健康意識が高まる漢方コラム:霜降(10/23頃)の過ごしかた【櫻井大典】

健康意識が高まる漢方コラム:霜降(10/23頃)の過ごしかた【櫻井大典】


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほど“こよみ”を大切にしています。
そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の“知恵”を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第9回は、「霜降(10/23頃)」です。

 

「霜降(そうこう)」って、どんな季節なの?

朝晩の冷え込みが強くなり、北国などでは霜が降って、草木がうっすらと白く化粧を始める頃です。乾燥した冷気を吸いこむことで、肺に負担がかかりやすく、呼吸器系のトラブルのみならず、疲労や元気が出ないなど、この時期からは“エネルギー不足”がみられます。引き続き、加湿や深呼吸を心がけたいところです。
また、そろそろ冬支度も佳境に入る頃なので、質の良い睡眠に特に意識を向けていきましょう。冬の到来を前に、心身を癒すための“深い睡眠”が、養生のポイントとなる時期です。

(※)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。

 

「霜降」のパワーフードは?

「霜降」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、「りんご」
潤いを生んで乾きを止めるりんごは、いわゆる“潤い補給剤”として優秀な食材。平性ですから、身体を冷やすこともありません。おすすめは、身体を強力に温めてくれるシナモンとの組み合わせ。スライスしたりんごにラップをふんわりかけてレンジで3分ほど加熱し、シナモンパウダーを振りかけてください。もちろん、オーブンでじっくりと焼き上げた焼きりんごとシナモンの組み合わせも、最高ですね!

(イメージ:写真AC)

また、「疲れて秋なのに食欲が出ない……」という人にうってつけなのが、「サツマイモ」。芋類は、エネルギー補給にとてもいいんです。そうそう、りんごとサツマイモは相性が良いので、一緒にコトコト煮てデザートにしてもいいですね。

そして、芋類と同じく、エネルギー補給剤として有能なのが、キノコ類。とくに、天然の「なめこ」はじつは10月頃が旬! 一年中出回っているので知らない方も多いかと思いますが、秋がもっとも美味しい時期なんです。エネルギーを補う「益気(えっき)」「補腎(ほじん)」の働きがありますので、疲労、無気力、汗をかきやすい、肺気胸などにも効果的な食材です。

(※)「五行論」に基づく、食べ物が持つ5つの性質「寒、涼、温、熱、平」を、「五性(五気)」といいます。その食べ物を食べたときに、体内で身体を温めるか、冷ますか、あるいは寒熱のかたよりが起こらないかによって分類され、いずれにも属さず、かたよりのないものが「平性」となります。

 

「霜降」の頃の、心と身体の状態は?

秋がグッと深まるこの時期は、乾燥からくるのぼせ、イライラ、倦怠感などが出やすく、風邪もひきやすい頃でしょう。寒さに順応するためにはエネルギーのみならず血液も消耗するため、貧血気味の方などは、とくに気をつけなければいけない時期となります。

そして、身体に潤いが足りないと、この頃からの養生の要となる“睡眠”に悪影響を及ぼすことに――。心と身体を鎮静してくれる潤いが不足することで、寝つきが悪い、あるいは眠りが浅いなどの症状が出やすくなるでしょう。ただでさえ、秋はメンタル面で悲しみ、気分の落ち込み、イライラ、思い悩みなどがみられる時期ですから、「考えすぎて、眠れない……」といった“負のスパイラル”に陥る人もいるかもしれません。


(イメージ:写真AC)

では、これらの不調を防ぐためには、どのような過ごし方(養生)をすればよいのでしょうか――?

 

「霜降」の過ごしかた(養生)は?

この時期の養生のポイントは、いつもよりも“しっかり食べて、しっかり寝る”こと!
イライラや落ち込みなどのメンタル面を改善するためにも、食事でしっかりと身体に潤いとエネルギーを補給した上で、たっぷり睡眠をとるようにしてください。

また、秋はシーズンを通じて「乾布摩擦(かんぷまさつ)」がおすすめ。中医学では、「秋は肺の季節」とされますが、じつは、肺は皮膚もコントロールしています。そこで、逆に皮膚を強化することで、肺を元気にすることができるんです。とはいえ、「乾布摩擦」と聞くと、どうしても裸になってゴシゴシと身体をこするようなハードなイメージがある人も多いのでは? しかし、それほど大袈裟にする必要はありません。たとえば、テレビをみながら服の上から身体をこするだけでもオッケーです。服も、まぎれもなく「乾布(=乾いた布)」ですよね。

肺を刺激にするには、肺経(はいけい)の経絡(手太陰肺経)がある場所(下図:掌を上に向けて親指から肩まで)を擦りましょう。あとはとにかく服の上から、向きや流れにとらわれず体中を擦ってみることで、皮膚への刺激が生まれ、血流が良くなります。ちなみに「乾布摩擦」は花粉症の予防にもなりますので、アレルギーのある方はこの時期に限らず、ぜひ、いつでも気がついたときに取り入れてみてください!

(※)中医学の考え方で、全身に張り巡らされた気(エネルギー)を運ぶ道のこと。

(イメージ:PIXTA)

 

「霜降」の中医学的・たのしみごと

さて、10月も後半となり、いよいよハロウィンが近づいてきましたね!
もちろんお菓子のやりとりも楽しいものですが、ここではハロウインに欠かすことができない「かぼちゃ」の楽しみかたをご紹介しましょう。

(イメージ:写真AC)

かぼちゃは、エネルギー補給に優れているだけでなく、身体を温めてくれるので、まさに、この時期にピッタリの食材のひとつなんです。おすすめの食べ方は、かぼちゃを一口大に切り、耐熱ボウルに入れてふんわりとラップをしてレンチン。そのかぼちゃに、潤いを補給するゴマとエネルギーを補給するハチミツをからめたら、ホクホク美味しい、簡単デザートのできあがり! 

今年のハロウィンは、ジャック・オ・ランタンのあたたかな灯を眺めつつ、美味しいデザートをいただいてはいかが――?

 

そうそう、いつもは捨ててしまうかぼちゃの「種」ですが、じつは栄養満点の食材!
取り出した種を少し乾燥させておいて、フライパンで軽く炒って、皮をむいて食べましょう。マグネシウムやビタミンE、ルテインなどの栄養がたっぷり含まれているので、手足のむくみ、便秘、目のかすみ、そして、なんと「通乳」という効果もあるので、母乳が出づらいお母さんにもおすすめ。ぜひ、捨てないでくださいね(笑)。

*次回は11月5日(金)更新予定です。

構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny 

Written by sakurai_daisuke
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』(当社)、『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方食材帖』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)。監修に『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』ほか多数。
Twitter: @PandaKanpo
HP:https://yurukampo.jp/

»この連載の記事を見る