健康意識が高まる漢方コラム:小雪(11/22頃)の過ごしかた

健康意識が高まる漢方コラム:小雪(11/22頃)の過ごしかた


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほど“こよみ”を大切にしています。
そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の“知恵”を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第11回は、「小雪(11/22頃)」です。

 

「小雪(しょうせつ)」って、どんな季節なの?

紅葉が散り始め、北国では小雪が降り始める頃です。比較的あたたかい日と寒さの厳しい日をくり返し、少しずつ、本格的な冬を迎えていく時期となります。気温の変化が激しく、私たちの身体のなかでは、寒さに対応するために自律神経が忙しなく働き、体温を調節――。つまり、何もしなくともエネルギーを消耗しやすい時期となります。
お子さんや高齢者の方々は風邪をひきやすい時期となりますので、ぜひ、ちょっとした体調の変化にも、普段から気をつけるようにしてください。

 

「小雪」のパワーフードは?

「小雪」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、「鶏肉」!
温性※1の鶏肉は寒さで縮こまった身体をあたため、胃腸を元気にし、この時期に不足しがちなエネルギーを補給してくれます。ちなみに、鶏のレバーは肝と腎※2を養い血(けつ)を補うので、貧血、夜盲症などの目の不調、そしてメンタル面では不安にもよい食材なんです。

(イメージ:写真AC)

とくに、この時期は、鶏鍋がおすすめ! 鍋に欠かせない「ネギ」は温性で冷えを散らすので、寒気や悪寒、冷え性などによく、胃腸を元気にして消化吸収力を高めてくれます。また、こちらも鍋にピッタリの「舞茸」も質の良い血を補ってくれるので、ぜひ積極的に摂りたいところ。身体をうるおし疲労回復やストレスにも効果的な豆腐も入れたら、この時期にうってつけの鍋に――! ぜひ、鶏鍋で身体を整えてみてくださいね。

(※1)「五行論」に基づく、食べ物が持つ5つの性質「寒、涼、温、熱、平」を、「五性(五気)」といいます。その食べ物を食べたときに、体内で身体を温めるか、冷ますか、あるいは寒熱のかたよりが起こらないかによって分類され、いずれにも属さず、かたよりのないものが「平性」となります。

(※2)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。

 

「小雪」の頃の、心と身体の状態は?

先ほど、寒さに対応するために私たちの身体のなかでは自律神経が忙しなく働き、体温を調節しているというお話をしましたが、身体を温めるためには、それなりのエネルギーを消耗するもの……。そのため、この時期は、「朝、やる気が湧かない」「食欲がない」といったように、“エネルギー不足”による症状が多くみられるようになります。

さらに、寒さは胃腸も弱らせます。なぜなら、身体を温めるためにエネルギーを使うので、消化するためのエネルギーが不足してしまうのです。したがって、気温が下がると食欲も低下しがちに。また、この時期に疲れているのに頑張ると、冬に労るべき腎が弱り、メンタル面では恐怖心、恐れなどの症状がみられることも……。

では、どのような過ごし方(養生)をすればよいのでしょうか――?

 

「小雪」の過ごしかた(養生)は?

冬に入ったこの時期からは、「疲れているのに頑張る」ではなく「疲れている時は積極的に休む」ということが、養生のポイントになります。また、ダラダラ食べるのではなく、三食しっかりとした「食事」をするよう、心がけましょう。とくに食欲が低下している人は、体力を温存すべく、早く眠るようにしてみてください。

(イメージ:写真AC)

また、とにかく寒さに弱い腎を守らなければいけない時期。そこで、この頃から気をつけて欲しい大切な養生が、朝の“寝起き”です。暖かい布団で眠ることはもちろんですが、できればエアコンのタイマーなどをセットしてから眠り、部屋がしっかりと暖まってから起床するようにしてください。
中医学の古典にも「日が昇ってから起きるように」とありますが、これは“太陽の力が充分に地面に伝わってから(気温が上がってから)活動し、とにかく寒さから身を守るように”という教えなんです。ぜひ、暖かくして日光を待ち、冬の養生の基本となる“早寝遅起き”を心がけましょう。

 

「小雪」の中医学的・たのしみごと

商売をされている方はご存知かと思いますが、11月には江戸時代から続く商売繁盛のお祭り・酉の市があります。じつは、この酉の市で売られる縁起物のひとつに「切山椒(きりざんしょう)」という和菓子があるのを、みなさんはご存知ですか――? 

(イメージ:写真AC)

生薬としても使われるピリッと辛い温性の山椒は、お腹を温めて目をスッキリさせ、呼吸をしやすくしてくれます。そこにエネルギー補給剤の米粉と砂糖を組み合わせた「切山椒」は、胃腸を元気にしてエネルギーを補給し身体を温めるという、冷えて疲れやすいこの時期にピッタリのスイーツ!

酉の市にいくなら、昔ながらの和菓子「切山椒」を味わってみてはいかが?

 

最近では“温活”という言葉もあちこちで聞かれますが、じつは「温める」のではなく「冷やさない」ことがポイントなんです。腹巻、靴下の重ね履き、カイロに電気毛布……。温めすぎても身体には逆に負担となり、潤いを消耗するので血流障害を起こすことも。自然は、極端なことを嫌うんです。たとえば、ゆっくりと冷めていく昔ながらの湯たんぽなどはおすすめ。冷えは足腰から、ですからね。

*次回は12月6日(月)更新予定です。

構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny

Written by sakurai_daisuke
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』、『こころの不調に効く! 気楽に、気うつ消し』(ともにワニブックス)、『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、『漢方的おうち健診』(学研プラス)ほか多数。
Twitter: @PandaKanpo
HP:https://yurukampo.jp/

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