健康意識が高まる漢方コラム:寒露(10/8頃)の過ごしかた【櫻井大典】

健康意識が高まる漢方コラム:寒露(10/8頃)の過ごしかた【櫻井大典】


人気の漢方専門家・櫻井大典先生に、季節「二十四節気」に合わせた中医学について学ぶ、心と身体のための「かんぽう歳時記」。

中医学は「季節の養生」と言われるほど“こよみ”を大切にしています。
そこで、この二十四節気ごとに、おすすめの食材(パワーフード)や養生法などを、たっぷりとご紹介!

数千年という歴史に裏づけられた、中医学の“知恵”を学びながら、日本の美しい四季おりおりを、もっと元気に、もっとたのしく、過ごしてみませんか――?

第8回は、「寒露(10/8頃)」です。

 

「寒露」って、どんな季節なの?

草の上の露が、朝夕の冷気によって霜に変わりそうな頃――この時期を「寒露」と呼びます。
寒さと乾燥がますます強くなり、体調を崩しやすく、気持ちもますます落ち込みがちに……。グッと寒くなるこの頃は、引き続き乾燥に気をつけつつ、しっかりと栄養を蓄え、“寒さに負けない身体づくり”を意識していきたいところです。
自然界でも、動物や虫が巣篭もりに向けて備え始める時期。私たち人間も、来るべき冬に向けて、少しずつ「蓄え」を始めるとよい頃でしょう。

 

「寒露」のパワーフードは?

「寒露」の頃におすすめの食材(パワーフード)は、ズバリ、「れんこん」
中医学では「似類補類(にるいほるい)」といって、形の似ているものはその臓器を補うという考え方があるのですが、穴の空いたれんこんは、まるでパイプや筒のよう。つまり、気管や肺などに似ているので、呼吸器系によいとされる食材の一つなのです。呼吸器系の炎症を鎮め、潤いを補って乾燥を改善するといった、この時期にうれしい効能がたくさん!
効果的な食べ方としては、同じく潤いを補う梨とはちみつを使った、梨とれんこんの薬膳スープ。甘くて美味しいので、お子さんにもおすすめです。

(イメージ:写真AC)

【梨とれんこんの薬膳スープ】
〈材料 (1人分)〉
れんこん…50g
梨…1/2個~
はちみつ(砂糖不使用のもの)…お好みで

〈作り方〉
1.れんこんは皮をむき、ひと口大に切ってゆでる。またはレンジで火を通す。
2.れんこんと梨をミキサーにかけ、はちみつを加えていただく。

〈ポイント〉
梨の量は多めがおすすめ。お好みで調整してみてください。水で少し薄めるとドリンクとしてもいただけます。

そして、秋の実りといえば「栗」ですね。栗には胃腸を元気にしてエネルギーを補給する力や血流を促す働きがあるので、疲れやすく気分の落ち込みやすいこの時期にはうってつけの食材。腎※1を補うので、冬に備えた身体づくりにも良いのですが、食べ過ぎには気をつけましょう。そして、肺を潤す“白い食材”の「白ごま」も意識して摂りたいところ。肺を丈夫にして潤す力が強い平性※2の白ごまは、余分な熱を冷ますので、肌の乾燥を改善し、美肌をキープするといった嬉しい効果もありますよ。

(※1)「五行論」に基づく、「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたり、肝は春、心は夏、脾は長夏(梅雨)、肺は秋、腎は冬に活発に動くとされています。

(※2)「五行論」に基づく、食べ物が持つ5つの性質「寒、涼、温、熱、平」を、「五性(五気)」といいます。その食べ物を食べたときに、体内で身体を温めるか、冷ますか、あるいは寒熱のかたよりが起こらないかによって分類され、いずれにも属さず、かたよりのないものが「平性」となります。

 

「寒露」の頃の、心と身体の状態は?

昼と夜の気温差が10℃程と寒暖差がはげしく、さらに台風シーズンも重なり、ストレスが溜まる、イライラするなど、精神的なトラブルが出やすい頃です。引き続き、悲しみや気分の落ち込み、思い悩むといった症状も出やすい時期ですが、あまり思い悩みすぎると胃腸(脾)を弱らせてしまうので、くれぐれも気をつけましょう。

また、肺の乾燥によって、便秘などの胃腸トラブルに悩まされる人も多いかもしれません。肺が乾燥すればするほど、メンタル面でも、憂鬱になり、感傷的になりやすくなってしまいます。

(イメージ:写真AC)

 

「寒露」の過ごしかた(養生)は?

「立秋」(8/7頃)からずっと頑張り続けていた「肺」が、そろそろ息切れし始めるのが、ちょうどこの頃――。
中医学では「気陰両虚(きいんりょうきょ)」といって、身体のエネルギー(気)と潤い(陰)の両方が不足し、“気力”のない人が多くなる時期とされています。この頃の“養生”キーワードは「気陰双補(きいんそうほ)」。つまり、不足したエネルギーと潤いを補給するという対策になります。「気」を補うための栗や芋類、「陰」を補うためのれんこんや梨、ぶどうなどを意識して摂ることで、たっぷりと元気(気の元)を補給してあげてください! 先程ご紹介したパワーフードは、すべて、この時期の養生にぴったりの食材ばかりです。

ちょうど秋から冬への“つなぎ目”となるこの季節は、肺をサポートするためにも胃腸(脾)をケアしてきたいところ。不安定な時期なので、くれぐれも無理なダイエットは避け、甘いものや脂っこいものの摂り過ぎに注意してください。もし、甘いものが欲しくなったら、干しぶどうなどのドライフルーツがおすすめです。

「気」と「陰」を補う食材をバランスよく食べて、しっかりとエネルギー補給を心がけるようにしてください。

 

「寒露」の中医学的・たのしみごと

食欲の秋、スポーツの秋――! みなさんは学生時代、どんなスポーツをしていましたか? あるいは社会人になってから始めた運動習慣は……?

気候の良いこの時期は、まさにスポーツにぴったり。意識したいのは“冬に向けて体力をつけておくための有酸素運動”です。昔から親しんでいるスポーツやハマっている運動があれば、ぜひ、積極的に楽しみましょう。
ポイントは、わざわざ新しいことを始めたり、つらいのに無理をするのではなく、あくまで楽しめる運動を、楽しめる範囲で行うこと! しっかり手足を動かす運動であれば、なんでもオッケー。気軽なウォーキングなどもいいですね。

“無理なく、楽しめる範囲で、のびのびと”を合言葉に――心地よい季節のスポーツを楽んでください。ただし、夏と違って、汗をダラダラとかくような運動はNG。秋口からは「発汗=気力&体力の消耗」だと、覚えておきましょう。

(イメージ:写真AC)

身体が疲れていたり、心が憂鬱だったり……。そんなときほど、甘いものが食べたくなる、という人も多いのでは? 
そう、考え過ぎると、消化を担う「脾」が傷つき、甘いものを欲するようになるんです。また、食べ過ぎなどで胃腸が弱っている時も、やはり甘いものが……(悪い連鎖ですね)。
ただし、ここで砂糖たっぷりのものを食べると余計にダルくなってしまうので、できれば、焼き芋や干し芋、干しぶどうなどを食べるようにするといいですね。そうそう、そろそろ干し柿も美味しい頃ですよ!

*次回は10月22日(金)更新予定です。

構成・文/国実マヤコ
バナーイラスト/Sunny

 

Written by sakurai_daisuke
櫻井大典

アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。中医学の振興に努めている。
SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず新たな漢方ユーザーを増やしている。
主な著書に『こころとからだに効く! 櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活』(当社)、『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方食材帖』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)。監修に『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』ほか多数。
Twitter: @PandaKanpo
HP:https://yurukampo.jp/

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