に効く! 気楽に、気うつ消し』(ともにワニブックス)、『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、『漢方的おうち健診』(学研プラス)ほか多数。
Twitter: @PandaKanpo
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HP:https://yurukampo.jp/

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